「升金の倉」にて~長崎県島原市
先日、「ぽけGO」の表記、「馬場三治翁公徳碑」が「大衆浴場記念碑」としてあって、「馬場三治」とは何者ぞと思い、近所の人に聞いたら、「升金」さんが詳しいのではという事で、「升金」を捜したら、「升金の倉」という、「蔵カフェ」でした。
以下、説明は、「升金の倉」のホームページと、お店でいただいたパンフレットを元に書いてみます。
外側は、改装したみたいですが、説明には「・・・大忙しな百数十年が往き、海鼠(なまこ)壁も落ち・・・」と言う状態で、多分、外側はボロボロだったことが伺えます。
入口は、自動ではなく手でガラガラと開けますが、その裏側に、「升金商会」の文字、住所などが書いてありますが、その上「寒い時代」と書いてありますが、なんでしょう?
二階には、少し幅広の階段を上がりますが、はやり、全部木造の部屋は落ち付きます。まして、後で書くように歴史が染みついていますから、なおさらです。
なお、ここは、国指定有形登録文化財、県まちづくり景観資産登録に指定されています。
上を見ると、大きな梁。今この木材を使うと、現在の家が何件くらい建つのでしょう。以前、庄屋屋敷を壊すので見に行った時も、はやり、大きな梁でした。
とまあ、眺めてばかりでは、なんなので、昼食時でもあるので、ランチを頼んだら、意外とこだわっていますね。結構なお味で、優しいウェイトレスさんの笑顔で癒されました。外の湾の眺めもなかなかなものです。
ここから見える船着場から、勝海舟、坂本竜馬一行が上陸をし、長崎を目指したと伝わっています。
この蔵についてお話を聞きたかったのですが、残念ながらオーナーの方は留守でした。
元来、この倉は島原城内にあった倉らしいのですが、明治4年から7年までに、本丸、二の丸等すべてが解体され、その折、この倉も現在位置に移されたらしいということです。
オーナーはM氏ですが、江戸時代、祖先の方がタバコ、蝋製造を行い、「升金」の名を起こし、明治15年、分家した、「升金帆船店」がこの地で開業をしたそうです。
右の写真は、「島原・南高の100年(監修=松尾卓司) 『島原・南高の100年』刊行会編」に載っている写真ですが、説明は「ヒトラーユーゲントの来島(島原市・昭和13年) ヒトラーユーゲントや東京相撲一行の上陸の様子、出征兵士など、中組の升金汽船着き桟橋は連日人手が多かった。向こうの島影には潮待ち風避けの機帆船の帆柱が林立している内港の風景。(提供:島原市立第3小学校)」としてありますが、かなり繁盛していた様子がわかります。
なお、明治28年から、口之津ー島原ー長洲に定期客船「升金丸」を走らせていたそうです。
で、この蔵の由来は分らなくなったわけですが、オーナーが引き継ぐことになり、興味を持って調べたところ、棟木を見つけたそうですが、その棟木には当時の藩の重臣、棟梁の名前が書いてあったそうです。
一番上「松平定勝」と書いてありますが、島原藩最後の大老です。島原は寛政4年の「島原大変」でガラリと地形が変わるわけですが、歴代藩主が良い港を求め続け、松平貞勝が湊新地の築出しを作るわけですが、後年この湊は花街にもなり、「夢二も舟遊びをしていった」そうです。
パンフレットには、「この湊、倉の最後の建設は最後の殿様と最後の大老の最後の大事業になった。」と書いてあります。
時代が激変する中、「深溝世紀(ふこうずせいき)」(島原藩主松平家の正史)の「巻二十三 今公(注:忠和・島原藩最後の領主)編 (島原図書館郷土史を学ぼう会)」の「藩政機構改正」には「仮参事を松平定勝・渋川勝廸に仮副惨事を云々」と記してあります。
この松平定勝は「松平勘解由家第13代大老」「大手門脇に居していた」と書いてあるので、「島原ぢゃんば(渋江鉄郎著)」の見返しに「島原藩士屋敷図」が載せてあり、「本図の氏名は元治二年(1895年)の調査による。原図は熊勝氏による。昭和32年11月 島原市立第三小学校作製」とありますが、まあ、よく調べたものですが、赤丸の所が「松平勘解由家」があったところ。青の矢印が大手門。
引き延ばしてみると、「大老 松平勘解由」の文字が読み取れます。なお、この場所は、アバウトでいうと、右の写真、赤矢印、現在の島原市図書館あたりになります。大手門は黄色の矢印付近です。右手の方に島原城があります。
というような事を考えてながら、コーヒーを啜り、歴史に浸った一日でありました。
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