ジョージ秋山さんについて
新聞はよく読んでいるもののジョージ秋山氏の逝去についは、まったく知りませんでした。あちらこちら調べると、亡くなられたのが5月12日、葬式、告別式は家族の方だけで執りおこなったそうです。
上の訃報は「ビッグコミックオリジナル:6月20日号(6月5日発行)」より。
ジョージ秋山氏は「ガイコツくん」が成功、「パットマンX」等で売れますが、私、この頃マンガは読んでいましたが、どちらかというと音楽少年で、余り熱心には読んでいませんでした。ですから、この頃の作品はあまり記憶にはありません。
大学に入り、少年マガジン、サンデー、ジャンプ、チャンピオン、キング、ビッグコミック、プレイコミック、漫画ゴラク、ヤングコミック等々読んで、しかも大学紛争中で、あまり良い読者では無かったような記憶があります。
で、少年マガジンの「アシュラ」を読むにあたり、ビックリしました。なにせ、子ども向けの少年雑誌に「人肉を食べる」という描写がモロに入っていて、これヤバいと思ったら、有害図書に指定、たしか不買運動も起こったかと思います。
今回、氏の訃報に接し改めて作品を数冊読み返してみました。と言っても実物の紙の本はこちらには無いので、電子ブックで読んでみました。
「パットマンX」「デロリンマン」「アシュラ」「銭ゲバ」「弘法大師空海」「告白」「あんじんさん」等、先ほどやっと読み終え、あと「聖書」と「博愛の人」(二宮金次郎の本)を読む予定です。代表作の「浮浪雲」は最初から読んでいました。
アシュラの最後のセリフ「生まれてこないほうが良かったのに」。ジョージ秋山氏の根底には「生」とは何かの問いがあるようです。
一番安心して読めたのが「あんじんさん」。
「人間がオギャーッと生まれて、最初に吸った空気は、はきだされんと、肺の奥深いところに死ぬまでしまわれとるそうです。だから人間は故郷の空気は一生忘れることはなかとです。・・・」
「常識にこだわったら、心が豊かになれんとです。」
「人間の幸せはいつも心が安心していることだそうなんです。それで安心(あんじん)て(名前を)つけたとです。」
「女は海だからね、溺れたらこわいよ。」
あんじんさん、はげ頭で、背は低く短足ですが、なんとなく「浮浪雲」にも似たところがあります。あまり評判にはならなかった作品ですが、良い作品です。
一番しんどかった本が「弘法大師空海」
最初の出だしが空海の言葉「生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く 死に死に死に死んで死の終わりに冥し」
「悟りとは悟ってみなければ分かりません 愛という言葉を知っていても人を愛してみなければ愛が分からないのと同じです」
「ですから、肉体の親は両親でありますが、魂の親は両親ではないという事です」
旅の途中、停めて泊めてもらった人から「ですから人の火という意味で他火(たび)ですからいいんです 他人の火であたたまり 他人の火で煮たものをいただくという事から他火(旅)と・・・はい」
「本当はね人体は神体と言ってね 心臓は神臓(しんぞう)と言うんですよ 腎臓は神蔵(じんぞう) 肝臓は神蔵(かんぞう) 血管は血神(かん)でしょう」
「・・・一日生きれば一日死に近づくという事です ですから一日生きる事がどれほど大切な事か分かるでしょう・・・」
まだ含蓄に富んだ言葉がありますが、長くなるので・・・残念ながらこの漫画は空海が唐に出航するところで終わります。途中、現代人の”ハロルド高石”なる人物が、いろいろ説明をしています。難解なところもあるので、もう一度読みなおす必要があるかとは思いましたが・・・。
なお、ジョージ秋山さん、絵が上手いですね。特に線が良い。女の子の描き方は特に素晴らしく、登場人物の女の子に惚れました。
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