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2021年2月17日 (水)

「銭マス」(江戸時代)について

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「銭マス」。「マス」は「升」「枡」「桝」と書くようです。

お金を数えるとき、硬貨が沢山あると一枚一枚数えるのは面倒なので、この銭マスにザラッと硬貨を入れると、マス目のところに硬貨が入り、入りきらないものをふるい落とします。これで、マス目に入った金額が一発で分かります。

上の銭マスは「LION」の文字が入っているので、現代の銭マス。「硬貨升」とも言っていたようです。私が小さいとき、銀行だったか、郵便局だったかで見た覚えがあります。

この「銭マス」は江戸時代にも使われており、下の写真、一番左は「LION」製。右の4個は江戸時代のものです。うち、右の3個は同じ種類のものです。


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下の銭マス。横のマス目が8、縦のマス目が10。裏には「一朱銀五両」とあるので、「一朱銀」を数える銭マス。

先日、「江戸時代の貨幣」をブログに書いたとき、江戸時代は基本四進法だと書きました。一両=二分金✕2枚=一分銀(一分金)✕4枚=一朱銀✕16枚。


ということで、一番上の横のマス目は8マスですから、2列で16枚が入ります。。一朱銀16枚が一両。横二列で一両になります。縦に10マス目ですから、10÷2でこのマス目を二朱銀で全部埋めると五両になります。


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下の写真、これは、多少考えました。よく見ると、横に5マス目、縦に8マス目。え~、5マス目ってアリ。ということで考えると、縦に8マス目なので、4✕2。

で、この銭マスは「弐分金 廿(二十)両」とあるので、2分金を数える銭マスとは分かります。で、縦が8マス目だから、2分金が2枚で一両、縦マスで2分金8枚で4両。横のマス目が5で、4両×5=20両。という事になります。


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この銭マスの造りが実に見事で、左が真鍮、右が木造りになりますが、これだけの細工をするのは腕のある職人だと思われます。

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左の真鍮の銭マスの裏側「萬延二歳 辛酉正月吉日 新調」。左は「壱朱銀五両枡」。万延二年は辛酉の年、1861年ですから、160年前。なお、万延は2年までで、2月19日に文久に改元。

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銭マスについての資料がほとんどなく、いつ始まったのか、種類はどれほどあるのか等は不明ですが、これを持っている人物は、かなり儲かっているお店なのかなと想像しました。

思い出しましたが、大江健三郎氏に「万延元年のフットボール」という小説がありましたネ。



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