「悲しみの処方箋★主婦の友社刊」~再び永六輔さん
先日、カミサンの同級生のお母様が亡くなりました。カミサンが香典のお返しをあけて、「あれ、こんなものが入っている」。見ると「紅白」のお餅でした。聞くと、108歳の大往生だとか。葬式の方法にも、いろいろな送り方があるものだと思いました。
先日、いつもの本屋さんに行ったら上の本が置いてあり、この手の本、最近増えてきているので、またか、と思いましたが「永六輔」さんの名前があり、永六輔さんの所を読むと、思わず涙腺が緩んで、大の大人が本屋で立ち読みをして、泣いている姿もみっともないので、買ってきました。
本の帯には、「伴侶・親との別れ・・・」「がんと向き合う・・」「それでも生きてゆく・・・」とありますが、内容は「あきらめきれない悲しみ」「やりきれない悲しみ」「終わりのない孤独」の3章から成り立っています。
「伴侶・親との別れ・・・」は、親、伴侶を亡くされた方、寺田理恵子さん、イルカさん、玄順慶さん、小出明子さん、落合恵子さん、木之内みどりさん、高木恵子さん、宮林恵子さん、宮林幸恵さん、河合智恵子さん、石井須美子さん、羽成幸子さん、ひろ さちやさん。
「がんと向き合う・・・」は、がんにかかった方、鳥越俊太郎さん、寺内タケシさん、医者の立場で鎌田實さん、内富庸介さん。
「それでもいきてゆく・・・」は、永六輔さん、樋口恵子さん、山折哲雄さん、帯津良一さん。
寺内タケシさん「病を治すのは医者だけど、体を守るのは自分自身。」
鎌田實さん「がんであってもなくても 人間はいつか死ぬんです」
帯津良一さん「人間は、もともと孤独で寂しい生き物です。心、体、命に感謝し、生老病死それぞれのステージを 心ときめかせて生き抜きましょう」
それぞれに、自分の経験から、話を語っていますが、「悲嘆に暮れている人と向かいあったら」「『悲しみから再生へ』の5段階」「辛い悲しみを優しい悲しみに返るヒント」「「悲しみに寄り添いつつ笑顔の人生を送るには」等、いざというときのヒントが書いてあります。
私も、前立腺がんの放射線治療を受けて、約1年。2年までは様子をみます、と言うことで、3ヶ月に一回、女性ホルモン注射を打ち、抗がん剤を飲んでいますが、本を読みながら、いろいろ考えさせられました。
永六輔さんについては、つい先日「六輔 五・七・五」で書いたばかりですが・・・
永六輔さん、読んでみて、どんなに奥様を愛しているかが分かります。奥様が亡くなられたのが2002年1月、永さんが亡くなられたのが2016年7月7日。奥様が亡くなられた4年後、永六輔さんが語ったものです。
有名人については、家族を表に出す方、出さない方と別れているようですが、永さんは、ほとんど出さなかったと思います。
この永さんの言葉を読むと、どんなに奥様を愛していたかが分かります。
永さんの子どもさん曰く「(父は)子どもより母と手をつなでいた。仕事以外はどこへ行くのも一緒」「1日に10回くらい母に電話をしていたわね」「父は母を『好きで、好きでしようがない』人だった。」
永さんの奥様、昌子さんの持ち物は、生前のままにしてあるそうです。「『ひきずってはダメ。思い出の多い家から引っ越しをしなさい』と忠告している友もいます。・・・・大体仏教徒が行くのはあの世。あの世とは草葉の陰。つまりその辺にいるのは自然なわけで」
昌子さんが亡くなっても、永さんは旅先からハガキを送り続け、ハガキは4年間で千通を越えたそうですが、ハガキは昌子さんの骨壺の前に積んであるそうです。骨壺は家の中に置いてあるそうですが「だって、昌子さんは『お墓から出てくるのは大変。墓には入りたくない』と言ってたんだもの。」
葬式の時は、なにをどうしたら良いか迷うことが多く、葬儀社の言うとおりに進めることが多いものですが、永さんは葬式を体験することが必要だと。「だから、人様の葬式に参列する。」「何事も体験してみなければわからないでしょう見知らぬ人でもいい。葬式があったら参列して、音楽はこういうのがいい、こういうつまらない弔辞はやめる。と人様の葬式に学ぶ。大丈夫『どちら様?』なんて聞かれることはありません。・・・」
永さんの最後について、「もちろん、決めています。沖縄に2人分の骨は入る”厨子甕(ずしがめ)”という骨壺があるんですね。いい死に方で、この世とサヨナラしたら、昌子さんと僕の骨を一緒に厨子甕にいれてもらい、娘の本棚の本の間に置いて貰う。永夫婦は、ともにブックエンドになるのです(笑)」
ということで、私も永さんのように”死”ということに、明るく考えてみようとは思っているのですが・・・・
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