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2019年11月11日 (月)

「アンジュと頭獅王」~吉田修一著

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11月11日、NHK長崎の6時台のローカルニュースで、長崎市立図書館の司書さんが、図書館の予約のベスト10だったか20だったかで紹介していて、かなり上位に入っている本です。

吉田修一さんは、「文学界新人賞」「山本周五郎賞」「芥川賞」「大佛次郎賞」等々を受賞し、注目されている作家の一人でもあり、長崎県生まれの作家です。

「山椒大夫」「さんせう大夫」「安寿と厨子王」題名については各種あります。この本では「アンジュと頭獅王」になっていますが。


この物語は「説経節」の一つであり、以前、中途半端に紹介をしました・・・参考にはなりませんが・・・

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と言うことで、「さんせう大夫」のことは「説経節」で読んでいたのですが、途中までは「説経節」そのままの展開で、あ~、単なる現代語訳か、とは思い途中で読むのを止めようかと思ったのですが・・・


「頭獅王」が山椒大夫の所から逃げ出し、追いかけられ国分寺に逃げ込み、頭獅王の素性を知った和尚が厨子王を匿い、皮籠に隠し背負って逃げますが、ここからが俄然面白く。


岡崎・藤川打ち過ぎて、すでに遠き都は応仁の灰燼となり、

山城、加賀に一揆あれば、赤坂は旅舎の飯盛女

おいおい、応仁の乱とか加賀一揆は時代が違うやないか、と思いしや、表紙にあるが如く時空を越えていきます。


丸子の弥次喜多はこれとかや。


まだ、ここらへんましな方で、


太閤秘策の小田原城、浦賀に立つ黒船ペリーとはこれとかや、


とか


5・15、2・26、1945、8・15とはこれとかや


ということで、かなりテンポが速く、あれよあれよという間に、まさに「時空を越えて」現代まで吹っ飛んでいきます。

これ以上書くと、皆さんが読むとき面白くないので、止めますが、「物語」の力強さを感じる一冊でした。

まさに「安寿と厨子王」ではなく「アンジュと頭獅王」という吉田氏の創作です。



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