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2017年6月28日 (水)

本当は・・・


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某資料館に展示してある十字架です。

島原・天草一揆の舞台、原城の発掘調査で見つかったものです。これは、本格的な十字架ですが、原城に立て篭もった一揆勢が、火縄銃の鉛製弾丸から作った十字架も34点出土したそうです。


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さて、分かりやすく一番上の十字架、なんだか変だと思いませんか?穴の開いたところに紐を通し首にかけると・・・

Img_1413_5

逆十字になります。

さて、この逆十字については、「日本キリシタン墓碑総覧(企画 南島原市教育委員会:編集 大石一久)」の論考集に、森脇あけみ氏が考察されているところですが、論文で長いので簡単に書くと。

原城に籠城した人には、キリシタンを離れたもの、いわゆる「転び」、また、「転び」から再びキリシタンに戻った、「立帰り」の者がいたわけです(籠り軍全員がキリシタンというわけでありません)。

さて一方、イエスの弟子に聖ペテロがおり、天国の鍵を授けられるわけですが、最後の晩餐後、イエスはペテロが「鶏が鳴く前に3度、私を知らないというだろう」と予言します。

イエスが連れていかれ、ペテロがその様子を陰から見ているとき、「イエスの弟子か?」と聞かれたとき、「違う」と否定し、それが再三問われ、再三否定をし、その後が鳴くわけで、いわば、キリストを裏切る感じになるわけです。

その後ペテロ改心し各地を巡回し、教えを説いていくわけですが、ネロ皇帝の迫害で捕まり、逆十字架にかけられ(さかさまの磔)処刑されます。

森脇氏は、「転び」「立帰り」につき、詳しく論述していますが、この部分は長いので省略をしますが、次のように記述しています。

「このように、当時島原や天草では、棄教し立帰ることを、ペドロの故事に重ね合わせていたことがわかる。ペドロはかってイエスを3度否認したものの痛悔し赦された。またペドロは、天国の鍵を持ち、ペドロが地上で赦す者は天上においても赦される。籠城中、棄教という大罪を痛悔していた一揆勢は、鶏が鳴く前に三度イエスを否認したペトロの心情に自らを重ね合わせたのではないだろうか。彼らは、痛悔の念と罪のゆるしを願う心をあらわすために、ペドロが殉教した『逆さ十字架』を作って、籠城中携帯したのではないだろうか。(後略)」

さて、資料館においては、一番上の写真のように展示してありますが、本当は・・・首から十字架を掛けた、ということを考えるなら、3番目の写真のように展示するのが正しい姿だと思うのですが・・・帰りがけ、受付のお嬢さんがあまりにも美しく、ついつい声をかけ、上司と相談して、逆に展示した方が良いのでは?と説明しつつ、美しい笑顔に送られ、資料館を後にしたのであります・・・

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