落語「紀州」の原典は松浦静山「甲子夜話」?
「紀州」という落語があります。次のような話です。
七代将軍家継が急死。後継の候補が尾張か紀州。
後継ぎを決める際、尾州公が江戸城へ登城するとき、鍛冶屋の「トンテンカン・トンテンカン」の音がして、これが尾州公には「テンカトル・テンカトル」と聞こえ、縁起が良いと。
さて、尾州公、評定の席で後継ぎに推挙されたとき、大物に見せたいために「余は徳薄くして・・・」と固辞。もう一回、推挙されると思うも、予想外に紀州公への問い。紀州公も始めは「余は徳薄くして・・・」と辞退するかと思いきや「しかしながら・・・」と次期将軍を引き受けてしまいます。
尾州公が城から下るとき、再び鍛冶屋の音が「テンカトル・テンカトル」と聞こえる。「おかしいな」と思っていると、鍛冶屋の親方が、焼けた鉄を水に入れると・・・・・・・・・・「キシュー(紀州)」。・・・・・というお話しなのです。
さて、この落語にはネットなどあちらこちらに説明が書いてある事なのですが、松浦静山の随筆「甲子夜話」の「第十七巻」に納められているというのです。
松浦静山と言えば長崎の平戸藩の藩主、ワタシも長崎県人なので、一応あたってみました。「甲子夜話 第十七巻」には二十五条のエピソードが収められていますが、読んでみて「無かった」んです。
ほかに、何かあるんかい?ということで「甲子夜話」を図書館から借りてきました。「甲子夜話」は平凡社東洋文庫に収められ、正篇六巻、続編八巻、三篇六巻の20冊です。これ、全部読みました。「目次」だけですが。甲子夜話の場合は目次を読めば、どのような事が書いてあるか大体は分かります。結局、この話は見つけきれませんでした。
一つだけ「続篇十七巻」に「落咄(おとしばなし)」というのがあり、「落咄」といえば落語に関係するのですが、これにも「紀州」の噺は載っていませんでした。
ということで、どなたかご存じならばコメント欄に書き込みをお願いいたします。
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コメント
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矢野誠一著「新版落語手帖」(講談社)の紀州の項に、「続17巻に見えるはなしにヒントを得てつくられたものと思われる」という記述があります。ご指摘のように、この巻は「落咄百節」とあって、滑稽譚がいろいろ収録されているようです。中に「小便する音を聞て願望の成不成を知る・・・」という話があります。「音を聞く」だけしか共通点はありませんが「ヒント」にしたのなら、これかなとも思いました。
それにしても品のない下ネタで、似ても似つかなので、これでいいのか?と首をかしげているところです。いかが思われますか?
投稿: 狐狸窟彦兵衛 | 2023年12月19日 (火) 18時22分
コメントありがとうございます
落語「紀州」については、どの説明を見ても「甲子夜話」と書いてあるのですが、残念ながら手がかりなしでした。
下ネタについては、落語自体庶民の楽しみの話芸であり、今で見ればセクハラ、パワハラのものがあり、日本人の性格を知る手がかりにもなり、面白いとは思うのですが・・・
投稿: sugikan | 2024年1月 3日 (水) 10時56分