「府中三億円事件を計画実行したのは私です。」★白田著
あまり悪口を書かない私ですが、今日は少々辛口で・・・・
三億円事件と言えば、戦後最大の話題の事件になります。時効はとっくに過ぎましたが、数年に一度はこの事件に関し本が出ていたのですが、と言うより、出尽くしたと言っても良いかもしれません。
ですから、この小説に対し、「事実を良く知っている」という感想もあるようですが、これだけ本が出ていれば、内部事情も良く分かるはずです。
さて、この本「『小説家になろう』で1位の話題作、緊急出版」、となっており、「小説家になろうーみんなの小説家投稿サイト」での話題小説であったようです(現在は削除しているそうですが)。
「BLOGOS」で、本人にコンタクトをとり、メールでやりとりをしたようですが、細かいことはよく分かりません。→こちらを参照
読んで見て、薄い文章です。ディテールがほとんど分かりません。
ただ一ヵ所、当時はセクト間の争いが派手で、二つのセクトが議論するところがあります。ここのところは、当時、あの時代を生きてきた人間にしか分からないと思います。
・・・・三神会長(女性・カリスマ的リーダー)は続けます。
「では平田氏、ひとつだけお聞きしてもよろしいでしょうか」
「・・・何だ?」
「先ほどから度々口にされる革命という言葉ですが・・・・・・、では革命とは?」
「決まっているだろう。現状の腐った政治体制をぶっ潰す事だ」
「違います。革命とは関係性の逆転です」
共感できたところは、ここだけでした。
さて、これが事実かどうか?簡単です。私、一時、印刷会社に勤めていて出版会社に出入りしたので、本を読むときは最後の奥付の作者とか出版社とか出版日付などもチェックする癖があるのですが、この本の奥付の最後のところ、こう書いてあります。
「この作品は、フィクションです。」しかも、小さな字で。
「この作品は、ノンフィクションです。」とはどこも書いてありません。
この言葉を作者が書いたものであれば作者に「あれ、嘘じゃ無い」と言われたとき、「『この作品はフィックションです。』と書いているでしょう」と言い訳ができるわけです。
もし、出版社のポプラ社が書いたものなら、同様に「あれ、嘘じゃないか」と言われたとき、「だから『この作品は、フィクションです。』と書いてあるでしょう」と言い訳ができるわけです。実に巧妙な罠です。
読後感としては「三億円事件」をダシにした、恋愛小説です。それもヘタな。看板に偽りあり。です。
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