「漱石先生、カステラをなんと書かれた?」~松翁軒広告・カステラ文学館49
長崎のカステラの名店、松翁軒の広告です。いつも面白く読んでいるのですが、今回は少し気になるところがあるので・・・
最初の部分です。見にくいので、書き写すと
夏目漱石は当て字の名人だった。『吾輩は猫である』では秋刀魚(さんま・注ルビにて表記)を「三馬」と書いた。『それから』には「馬尻(ばけつ)」が出てくる。『三四郎』では、「盆槍」とかいて「ぼんやり」と読ませる。文豪がいま中学生に生まれ変わったら、国語のテストがいちばん心配だ。(以下略)
夏目漱石は当て字、誤字が多いと以前から聞いてはいたのですが。
ここに3冊の本があります。いずれも古文書の入門書になります。
「古文書はじめの一歩」には街道筋にある、夜の村の見回り、門の開け閉めの事などが書いてありますが、夜には門を閉め、朝開けますが、このところの表現は「翌朝門共明(よくあさ、もんどもあけ」ですが、「明」は現在「開」であり、今の学校で、「開け」を「明け」と書いたらもちろん✖ですね。
油井さんは、「”間違って”いると思われたでしょうか。確かに現在の漢字テストでは『門を明ける』と書いたら、バツをされてしまうでしょうね、しかし、古文書では、音(オト)さえ合えば、まるでいろいろな書き方を楽しんでいるようかのように多様な表現が見られます。それは、単に”当て字””勘違い””間違い”というだけではなく、何か豊かな世界を感じます。」と書き、例字を書いていますが、ほかの2冊にも例字が載せてありますので。
「浮空」は「上の空(うわのそら)」。「深切」は「親切」。「留主」は「留守」。「異見」は「意見」。「墓無」は「はかなし(むなしい事)」。
油井さんが書いているように、「音さえ合えば」適当に書いていく。それが、昔の「日本語」の書き文字になりますが、油井さんは続いて、「”間違っている”と目くじらをたてずに、『なるほど、面白い』『書き方の正解が一つしかない、という文化ではないのだ』と思っていしまった方が、奥行きが深い古文書と長く付き合っていくためには賢明です。」
という事で、夏目漱石の文字も、間違い、当て字と言わないで楽しんでいきましょう。なお、私のブログも誤字が多いとのご指摘もありますが、わざと間違っているものです
「古文書をはじめる前の準備講座」に
第二期◆文明開化時期(明治維新1868から明治33年1900まで)
明治の文化革命(明治維新)により、活字・活版の時代に変革しました。
かなの使用は従来同様でしたが、新聞や活字本が急速に民間普及するのにともなって、徐々に一音一字に移行していきます。・・・・・・
第三期◆戦前期(明治33年1900から昭和20年1945まで)
文部省は、明治33年に「小学校令施行規則」をもって、50音図を示して、かなの一字一音使用を定めました。(以下略)
という事で、日本の文字が段々と味気なくなった、という事です。
さて、夏目漱石の「虞美人草」には、カステラの事を、「・・・チョコレートを塗った卵糖(カステラ)を口いっぱいに頬張る。」と「カステラ」の事を「卵糖」と書いています。なるほどの表現です。
「松翁軒」さんは、明治中期、チョコレートを使った松翁軒オリジナルのカステラ「チョコラーテ」を創り出しており、これは、チョコレートをカステラに練りこみ、夏目漱石の「チョコレートを塗った」カステラとは違うようですが、なんとなく気になる所ではありました。
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