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2017年3月 1日 (水)

「10秒のキス」~全亭協(全国日本亭主関白協会)シンボルストーリー

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昨年12月からだったか、毎月、全亭協会長のコラムが届くのですが、ここ3カ月ほど配信が無く、ホームページを見ても更新が無く、奥様とお別れになったのではと心配なのですが・・・

全亭協のホームページを見ていたら「10秒のキス」というコラムがあり、読んでみたら涙目になりました。

カミサンにいじめられても、カミサンには優しくすることが必要だと実感した次第です。実話です。(読みにくいので、段落は私のほうでつけました。)


十秒のキス

 例年より桜の開花が遅れていた。総合病院のエントランス脇にある数本の桜も5分咲きで、春の訪れを待ちわびている。 

 6時にロビーで待ち合わせていたが、高1になる長男から携帯に「少し遅れる」とメールが入った。高3の長女と中学2年の次男と一緒に一足先に妻の待つ病室に入ることにした。  乳ガンが全身に転移し、余命幾ばくもないと、みんなが知っている。モルヒネの効果だろうか、いつになく穏やかな顔だった。  先生が回診に来て、「どうですか、痛みはないですか」短い言葉に、妻は小さくうなずいた。 

 親の反対を押し切って結ばれた私たちは、社内恋愛だった。三人の子供にも恵まれ、それなりに幸せな毎日を送っていた。  今はもう、ベットに横たわる妻を見つめることしか、なす術がない。やがて先生は病室を去り、二人の看護師さんがテキパキと点滴を換えている。 

 長男が慌てて、病室に駆け込んできた。「ごめん、部活がおしちゃって」よほど慌てて来たのだろう。学ランの下からワイシャツがのぞいていた。  家族が全員揃ったのは久しぶりだ。子供たちの近況を聞いていた妻が、少しの微笑みと共に、私の方に目をやると、唐突に  「あなた、キスして」と言った。 

 二人の看護師さんと三人の子供たちには聞こえたのだろうか。一瞬ハッとしたが、ためらいもなく唇を重ねた。  生涯の中で、こんなに長いキスは初めてのような気がした。  薄目を開けて見れば、ひとすじの涙が頬を伝っている。そっと唇を離すと、嬉しそうに、だが、「短いのね」とスネてみせた。  看護師さんも子供達も見て見ぬふりをしていたような気がしたが、私は、「ふたりっきりの時にリクエストしてくれよ」と頭を掻いた。  精一杯の照れ隠しだったが、病室は静けさに覆われている。 

 やがて深い眠りが訪れたのを確かめて、病室を後にした。涙で、病院の長い廊下がユラユラと揺れていた。 

 それから丁度二週間後、妻は静かに息を引き取った。満開の桜の下で遺影を抱いた長女が、「あの時の母さん、とっても幸せそうだったね」とポツリ。  子供の前で交わしたキスからもう3年が経った。3人の子供達の心に深く刻み込まれたのだろう、短大を出た長女は、大学生と高校生になった弟達の面倒をよく見てくれている。  2人の息子達も明るく、真っ直ぐに育っている。 

 君の、最後のメッセージは、決していい夫ではなかった私の心にも、永遠に灯っている。 

 そして二度と交わすことが出来ない、君との「10秒のキス」を一生忘れないだろう。


最後に会長のコメントがあり

 このショートストーリーは全て実話。3年前に最愛の妻を亡くした全亭協の会員のN氏が天野にだけ語ってくれた「10秒のキス」物語。全亭協の会員へ夫婦愛の最高の形として密かに語り継がれている。もうすぐ満開の桜が咲く季節になる。

この話を公にしたことを、N氏の奥様はきっと天国で微笑んでいるに違いない。 彼は私に全亭協の愛の三原則、「ありがとう」「ごめんなさい」「愛してる」を妻が元気なうちに、もっともっと言えば良かったと、はにかんだ。



(上の写真は愛野町での「ロマンスウェディング」、
この話とは関係ありませんが、2年くらい前でしたか。幸せに過ごされていると思います。)



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