雲仙「温泉神社二ノ鳥居」について②
昨日、雲仙の温泉神社の二ノ鳥居について書きましたが、少し気になって「肥前國髙來郡温泉山の圖」を調べて見ました。
この図については、「しまばらふるさと再発見」で松平文庫長根井浄先生が「江戸時代の地獄は満妙寺一乗院が案内権を持っており、いろいろな説話が語れていました。」と語られ、確か先生の以前のお話しでは、その折り、この絵図で説明をしていたとのことでした。いわば、観光パンフレットですね。
現在、数冊の本で印刷物が紹介をされています。比べてみて違いは見受けられますが、基本同じです。なお、本物は版木で摺ったものです。
下は「雲仙お山の情報館」所蔵のものですが、片面が「雲仙國立公園決定紀念祝賀 島原郷土史料展覽會」となっていて、絵図は版木の印刷ではなく、いずれかの絵図の模写だと思われます。
(雲仙お山の情報館所蔵)
下が温泉神社あたりを拡大したもの。
一番右が鎮守四面大明神。ご本尊様。その左が拝殿。
赤の矢印が鳥居。二つ鳥居があるのが分かります。右の鳥居は多分両部鳥居。両部鳥居は近くには無いので、ググってみると木製が多いようです。
さて、安政7年(1776)島原藩に提出された一乗院(満妙寺)の書上帳があり、これについて「嶽南風土記 有家町史談第4号・有家町史談会刊」に根井浄先生が「江戸時代の雲仙(温泉)・普賢岳・妙見山ー史料『温泉山起立書』の翻刻と紹介ー」という事で書かれています。
この中に、温泉神社の面積、寸法等が書かれていますが、鳥居について下記のようにかかれています。
⑤本社石壇下より石鳥居まで堅拾六間横九間 此反別四畝廿四歩
⑦木鳥居より石鳥居まで堅拾九間横貮間 この反別所壹畝九歩
⑩石壇木鳥居下
⑪石壇石鳥居下
⑫木鳥居 一 石鳥居
という事で、元来温泉神社には木の鳥居と石の鳥居があったことが分かります。
前に書いたように、現在の二の鳥居についてまとめてみると下記のようになります。
一 1695年(元禄八年) 建立
二 1778年(安政七年) 温泉山起立書 木製と石製の二基の鳥居の記述
三 1792年(寛政四年) 雲仙岳大噴火により鳥居倒壊(あくまで推測です)
四 1851年(嘉永四年) 石鳥居のみ再建
この絵図については、1695年~1792年の雲仙の地獄の風景だといえると思います。絵図に描いてある両部鳥居、これも現代再建できれば面白いと思うのですが。
« 雲仙「温泉神社二の鳥居」について① | トップページ | 衝撃のチラシ!! »
「史跡」カテゴリの記事
- 島原半島に関する三冊の本(2024.05.05)
- 島原ぶらり~ひな祭りなど(2023.02.23)
- 島原城築城400年~島原市(2022.12.01)
- 空照上人、雲仙の事について★まとめ②~終わり(2022.09.09)
- 空照上人、雲仙の事について★まとめ➀(2022.09.04)
「神社」カテゴリの記事
- 日本音楽の面白さ(2024.10.01)
- 祭りだよ~笛を吹くよ~(^▽^)(2024.07.31)
- 島原半島に関する三冊の本(2024.05.05)
- 令和5年 橘神社七草粥振る舞い(2024.01.07)
- 令和五年度「清福招来千々石大門松(橘神社大門松)」竣工清祓い式(2023.12.26)
「古文書」カテゴリの記事
- ちょっと大変~古文書(こもんじょ)の出版に向けて(2023.08.24)
- NHK朝ドラ「らんまん」を見ながら・・・(2023.08.10)
- 古文書解読にセンスは必要なのか?(2022.11.26)
- 落語「紀州」の原典は松浦静山「甲子夜話」?(2023.09.19)
- 「因果物語」の雲仙地獄について(2022.07.30)
「雲仙」カテゴリの記事
- 何でしょう?(2023.09.09)
- 2022 三十路苑紅葉情報(雲仙市小浜町)(2022.11.20)
- 「えんがわ・一畳のきまぐれ資料館」~雲仙鳥瞰図(2022.10.14)
- 空照上人、雲仙の事について★まとめ②~終わり(2022.09.09)
- 空照上人、雲仙の事について★まとめ➀(2022.09.04)
コメント失礼致します。
令和6年6月の投稿にコメントさせて頂いた者です。
一点質問がございまして記入させて頂きます。
本記事に掲載されている写真の中に書籍類と共に大きな生成りの「肥前国高来郡島原温泉山之図」が載っていますが、これの原本(原版)がどちらに保管されているかご存知ではないでしょうか。
私も全く同様の写し(印刷)を所有しているのですが全く出所が分からないものですから、もしご存知でしたらお教え頂けますと幸いです。
よろしくお願い致します。
投稿: ムラサト ヤスヒロ | 2024年7月 6日 (土) 10時52分
コメントありがとうございます。
お訊ねの「肥前国高来郡島原温泉山之図」については、岩崎美術社より発行された「日本古絵図集成」(印刷物)に収録されたものです。なお口之津に住まわれているならご存じだと思いますが、「嶽南風土記」に根井先生が「雲仙山之図」の各種の図を紹介、解説されていますのでご参考に。
投稿: sugikan | 2024年7月12日 (金) 13時23分