「注文を間違える料理店」~小国士朗著
「ハンバーグ」を注文して「餃子」を出されたら、誰だって怒りますよね。
といっても、このレストランでは誰も怒らない。「注文を間違える料理店」だから。
思いついたのが、テレビディレクターの小国さん(本の著者)。で、あることから、取材をしたのが、首都圏を中心に20カ所以上を経営する認知症の施設。
統括するのがマネージャーの和田さん。このとき、小国さんは認知症をまだ、非常にネガティブにとらえていたそうです。
ある日の献立が、「ハンバーグ」。買い物も、調理も入所者の方がしますが、出てきたのが、「餃子」。でもって、誰もが文句も言う人もなく、うまそうにほおばっていたそうです。このとき思いついたのが、「注文をまちがえる料理店」
いろんな方に声をかけ、協力を求めながら、「注文をまちがえる料理店」を開催したそうですが、今のところ、イベント型で、一年に2.3回、2,3日、開催しているそうです。場所もまだ特定していないみたいです。
もちろん、調理場、ホールにもプロもいるわけですが、ホールスタッフは、全員、認知症施設のおじいちゃん、おばあちゃん。ですから、「注文をまちがえ」、ハンバーグを頼んだのに餃子がでてきたりするわけです。
というと、間違うのが楽しみになったりしますから、2つのルールを作っています。
①料理店としてのクオリティにこだわる(オシャレであること、料理がおいしいこと)
②間違えることは目的でない。だから、わざと間違えるような仕掛けはやらない
ネット、SNSなどで、「いじめ」、「陰口」、「仲間はずれ」。子供も大人もギスギスした社会になってきています。この、「注文をまちがえる料理店」のように、「『ま、いいか』という寛容さ」をもった社会が必要かと思います。
私の近隣の所に、3カ所ばかりこのようなレストランがあり、知らずに入ったのですが、普通のレストランと一緒の感じでした。いい雰囲気をしていました(前にも紹介したかな?私も最近、認知症気味で・・・)。
なお、本の前半は、「『注文をまちがえる料理店』で本当にあったものがたり」で、スタッフの方、お客さんとして来られた方の話が書いてありますが、これには笑えます(泣けるところもありますが)。あと、認知症について考えさせられます。
何となく住みにくい世の中、人と人とのつながり、認知症の理解のためにも、ご一読を。
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