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2016年5月29日 - 2016年6月4日

2016年6月 4日 (土)

「仁義なき聖書ものがたり」~架神恭介(文)★芸術新潮6月号

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「聖書」といえば、「旧約聖書」と「新約聖書」がありまして、恥ずかしいことに、昔は「旧訳聖書」と「新訳聖書」と思っておりまして、「旧訳聖書」は文語体、「新訳聖書」は口語体と思っていたのですが・・・・・

こちらは、島原・天草の乱、隠れキリシタンの事があり、少しは聖書でも読もうかと思っていたのですが、手持ちの聖書を読んでも眠くなるばかりで、手短な入門書でもないかと思ったら、「芸術新潮」さん、意外な「特集 特別聖年記念」という事で、第1部が「ザ・旧約聖書ストーリーズ」。第2が「聖書と美術ー禁断の図像史」。

第一部が19のストーリーで説明してあり、例えば「02 アダムとエバ」の最初の所「『お、おどりゃ、なにしようるんじゃ!』『だってえ、旨そうじゃったけえ・・・』そう言うと、妻エバ(イブ)は手に持った果実をアダムに差し出してきた。ごくり・・・とアダムが喉をならす。確かに旨そうである。・・・・・」といった調子で書かれていますが、解説の所に簡略に説明がしてあり、「『善悪を知る木の実』の効果は一体何なのか。よく言われるのが、『本来神の専売特許である善悪倫理基準を定める権利を、勝手に行使できるようになる』・・・・」と要点はきちんと押さえて書いてあります。全部書くと長くなるので、題目だけの紹介で。

01 天地創造~神(ハヤウェ)の劇的ビフォーアフター
02 アダムとエバ~楽園追放のよくわからない真相
03 カインとアベル~神のえこひいきが招いた人類最初の殺人事件
04 ノアの箱舟~マジ勘弁、神の気まぐれリセット
05 バベルの塔~多言語発生!意思疎通崩壊的大混乱!!
06 ソドムとゴモラ~悪逆無法都市、最後の日
07 イサクの犠牲~忠義の人アブラハムにふりかかる、ためしてガッテンby神
08 ヤコブとエサウ~そんなのあり!!兄を出し抜くズルい弟
09 ヨセフの出世~ドッキリ作戦で兄たちに意趣返し
10 モーセの召命~中間管理職はつらいよ
11 出エジプト~紅海パッカーン!されどモーセの苦闘は続く
12 エリコ攻略戦~イスラエル軍最強伝説
13 サムソンとデリラ~神のマッチポンプ作戦をいろどる勇者と美女
14 ダビデとゴリアテ~巨漢を倒した鉄砲玉は美少年
15 バト・シェバ~ダビデ王のゲス不倫
16 ソロモン王とシェバの女王~金満男とセレブ女の邂逅

17 アハブ王~賢帝に着せられた”歴代最悪”の汚名のナゼ
18 バビロン捕囚~南国滅亡、その時預言者は・・・・・・・
19 エステル~極悪非道の”美談”を演出した美貌の王妃

あと、2部の「聖書と美術」はかなり、●ロい絵が載っていますのでお楽しみを。

さて、読んでみて、大体の外郭は分かったので、旧約聖書を少し読んでみようと思うのですが、途中に「教えて!旧約聖書!」という部分があり、「そもそも旧約聖書は、いつ、どうやってできたのですか?」「旧約聖書をざっくり一言でいうと?」「なぜ、キリスト教でも旧約聖書を用いるのですか?」など分かりやすく書いてありますが、旧約聖書には矛盾が多いらしく、「むしろ『聖書に書かれていることはすべて真実』としてはいけないという態度が聖書の冒頭で示されている、あまりまじめに読まないでネ、と古代の書き方で表現したととればいいと思います。」という事で、気軽に読んでみますか。

しかし、読んでみて、神さんは不可解なもので、うちのカミサンも不可解なことが多いのですが・・・





2016年6月 3日 (金)

「島原街道について」~駄賃・特に千々石街道について


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   (島原半島の歴史より)


島原半島ですが、左手のピンクの上の四角が「土井口番所」、下の四角が「原口番所」で、島原藩と諫早領の境になります。

赤丸印が島原で城下です。島原半島は昔、北目、西目、南目の三筋に分かれていました。

島原から逆時計方向に、島原、杉谷、三会(みえ)・・・・・・会津(愛津)、これが、北目筋になります。島原から時計方向に、中木場、安徳、深江・・・北有馬(大体青の丸印)、これが南目筋になります。青丸の所から、北有馬、隈田・・・・千々石(大体黒の丸印)、これが西目筋になります。

