「札」について~「往来手形」の補足
先日、往来手形について紹介しました→こちらをクリック
その折り、往来手形には将棋の駒の形のは見当たらない、との事を書きましたが、職業に関する「札」については、多少見受けられます。
上の右が将棋の駒形の職業に関する「札」だと思われます。「薬種仲間」とあるので、薬に関する鑑札。宝暦十庚辰年十月とあるので、261年前のものです。
左は「豆腐」の文字があるので、豆腐屋さんのものでしょう。横に「寛政六甲寅年十一月」とあるので、227年前。両方とも焼き印が押してあります。
下は裏側になります。
さて、島原藩のことですが「長崎県史 資料編 第2」、島原藩「村方號令纂集便覧」の部。「札の部」に「札」の事が載せてあり、「札」として「糀室札」「目籠札」「肴盬札」「酒出店札」「社人納札之札」「鳥殺生札」「掃除人御門出入札」「古手賣札」等々の文字が見えます。
なお、札については「目籠札六角印」「殺生札山形之焼印」「城下二入諸商札ハ、丸之焼印」と書いてあるので、焼印はあったようです。形については見受けられませんでしたが「寸法ハ當春中相触置候・・」とあるので、決まっていたみたいです。
また、「札」については「・・・且口銭之儀者(ハ)、酒株ハ口銭なし、酒出店小賣札壹ヶ年四匁五分宛、糀室札壹ヶ年二貮拾貮匁五分宛、糀小賣札は壹ヶ年二七匁五分宛・・・」と書いてあるので、「札」については口銭を取られたみたいです。
口銭については「島原藩の経済・高木繁幸氏著」に「小物成(諸運上・口銭)について」の所、「田畑にかけられる本年貢を『物成』とか『本途物成』とか呼ぶが、それ以外の雑年貢を総称して『小物成』と言った。」と説明してあります。
なお、島原藩の「札」については、各市の資料館を見て回ったのですが、現在の所、見つけることが出来ませんでした。
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