「六輔 五・七・五」
「六輔」は「永六輔」さん、「五・七・五」は俳句のこと。
永六輔さんは、俳句が好きな有名人が集まった「東京やなぎ句会」に入っていましたが、「東京やなぎ句会は」、「柳家小三治さんが『この句会で俳句をつくらなきゃ、どんなに楽しい会だろう』とよく言います。」といった句会です。
図書館にいったら、上の本があったので借りてきました。
多分、永六輔さん、大橋巨泉さんがTVに出たのはこれが最後だと思います。放映は2016年2月4日。
永六輔さんはパーキンソン病、大橋巨泉さんは癌と腸閉塞。
この後、7月7日に永六輔さん。7月12日に大橋巨泉さんが亡くなっています。
下が、42歳の時の永さんですが、私が始めてTVで見たのが、「夢で逢いましょう」。たしか、永さんが20歳代だったか、ハンサムな顔でも無く、早口の江戸っ子口調で話していたことを思えています。その時は、下の画像より痩せていました。
深夜放送で、自由律俳句の「種田山頭火」を紹介し、チョットした「山頭火」ブームがありました。
と、書けばきりが無いので、「六輔五・七・五」から、永さんの句を少しばかり、ご紹介。
第一回の句会の永さんの句。
■「煮凝をいれてみようと姫始め」
この本に少しばかり永さんのエッセイが入っていますが、この句「忘れてほしい句」という題になっています。でも、煮凝りをどうして入れるんですかね?
永さん自身も「はっきりいって以後、これ以上ひどい句は作ってない。/そうかといって、これ以上良い句も作ってない。」と書いています。
なお、一番評価を得た句が。
■「寝返りをうてば土筆は目の高さ」
上の句に比べれば、ダンチ(段違いの略)ですが、句会の宗匠曰く、上の句が頭にあったのか、上手な句で口惜しかったのか「今度は土筆を入れてみたら・・・その方が江戸前ですよ」との事。
■「志ん生もなめくじも又なつかしく」
五代目志ん生の事ですが、「なめくじ長屋」に住んでいました。いかにも、江戸芸が好きな永さん。
■「左からビールと書いてある店で飲む」
■「濁り酒飲み干してなお空を飲む」
■「喉も胃袋もしかとうけとめたビール」
確か、永さんアルコールが全然ダメだったようです。島原の宮崎康平氏宅にいって酒を勧められたとき、飲めないと言ったら、宮崎康平氏「永君、杯を口に近づけて、風が酒の香りを運んでくるだろう、それを楽しめば良いんだよ」と言ったとか、確か深夜放送で言っていた覚えがあります。
その、宮崎康平氏への句。
■「春泥や邪馬台国へ白い杖」
宮﨑康平氏は目が不自由でしたが、「まぼろしの邪馬台国」の著作があり、邪馬台国ブームを起こしました。映画にもなっています。
■「高さより深さと言おう秋の空」
いわれてみれば、その通り、としか言いようがない句。
■「初めての肌をあわせて明易き」
■「遠雷や情事の記憶甦る」
多分、この句を作った頃、永さん結婚していたはずですが、浮気でもしたのかな?
■「新米を研ぐ腰つきや浮き浮きと」
■「梅干しでにぎるか結ぶか麦のめし」
最近は「米を洗う」という人が増えているようですが、「米」は「研ぐ」です。「心」を「研ぐ」と一緒です。
さて、にぎりご飯は「結ぶ」でしょうか「にぎる」でしょうか。
■「手の平に溢れて今日も薬の日」
永さんも薬漬けだったんですね。私も、11種類ばかりの薬を飲んでいますが。
■「傷だらけ昭和の日記果てにけり」
「日記果てにけり」どころでは無く、私の回りにも戦前生まれ、戦後生まれにかかわらず、亡くなっている方が多くなっています。昨日は職場で6年ばかり一緒で、63歳で亡くなった方がいましたが、ガックリしました。
これも、深夜放送で言っていたと思いますが、永さん、昌子さんという女性が、TV局に職を求めてきたとき、「それよりボクと結婚しなさい」と言ったそうですが、奥様は永さんより先に亡くなられました。
■「みとられるはずをみとって寒椿」
■「春の賀状読まずに逝きにけり」
■「今年から男やもめや日向ぼこ」
最近、芸能界でも大物といわれる方が亡くなることが多くなりました。私もあちらこちら調子が悪く、心配ですが、あと2年ばかりやる事があるので、それまでは頑張るつもりではいるのですが・・・・
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