「新・餓狼伝/巻ノ五」「ゆうえんち」「白鯨」☆夢枕獏著 「クラッパー刃牙」☆板垣恵介著
発行が昨年の10月。半年ばかり見落としていました。
内容はともかく、後書きで「いよいよ『餓狼伝』は、前巻あたりから、最終トーナメントに向けての準備を始めている。」とのお言葉ですが、あくまで準備であって、最終ゴールまで、あと何年かかるのか????。
で、後書きに「ゆうえんち」なる本のことと、「グラッパー刃牙」なる板垣恵介氏が書いたマンガ本の事が書いてあり、まず、後者を読んで見ようかと思って本を買ってきたら、間違って「範馬刃牙」を買ってきてしまいました。トシですね。「グラッパー刃牙」を調べたら、なんと全42巻の本でした。
本を買って、置いとくとオクサマから「バカ、邪魔」と言われるので、Kindleで読みました。ほとんど格闘技の世界で、途中で胸焼けがしましたが、根性で全巻読破。
夢枕獏さん、自作について、「ひとつの試合だけで原稿用紙(四〇〇字詰)100枚を平気で書き、その中で、ただただ男たちが闘い続ける。それ以外のことは、ない。/こんなこと、世界で誰もやっていないだろう。ヘンタイ野郎である。」と書いていますが、板垣恵介さんも同類の”ヘンタイ野郎”ですね。
「ゆうえんち」でね。これは、面白かった。餓狼伝、キマイラの文章がスカスカになってきている現在、文章がギッチリ詰まっているという感じでした。原作/板垣恵介、小説/夢枕獏、挿絵/藤田勇利亜。
サーカスで育った葛城無文、ふとしたことから、松本太山に格闘技を習うが、ある日「ゆうえんち」に行ってくると言い残し、帰って来たときは重傷で死んでしまう。はたして、「ゆうえんち」とはなにか?松本太山を死に至らせたのは誰か?、という内容です。もちろん、格闘の場面満載。
後書きで、板垣恵介氏の絵のどこが優れている解説をしていますが、はやり夢枕獏さん、素晴らしい眼力です。
後書きのなかで気になることが書いてあって、「本書が店頭に並ぶ頃には、もう発売されていると思うのだが、四月に発売される『白鯨』が最高だよと、ここできちんと自画自賛しておきたい。」と書いてあるので・・・
こちらの本屋さんには並ばないので、Amazonさんから取り寄せました。
「白鯨」はもちろん、あの「白鯨」です。主人公は中浜万次郎、ジョン万次郎。船が難破して、助けられたのが捕鯨船「ピークオッド号」、船長はもちろん「エイハブ」、船員はクイークエッグ、インシュメール、スタッグ、スターバック(あのスターバックスは、このスターバックからとっています)等々。もちろん白鯨も出てきます「モービィー・ディックス」。
夢枕獏氏には「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」という作品があり、空海、楊貴妃、白楽天等々が登場するロマン伝記小説ですが、これを読んでいるいる方は、まあ、驚きませんね。
詳しく書くと、読まれる方が面白くないと思うので控えますが、最後の勝海舟宛の徳富蘇峰の手紙。ヒョッとしたらこの本、本当の物語では?と思わせる所。ここで、私は悩みました。これ、マジ本当の話では。
例によって後書きの所「これは、どうしたって映画化するんじゃないの」。映画にしたら、多分ではなく、絶対に「アカデミー賞」です。
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コメント
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こんにちは
毎回興味深く、時には懐かしく、そして笑いながら読んでます。
夢枕獏さんの白鯨、図書館に予約しました。空海の話もおもしろかったので、期待大です。
それではまた。
投稿: のの | 2021年5月16日 (日) 08時15分
今晩は、いつもご愛読ありがとうございます。
「白鯨」は久しぶりに、手応えのある小説でした。
この手応えは「神々の山領」以来かなと思いました。「東天の獅子」も早く読みたいのですが、獏さん、書いている作品が多すぎて、多分、どれも「未完」に終わるのではないかと心配をしております。コロナには注意をして下さい。
投稿: sugikan | 2021年5月17日 (月) 22時22分