「漫画で読む長崎キリシタン史 夢日記」~西岡由香著
「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が「世界文化登録遺産」になる感じで、教会の写真集とか、教会、キリシタンに関する本が随分増えてきたような気がします。
上の本は、平戸、橫瀨浦、島原半島、有馬、大村、外海、長崎等の歴史、ポイントなどを描きながら、フロイス、天正遣欧使節、有馬晴信、セミナリオ、中浦ジュリアン、島原の乱、ヴァリニアーノの事に触れ、漫画とはいえ要領よくまとめてあります。入門書としては適当かなと思いました。著者をみると、長崎大学非常勤講師になっており、参考図書などみると、よく調べた事が納得できます。多少、ロマンチックかなと思うところもありますが・・・読んで損はありません。
さて、以下は、思いつくままの私見になりますが。
島原半島では、原城のみが候補地になっていますが、上の本を読めば分かるとおり、口之津、日野江城(日之枝城)が、キリシタンの歴史としては重要なポイントになるのですが、「文化遺産」は多分「物」、特に目立った「物」が無いと候補地にはならないようで、口之津にはこれといった遺産もなく、日野江城にいたっては、各ブログを読んでいると「何も無かった」とよく書いてありますが、キリシタンについては、「点」でなく「ストーリー」として見なければ本当の理解はできないと思うのですが・・・・
なお、遠藤周作さんの「日本紀行『埋もれた古城』と『切支丹の里』」を読むと、久しぶりに訪れた島原半島の俗化を嘆きつつ、特に原城については以下の通り書いています。
昔日のいかにも原城らしい荒涼とした風景が俗悪な十字架やアスファルトによる公園化で、すっかりこわされているのだ、話をきくと国体があった時、ここにお偉い方がこられるので、城の道もアスファルトにしたのだという。いい加減にしろという気持ちである。こういうものの保存の仕方に市や県庁の連中だけの趣味にふりまわされてはたまらない。・・・・
ということで、世界文化遺産登録になったら、どう整備をするのかですね。
なお、原城も漠然と行っただけでは、なにがなにやらで、単なる「観光」、という感じになると思います。現在、原城にはワンコインのガイドさんがいて、説明をしてくれます。
数年前、本丸で簡単な調査をしておりましたが、良く見ると「白骨」と「弾」が出てきており、観光に来た皆さんの足下にも、まだ乱に参加されたされた方の白骨が埋もれているかもしれません。行かれた折には、是非ガイドさんの話を聞きながら、「観光気分」では無く、敬虔な気持ちをもって、見学を。
先日の新聞に「神聖な教会 観光地化に疑問」という投稿も載っておりました。また、「軍艦島(端島)」も世界遺産登録になりましたが、考えれば、閉山して数十年、そのまま、ほっぱらかしにありましたが、廃墟ブームとともに見直され、世界遺産登録になったわけで、長崎市も修復等、今後どうするか、悩んでいるようすです。
長崎は産業が少なく、観光に頼ら無ければならないのですが、遺産登録後の問題をどうするか、本当に生かす方法を考える必要があるのですが、各市のトップの話を聞いていると、何となく観光客が集まれば、という感じをうけます。
さて、もう一つ、実は私は反キリシタンです。このことは、世界的にキリシタン史の歴史を見れば分かることなのですが、これはいずれ取り上げます。
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