これを結ぶ線、黒い線が街道です。もう一つ、島原から山越えで千々石に至る道があり、これが千々石街道。

さてよく時代劇で、人足が荷を運ぶ様子がありますが、先日、古文書研究会で「島原領道法駄賃覚」(寛文十三癸丑歳六月一日)というのを頂き、「右の通り、吟味の如く、先規定候。壱里に付き、駄賃銀四分宛て、山越は、八分宛てに相極まり候間、此通り相心得べく事也」、という事で、壱里が銀四分、山越えはその倍になります


この、「銀四分」というのが、今の「円」に換算するといくらになるか、専門の方の話では、なかなか難しいところがあるのですが、ネットに換算のページがあり、これを利用すると→こちらをクリック 。で計算すると、一里だいたい4キロで440円。

現在のタクシーだと、会社で違うようですが、長崎では、初乗り1000mで510円、以後188mごとに50円のようですから、人間と荷物を運ぶ違いはありますが、随分とお安いものです。

さて、この千々石街道が険しく、天保三年の地図に、「此一里山之間坂有難所附き馬不通」。難所の坂があり、荷物を背負った馬は通れないという事です。

「長崎市史・資料2・島原藩」の所にも
一 村繼之道法、貞享二年丑相改、別紙書付出置候、駄賃銀壹里に付四分、
  千々石山越本道二五割増、(以下略)」

千々石山越えは、本道より五割増しですから、いかに厳しい道かという事が分かります。

松平忠房(丹波福知山城主)は島原に移り城主になりますが、この時、「・・・将軍召公使就新封言曰、与大久保忠朝(加賀守唐津城主)同監長崎事務・・・」。要するに江戸時代、長崎は唯一の貿易港で、天領で
したから、唐津城主と共に長崎の事務を監視するように命じられ、島原のお殿様は、島原と長崎を行ったり来たりするわけですが・・・「殿さんが、あん険しか山道(千々石街道)ば行くもんか。(訳:お殿様が、あの険しい道を行くはずがない)」と言う人がおりましたが、「永代日記」(原典は島原市松平文庫蔵)というのがあり、横浜の方がルーツ探しをしているとき、出会ったようで、解読をされており、それによれば、

一 殿様天明四年辰四月十日長崎江御越被為遊候節、千々石道通、千々石村
   御昼休ニ付(以下略)とか

「・・・・然者此度千々石道御通行ニ付、道筋普請等仕候処・・・」とか、お殿様が通るので、普請をさせられたりで、明らかに、この厳しい千々石街道を、お殿様が通ったことが分かります。理由としては、「藩主が長崎に出るのに海岸道より、この方が近いので整備させたものであろう。」という事です。(北目筋を主に使ったようですが・・・)

ただ、あの道を多分馬に乗ったのではなく、駕籠に乗ったのでしょうが、担ぐのも難儀なら、乗ったお殿様も大変だったと思います。

(参考・文引用:「島原半島の歴史~松尾卓次修」「永代日記~角田義雄解読        
長崎県史・資料2」「島原半島史~林銑吉」)




2016年6月 2日 (木)

「芋を食い食い『週刊誌』」

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最近、雑誌、新聞の広告を見ていると「お通じが良くなる」との宣伝が多いようで、多分、みなさんもお悩みの方が多いような。私も多少その気があり、一月前よりサツマイモを食し(アルミホイルに巻いて、魚焼の網にて焼く)ていると、意外に効き目が良いらしく、今日も「芋を食い食い『週刊誌』」。

■「安倍首相VS安倍以外全部 衆参ダブル選『最後の攻防戦』」
■「衆参ダブル選 安倍が見た『事前調査』の数字」

ダブル選挙が回避されるようですが、まだまだ油断はできません。なにせ、「笑点」の、あっと驚く司会者、出演者の交代がありましたから、ひょっとしたら、どんでん返しが。
といっても、今回の選挙は政策論争ではなく、どれだけ議席がとれるかの選挙になりそうで、20歳以下の若い人に、期待をしたいのですが・・・

