「レオナルド・ダ・ヴィンチの童話」★西村暢夫・渡辺和雄共訳・裾分一弘監修
レオナルド・ダ・ヴィンチの童話です。ダ・ヴィンチといえば、「モナリザの微笑」ですが、芸術のみならず科学の面でも優れたものを残しています。
この本を見たとき、ホンマかいな、とは思いましたが、ホンマです。どんなかというと、一つだけ書き写してみます。
「小猿と小鳥」
小猿がね、とってもかわいい雛鳥、捕まえたんだ。
かわいいな、かわいいな。
小猿はね、小鳥を抱きしめたり、転がしたりしたんだ。
そうしたらね。
小鳥はね、死んじゃったのさ。
かわいがりすぎて、死んじゃったのさ。
あんまり強く抱きしめたからさ。
いいですか、お母さん。
あなたもね、子どもをただかわいがるだけでは、いけないんです。
現代にも通じるというか、いつの時代にも変わらないものを感じます。
寓話的なものを多く含んでいますが、ウィット、ユーモアにあふれ、自然を良く観察しながら書いている童話が沢山あります。
さて、ダ・ヴィンチの童話は解説の裾分一弘氏によれば、「寓話に関していえば、レオナルドは、先人の著作から転写、ないしはその文節を借用しながら、それを彼自身の流儀にしたがって改作、翻案しています。」と書いており、プリニュウスの「自然誌」を例に挙げています。
ダ・ヴィンチは、クリストフォロ・ランディーによるイタリア版を使っているそうですが、比較すると、「レオナルドは、もとの文節をかなりの部分にわたって書きかえていることがわかります。書きかえた部分が、まさにレオナルド自身をかたっています。その箇所から、レオナルドの人柄や、性格や、人生観等をうかがうことができるのです。」ということだそうです。
で、この本を読んでもダ・ヴィンチの童話の全貌は分からないようで、ブルーノ・ナルディーニ氏の前書きによると「この本はレオナルドが残した『童話』と『物語』を集めたものです。もちろん、全部ではありません。なぜなら、あるものはとてもグロテスクで、非現実的であり、別の本にまとめられるべきだ、と考えたからです。」という事で、この方面の童話が読めないと、ダ・ヴィンチの姿が分からないと思われます。
どんな「童話」なのか、早い出版が待たれます。
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