「鳥居の数え方」~庄屋さんの古文書より
古文書研究会に入って二年。まだまだ思ったとおり読めません。
昨日、予習をしていると、赤の四角のところ「石鳥居 壱表」って書いてあるんですね。
最初は読み飛ばしましたが、途中で、あれ?鳥居の読み方は「基」ではなかったか?鳥居の数え方は「広辞苑」にも載ってないので、ネットで調べたら、やはり「基」しかありません。
この「基」という読み方古くからあったみたいで、「大鳥大明神書ー延喜22年(922)4月5日・和泉国大鳥神社流記帳『鳥居肆記〈略〉社前後各一基』」(ネット「数え方単位事典」より)とあるそうですから、随分古くから使われていたと思われます。
鳥居については不明なところが多いみたいですが、呼び方として「鳥居」「鶏居」「花表」「鳥井」「花居」「華門」「華表」「鶏栖」「八宿」「華極」「天門」(「鳥居 百話百説」川口謙二・池田孝・池田政弘著」)といろいろあるようです。
さて、何故に庄屋さんが「基」ではなく「表」を使ったのか。一時、島原半島の神社を回った時、江戸期の鳥居は「石華表」と彫ったものが多く見受けられました。
辞書で「鳥居」を引けば、最後の方に「華表」と載っています。「華表」を引けば「鳥居」と載っています(安い辞書には載っていません、多分)。ということで、「石華表」は「石」で造った「鳥居」という事になります。
「華表」についてはいろいろ論議がありますが、詳しくは「鳥居の研究」(根岸榮隆著・第一書房)の「鳥居とは何か」の所を読んでください。
この文書を書いた庄屋さんの村(町)の神社の鳥居も、ご多分に漏れず、「石華表」と彫られていました。
ここからは、私的な推論ですが「基」という数え方は、当時まだ地方までは普及してなかった。庄屋さんは鳥居の数え方で「石華表」という文字を見て、「表」という字を鳥居の数え方に当てはめたのではないか。ですから、「石手水盤」「石灯籠」については単に「壱ツ」「四ツ」としか数えていません。
これが正しいかどうかは分かりませんが、庄屋さんの文書を読みながらの推理でした。古文書は読んでいくと面白いですよ。あなたも如何。
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