■「『ドナルド・トランプ』を暗殺せよ」

「『殺害予告はもう出ている』『ウォール街が動き出した』『手榴弾搭載のドローンで』『共和党大会が危ない』」。
アメリカの大統領選挙、混沌としてきましたが、トランプさんの毒舌が最近少なくなったようで、過激な発言が各方面に影響を与えているようですが。もっとも、あの国は、平気でピストルを振り回しますから・・・

■「『笑点』新司会者『昇太』&新出演者決定の裏に何があったのか」
■「日本テレビ『笑点』人事を握る男」

あっと驚く司会者交代と、円楽さんの後釜が「三平」さんとは。マスコミさん、全部外れたみたいで。ポストの予想によると、立川志の輔さんを挙げています。「これが、本誌が導き出した最終結論であるー」とは書いてありましたが、残念でした。ポストは司会者円楽を後継者として、これまで記事にしてきましたが、「この発表(司会者、昇太)の瞬間、本誌担当デスクの表情は、みるみる青ざめ、頭を抱えてへたり込んだ。」そうですが、志の輔さん説まで外れて、あとポストの担当デスクさんどうするんでしょう?

■「新・都知事候補選び水面下の大迷走」
■「政治家秘書は見た!」

舛添都知事、まだ居直るようですが、ネットの産経ニュースによると、夏のボーナスが380万円、居直りでやめるとすると、退職金が8千万円超だそうです。
世論調査によると「辞めるべきだ」が79.2%だそうですが、あとの20.8%の方は何を考えているのでしょう。
なお、「政治家秘書は見た!『女性記者との合コン代に』『ハワイのゴルフ旅行も税金で』」、まあ読んだらひどいもんです。有権者の方はもっと人を見て投票を。

■「なるほど!思わず膝を打つ認知症当事者の『忘備録』」

認知症の方で、一人暮らしで約十年、「不便であっても不幸ではない」。
工夫次第で、ごく普通の生活ができることが分かります。前向きに生きましょう。
私事ですが、今日家に帰ると、初老の美女が玄関わきをウロウロしていたので、声をかけると、なんと私のカミサンでした。ボケを感じる瞬間でした。

■「10年以内に『心筋梗塞』『脳梗塞』『脳卒中』になる確率がわかる!」

心筋梗塞と脳梗塞の発症確率診断のみができるサイトが「http://www.fujita-hu
.ac.jp/~deppub/risk.html」。脳卒中の発症確率は、国立がん研究センターの「https://epi.ncc.go.,jp/riskcheck./str」で確率が分かるそうですから、ご利用を。
なお、上のアドレスは写し間違いがあるかもしれませんので、ご注意を。

■「医者に出されても飲み続けてはいけない薬」

お医者さんに行くと、薬をどっさり出すところと、あまり、出さないところがありますが、高血圧、糖尿病、不眠症等19の病気に対する「飲み続けてはいけない薬リスト」が載せてありますから、気になる方はチェックを。

■「波平が死んだ!」

「カツオが磯野家を片付ける」という新書が話題を呼んでいるそうです。
カツオ41歳、サザエ54歳、マスオ58歳、タラオ33歳。磯野家も大変そうで、哀しくなりますが、皆さんの家も、どうなるか分からないので、ご一読を。

■「『死ぬまで●E●』シリーズ」

「超高級●ロ・サービス 禁断の『悦楽園』」
「一脚で60万円!楽ちんで気持ちのいい『ス●ベ椅子』の快感」写真が載っていますが、なかなか面白そうな椅子。「2時間10万円で夢心地 吉原一の超高級●ープ体験」、取材費で落としていったんでしょうか?いい会社だな~。その他諸々で、読んでお楽しみを。

■「新シリーズ ●E●のない人生なんて!」

ネタがなくなったんで「新シリーズ」なのかな?
「60歳からの『耳でする●E●』」。耳の特集。「ただ●入するだけがセ●●スではない。音が、言葉が、女性を●頂へと誘うのだ。耳を駆使して未知の●感を手に入れよう。む~、その手がありましたか、あと30年早く知っておけば・・・

■「エロスVS権力 闘争の50年史」

そういえば、ありましたね。今はネットでなんでもありますが、あの頃の方が、●ロかったような。歳とったせいで、懐古趣味になったかな?








