「因果物語」の雲仙地獄について
「因果物語」全三巻の仮名草子本。作者は鈴木正三。勝手に平仮名本が刊行されていたため、弟子たちが1661年に正本として発表。
内容は鈴木正三が見聞した諸国の怪異譚。仏教談義な材料として怪異譚、因果を収集したもの。
このなかに、雲仙の地獄を記述したものがあります。この本については国立国会図書館デジタルコレクションで見る事ができます。上の写真はそれから取った物です。
右が初めの部分「十四 生きながら扡ごくに沈みし出家の事」。
物語は、豊後の町人、肥前の出家、牢人の三名が温泉(うんせい)に行ったとき、出家が煮湯の湧き出でるところに指を差し入れたが熱くもなく、ただ、煮え湯から指を引き出したとき堪えがたい熱さが。また、その指を煮え湯に入れれば熱さが止む。また、指を引き出せば耐えがたい熱さ。とかくするうちに、引き出されず次第に深く入り、腕を差し入れるようになり、引き出せば、また、熱く。後には総身をみな入れて、頭、目だけを出すようになり、ついに底に沈みけり。
という物語なのです。
さて、話は別にして、最初の部分「肥前の国嶋原という所に、温泉(うんせい)が嶽とて・・・」と書いてあります。「温泉(うんせい)」とは書いてありますが、「肥前の国嶋原」とあるので、現「雲仙(うんぜん)」です。
「雲仙」は昔「温泉」と書いて「うんぜん」と読んでいましたが、「うんせい」という読みもあったのでしょうか?
もっとも「千々石」を「千々岩」と書いた江戸時代の街道図、戦前の地図なども残っているので、地名は意外とラフな表現もあるようなのですが。
左の図が最後の頁になりますが赤丸の所、頭だけを出した人物が書いてあります。
下の絵図「雲仙お山の情報館」所蔵の雲仙の絵図で、何回か紹介しましたが、地獄が沢山書いてあります。ただ、上の地獄がどこなのかは不明。
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