「まあまあふうふう。」★八千草薫著 & 久しぶりに「人間臨終図巻」★山田風太郎著
「まあまあふうふう」とは、「中国には”いい加減”という意味の”馬馬虎虎(まあまあふうふう)という言葉があるけれど、そういう気持ちでいたらどうだろう」と八千草薫さんが監督である夫の谷口千吉さんにいわれた言葉だそうです。
いい加減は「良い加減」「いい加減」で、悪い意味での「いいかげん」ではありません。
八千草薫さん、昨年2019年10月24日に88歳で亡くなられました。本の中で、乳がん、膵臓ガン、肝臓ガンの事が書かれてあります・・・
この本が出版されたのが2019年7月8日。逝去された3ヶ月ほど前になります。
八千草さんには子どもが無く、本にも死んだあとの心配事も書いてありましたが、「断捨離」について、「だから、私、『断捨離』という言葉がすごく苦手なんです。(中略)思い出も何もかもー私のこれまでを全部始末しながら生きていくなんて、そんな人生は、『ちょっと寂しいなぁ』と思うのです。」と書いてありました。
本を読んでいくと、老いるという事、老いをどう受け入れるかが優しい文章で書いてあります。
ということもあって、久しぶりに「人生臨終図」を開けて、私と同じ年齢(72)で亡くなった人を読んでみると「孔子」「安倍仲麻呂」「西行」「沢庵」「三井高利」「水戸光圀」「ショーペンハウエル」「榎本武揚」「田中正造」「後藤新平」「徳田秋声」「添田唖蝉坊」「ユトリロ」「柳宗悦」「佐藤春夫」「佐佐木茂索」「内田叶夢」「リンドバーグ」「山本嘉次郎」「棟方志功」「舟橋聖一」「ジャン・ギャバン」「ジョン・ウェイン」「松本幸四郎(八世)」「田村泰次郎」。
今では、72歳で亡くなったというと「まだ、若いのに」といわれる時代になりました。こうして名前をながめると、この人、72歳で亡くなったんだっけ?という感じの人が多い事を感じます。読んでみて、生き方、死に方も千差万別です。この本、機会があったら是非お読みください。「人生」、いつかは迎える「死」について考えさせられます。
「沢庵」は亡くなるとき「夢」と書き、下のような遺戒を残したそうです。
「全身を埋めて、ただ土を覆うて去れ。経を読むことなかれ。斎を設くることなかれ。道俗の弔賻を受くることなかれ。衆僧、着衣喫飯平日のごとくせよ。塔を建て像を安置することなかれ。碑を立つることなかれ。・・・年譜を作ることなかれ」
いかにも「沢庵」らしい遺戒だと思います。私も真似しようとは思いますが、「書いてもらうほどの年譜」は無いし・・・
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