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2020年9月 5日 (土)

「江戸の家計簿」★磯田道史監修~江戸のお値段・今のお値段

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よく、江戸時代の一両は、今のいくらにあたるのか、ということが話題になります。

以前にも書いたように、イロイロと難しい問題があり、一口には言えない、ということになります。


磯谷氏、「武士の家計簿」で一般の方にも知られるところとなりましたが、「江戸の家計簿」の、「まえがき」と「本書における江戸時代のお金の計算方法」の所を読めば、どうして一口に言えないのかがよく分かります。


以下、磯谷氏の本から要約してみます。


「まえがきー江戸時代の貨幣制度」


・江戸時代、金貨、銀貨、銅貨、紙幣(注:藩札)があり、「三貨制度」といい、また、地域によっても異なっていたそうです。


・なお、名古屋と金沢を結んだ東側の東日本は金の貨幣を使い、西日本は銀の貨幣が流通をし、原因として東日本は金を産出しているところが多い、西日本は銀山が多かった。
また、西日本は古くより大陸と繋がっており、明・清の時代には中国では銀が流通をしており、西日本では銀遣いになったそうです。ということだそうです。

続けて「一両は6万円?それとも30万円?」ということになるわけですが・・・


「本書における江戸のお金の計算方法」ということで。


ひとつの目安として米の価格に基づいて換算する方法。磯谷氏は「現代価格」と呼んでいます。

2007年度の農林水産省統計に基づき、米5㎏を2100円で換算。米一石(約150㎏)=金一両は大体6万3000円。

もう一つの目安は労働に対する賃金で換算する方法。「現代感覚」と呼んでいます。

現代の大工見習いの平均賃金は1万5000円。江戸時代の大工見習いが、1石=1両を稼ぐためには20日間働く必要がある。1石=1両は、1万5000円×20日で30万。

比較して書くと下のようになります。

「現代価格」(現代の米5㎏あたり2,100円”2007年農林水産省統計に基づく”換算)

(米)1石=(金)1両=(銀)60匁=(銭)4,000文=(現在の価格)63,000円

「現代感覚」(現代の大工見習いの日当1万5000円として換算)

(米)1石=(金)1両=(銀)60匁=(銭)4,000文=(現代の価格)300,000円

となり、この驚くべき差額。これで、一口には言えないということが分かると思います。


この本は「第1章 江戸時代の収入①武士編」「第2章 江戸の収入②農民・町民編」「第3章 江戸時代の物価①食品編」「第4章江戸時代の物価 ②料理・嗜好品・雑貨編」「第5章 江戸時代の文化と経済」からなり立っていますが、第3、4章は「現代価格」で算出、第1、2章は「現代感覚」で算出、第5章は両方の計算法を用いたそうです。


本の内容は帯に書いてあるようなことですが、詳しくは本をお読みください。定価800円+税で、江戸の経済通になれます。なお、台風10号直撃で停電が予想され、場合によってはしばらくお休みカモです、m(_ _)m。




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コメント

陣中、お伺い申し上げます。
地球温暖化にともない、地球規模での大災害が多く発生しているように見受けられます。
前回ブログに短いコメントしましたが、ついうっかりと、名前を書き忘れました。

温暖化、砂漠化、オゾンホール、森林の大火災等々。人類が自然のありがたさを忘れたせいかと思うのですが・・・反省すべきでしょうが、なにせ、経済発展の事ばかりで。


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