2016年6月 1日 (水)

「竹馬差止ノ事」~東京警視本署布達


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竹馬。今では乘っている子は壊滅的に見かけません。学校で、教えている所もあるそうですが・・・・

以前、長崎と諫早のハタ(標準語で凧)の取り締まり法令が出されたことを書きました。とにかく、ハタ上げというと、長崎の人間は昔から心躍り、というところがあり、市内では、屋根の瓦を踏みわり、他家の庭木を荒し、喧嘩までするという次第。

町奉行は、安永2年(1773)、天命元年(1781)に法令を出しますが、効果なく、たまりかねた奉行は、文化12年(1816)に
再びハタあげ禁止令を出しますが、これまた効果なく、またもや嘉永2年(1849)に禁止令を出します。

■一切ハタあげ申間敷こと。近頃面々家業の営みを忘却しハタ揚げ相い楽しむと相い聞こえ候。如何の事に候。向後ハタあげ候者共これあるにおいては急度(きっと)申し付く可く候。尤も、小兒・・・の分は苦しからず候。

諫早は佐賀藩との関係で財政が厳しく、領主自体も節約をし、倹約令を出しますが、その中、大型のハタが流行り、費用がかかり趣味的なものを藩庁が見逃すはずもなく、慶應4年3月に、凧揚げの取締まりがでます。

■凧揚げの儀、童、子供尾長の外一切御停止置かれ候に付いては、一統其の心得いたし、屹度、取止め候様、毎々分て相達し置かれ候処、近来既にこれなく、凧取扱候向これある趣相聞こえ、以ての外宜しからざる儀に付、向後屹度止め候様、仰付らるゝ儀に候。自然心得違い候者これあるに於ては、御取揚の上、其者は申すに及ばず、親々々も急度其〆り仰付らるゝ儀に候。

という事で、親の親まで取り締まられるような。本当に、オヤオヤオヤと言いたいのですが、どうも、子供より大人が夢中になっているようで。で、最近、明治の法令を調べていたら、明治11年に、東京警視本署より「小兒ノ輩市街ニ於テ竹馬ト稱ルモノニ乘ルハ危険ニ付差止ノ事」というのがあり

○二月二日
 乙第三號
「小兒ノ輩市街ニ於テ竹馬ト稱モノニ乘リ遊戯候處右ハ車馬通行ノ妨テナスノミナラズ危険少ナカラザルモノニ付以来其父兄等ニテ堅ク差止メ候様諭達可致此旨相達候事」

とまあ、「車馬」の通行の妨げになるほど、東京では竹馬に乗る子供が多かったような。また、「危険少ナカラザルモノニ付」と書いてありますが、田舎では
みんな上手に乗っていたのですが・・・東京では「危険」というほどのものだったのか。

もっとも、現代では、自転車の危険乗車、スマホの歩きながらの使用が危なく、自転車は道路交通法が適応されますが、スマホも「スマホ歩行使用禁止令」など出した
方が良いんじゃないでしょうか。


(参考・文引用:「長崎町民誌 第1巻」「諫早市史 第1巻」「国立国会図書館デ  

 ジタルライブラリー」より)





 

2016年5月31日 (火)

「坊ちゃんの時代」~関川夏央★谷口ジロー著~カラー愛蔵版について ②でおしまい


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昨日書き忘れたことですが、この本には、途中と最後に関川夏央の解説が入っています。この解説がなかなか面白く、これだけでも読む価値があります。

さて、左が最初の本、で、右がカラー愛蔵版。
もともと、谷口ジロー氏が最初から企画したわけでもないらしく、「今、こうして再びオールカラーとして、愛蔵版が刊行されることになり正直なところとても驚いている。『「坊ちゃん」の時代』がモノクロからカラーに着色されたことで、どのように物語を読まれるのかが気にかかった」。

ただ、まったく関与しなかったわけでもなく、「今回の彩色において長時間、しかも困難な着色指定にもかかわらず、根気よく着色作業に携われたスタッフの方に感謝申しあげます。」と述べています。

さて、カラーとモノクロとはどう違うか、はやりプロの目から見た感覚でしょう、「色彩のもつ情報量は大きい、当然読み方も変わってくる。ひとコマに止まる時間が長くなり、コマからコマへの移動が遅れる、モノクロの時よりも微妙な時間差が出る。その為リアルさに欠け、作りもののようになってはならないと思った。・・・・」。

