「院長選挙」~久坂部羊著
面白そうだったので何気なく買ったのですが、「主な登場人物」が紹介してあり、これが、なんと31名。前にも書いたように、私、3名以上の登場人物、覚えきれないんですよ。で、金使って買ったんだから読みましたが、面白かった。
「院長選挙」と言えば思い出すのが、「委員長選挙」。私、先生の推薦があったにもかかわらず、落選しました。それ以後、「選挙」といえば、トラウマになっています。で、今回の「町議会選挙」にも出なかったのですが・・・
個人病院、個人経営の総合病院なら問題はないのですが、舞台は超エリート天大病院。
病院長の突然の死去(これも問題の死に方)に伴い、病院長選挙が行われますが、副院長がなんと4名。それも仲が悪く、陰口は叩く、病院の宴会ではお互いに罵り合う、セクハラはある、パワハラはある。と、まあ、ほんまかいなという感じですが、病院の内部を抉り出した「白い巨塔」時代と変わりありません。だた、コメディタッチでは書いてありますが。
ところが、この4名、その医療技術にかけては最高のレベルを持っているのですが、そこのところは、視力訓練士長の言葉、「・・・・副院長たちは、白鳥か黒鳥かは別として、水面下では必死に水を掻いているのです。運や才能だけで今の地位に就いたのではありません。性格的に問題はあっても、患者を治療すること、医学の発展に寄与することにかけては、余人の追随を許さない努力を重ねてこられたのです。」
医者になるといえば、各大学の医学部に入るのが一番難しいのですが、特に跡継ぎの子供は、小学校から勉強ばかりで、長じては「先生、先生」と言われるので、多少、性格的に偏りがあるでしょうが、それは反面の事で、反面は上のような事です。
小説としてはフリーライターの、赤沢アスカが、「医療崩壊」についてルポをする形式をとっていますが、その中に、現代医療が抱える問題、投薬の問題等考えさせる事が書いてあり、あまり肩が凝らず気楽に読めますから、秋の読書にご一読を。
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