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2017年10月 7日 (土)

「聖書と歎異抄(たんにしょう」~五木寛之・本田哲郎著


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宗教というと苦手なのですが、この本意外と面白く読めました。

「五木寛之」さんはご存知だと思いますが、休筆をし仏教を学び、「親鸞」を書き、最近は宗教、人の生き方に関する本を書いています。時々「五木ひろし」さんと間違う方がいるので、注意してください。

「本田哲郎」氏は、上智大学卒業後、フランシスコ会に入会、71年司祭叙階。上智大学大学院神学部修士課程の後、ヴァチカンのローマ教皇庁聖書研究所を卒業。
のち、釜ヶ崎で日雇い労働者に学びつつ、聖書の翻訳、研究、失業者の生活支援等などに努めています。

面白いのが、本田氏がバリバリの聖書学者にも関わらず、現在の聖書に疑惑をもっていることで、随所にそのことが見られます。

イエスの父親は普通、大工だと思っていますが、「(『新約聖書新共同訳』『マルコ福音書』6章3節)が、本来の言葉『テクトーン』、石切人の事です。」とあり、「大工」は、「ステータスでもあり、名士ですよ。」という事ですが、「石切」は「昔の映画を見ていますと、そこでは犯罪人とか囚人が石切をよくやってますね。」ということで、「大工」と「石切」ではイエスの父親に対するイメージが全然違ってくるわけです。

「心貧しい人々は、幸いである」という言葉はよく聞く言葉ですが、50~70人のそれぞれの分野の聖書学者と連携して訳をおこなったとき、ほとんどの学者が「マタイ福音書」の「心貧しい人々は、幸いである」というのは「原文とまったく違う事を日本語で表現している」と一致したそうです。

ところが、「聖書を出版するキリスト教サイドとしては、それはいじらないでほしい」と。理由は「辞書などにも、たとえば『心の貧しい人々は、幸いである』という例文が出ていたりして、もうすでに長い間、一般化されている・・・・・まして教会の中ではずっと言い続けて来た。その表現がもし多少でも変わってしまうと、聖書として受け入れがたくなる。・・・・」ですから、「もっとちゃんと原文に近い表現に直そうとしているにもかかわらず、できませんということになる。」という事になるそうです。

さて、この本は五木寛之氏の学識の広さが伺え、聖書まの知識も広く、親鸞とキリスト教の勉強をするのに、ピッタリの本かと思います。巻末には、五木寛之氏の「歎異抄」の現代語訳ものっています。

なお、話は少し変わりますが、江戸時代には全員どこかの寺に属していました。
これは、島原・天草の乱後、キリシタンを取り締まるため、キリシタンではないことを仏教寺院に請け負わるためで、「寺請制度」をいいます。

年に一度程度、各村を回り、「宗門御改帳(地方、時代によって多少の違いあり)」を作っています。下の写真です、宗派別に作っているのが分かります。右から「天台宗」、「禅宗」、「浄土宗」、「真言宗」になります。

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もちろん、お調べのときは、下の図のように踏絵をしていたそうです。前にも書いたように、この時使った、筆代、墨代、食事代(場合によっては、朝から酒)、お土産まで村のお金で賄ったそうですから、現代の役人のほうがましだ、と言えます。

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なお、「宗門改帳」には、各家の一人一人の名前も書いてあります。

下は、「禅宗定津院」の檀家、儀右衛門さん41歳の家族で、女房、子供が16歳、8歳、4歳。37歳の茂吉さんかと思いますが、多分、歳から見ると、儀右衛門さんの弟で、嫁さんを貰い遅れたものと思われます。母は63歳ですから、当時としては長生きかな。

女の子は「娘」、男の子は「子」とあり、女性の名は書いてありません。時代が分かります。

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男4人、女3人の家族だという事が分かります。
かように、私たちは、昔は強制的にどこかの寺に所属をさせられたわけです。

キリスト教にしても、十字軍、魔女裁判、異端諮問。また、第2次大戦にしても、宗教界がどのような態度をとってきたか、今の各地に勃発するテロにどのような態度を取っているのか、また、寺の仕事は葬式と言われる中、もう一度、宗教の本質を考える時代になっていると思っているのですが。





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