夏川氏は、「・・・・映画でいうならモノクロ・スタンダードサイズのような昔のマンガのつくりかたを懐かしむ思いを抱かないでもない。1980年代は、制作の方法でも編集の役割でも読者のありかたでも、日本マンガが原風景をとどめ得た最後の時代であった。」と、懐古的に書いています。

この点、谷口氏は「もしかしたら、もう一つの『「坊ちゃん」の時代』がカラーリングによって新しく生まれたと言っても良いのかもしれない。」と述べています。
文章を書く作者と、漫画を描く作者の違いでしょう。

この「坊ちゃんの時代」シリーズは、第1巻しかカラーになってみたいですが、全巻、カラーで読んで比べてみたいのですが・・・まあ、無理でしょう。








2016年5月30日 (月)

「坊ちゃんの時代」~関川夏央★谷口ジロー著~「実」にして「虚」にして「真」 ①



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おぼろげな記憶ですが、映画だったか、映画評論で、「映画をつまらないと言う奴は、つまらない映画しか見たことがない奴だ」という言葉があったような気がします。同じように言うなら「漫画をツマラナイと言う奴は、ツマラナイ漫画しか読んだことがない奴だ」。

谷口ジローさん、最近は「孤独のグルメ」でブレークしているようですが、谷口ジローさんを初めて読んだのは、山岳漫画の「K」だったか、ボクシング漫画の「青の戦士」だったかと思いますが、いずれにしてもカミサンから、「漫画ジャマ」と言われて、捨ててしまったのですが・・・

「坊ちゃんの時代」は、全5部作、別にカラー愛蔵版が一冊出ています。で、私としたことが、このカラー版を最近購入しましたが、出版が2010年で、なんとボーとしていたことか。
この本は、1986年から1999年にかけて書かれたもので、 普通なら、「原作」、「作画」となるのですが、谷口ジロー氏が後書きに書くように、「今でも、『「坊ちゃんの時代』第一話目のシナリオを読んだ時のことが思い出される。」といったように、いわば映画のシナリオと、映画を撮る監督との関係といえると思います。

第1巻の主人公が「夏目漱石」、第2巻が「森鴎外」、第3巻が「石川啄木」、第4巻が「幸徳秋水」、第5巻が再び「夏目漱石」。

登場人物は、小泉八雲、平塚らいてう、伊藤佐千夫、森田宗平、安重根、山縣有明、樋口一葉、菅野須賀子、金田一京助等々、明治を彩る人物がでて、からみあっていきます。登場人物はほとんど「事実」です。


が、虚の部分もあり、例えば、東京駅で通行人が夏目漱石にぶっつかり、漱石が本を散ら
かします。これを一緒に拾った若い軍人がいるのですが、この通行人が伊藤博文を殺害した安重根、若い軍人が東条英機。

余談ですが、柔道大会の場面で、西郷四郎が主審で「西郷四郎七段、四一歳」となっていますが、西郷四郎は講道館を20歳の時出奔、36歳で鈴木天眼が長崎で発行した「東洋日の出新聞」で、発行人兼印刷人として務め、段位は西郷四郎が死んだのを惜しみ、加納治五郎が六段を与えています。なお、漫画では大柄に描いていますが、西郷四郎は写真で見ると小柄で、身長が約153~159cm(本によって違いあり)です。

元に戻って、夏目漱石、安重根、東条英機が、東京駅で、このように出会うことは絶対にないのですが、この出会いの、あたかも「事実」であるような「虚」によって、明治という時代の「真実」が浮かび上がってくるのです。
まさに、「実」にして「虚」、「虚」にして「真」の物語だと思います。

さて、第一巻の最後のところ、「坊ちゃん」について、「赤シャツと野だいこは中学校を すなわち日本そのものを牛耳り続けるだろう 坊ちゃんも山嵐も敗れたのだーしかし坊ちゃんには帰るべきところがあった それは清のいる家 すなわち反近代の精神のありかたであった・・・」。日本という国が、西洋化される中での日本人の苦悩が描かれ、西洋化されても日本人の精神は日本という風土によって養われている、という事ではないかと思うのですが・・・

関川夏央氏は後書きで、「わたしはつねづね『坊ちゃん』ほど哀しい小説はない・・・」と書いており、これが、この五部作の通奏低音だと思います。

なお、小説の副題は「凛冽たる近代 なお生彩あり明治人」ですが、はたして、私たち世代は、「生彩あり昭和人」と言えるのでしょうか。





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