「ハリネズミの願い」★トーン・テレヘン著・長山さき訳~人生に淋しさを感じたら
世の中に人の来るほどうるさけれ とは言うもののお前ではなし 太田蜀山人
世の中に人の来るこそうれしけれ とはいうもののお前ではなし 内田百閒
この本を読みながら、二つの言葉が思い浮かびました。
先週、トーン・テレヘンさんの「誰も死なない」を紹介しましたが、この本は絶版です。「ハリネズミの願い」は2016年6月10日発行、私が持っているのが9月15日の6刷ですから、意外と売れている本です。
主人公は誰も訪ねてこない、一人ぼっちのハリネズミ。で、誰の誕生日でもなく、祝う事がなくても、ぼくがみんなを招待したらと考えてみたが、今まで招待状を書いたこともなく、下のような手紙を書いてみました
親愛なる動物たちへ
ぼくの家にあそびに来るよう、
キミたちみんなを招待します。
ハリネズミは、その後に書き足します。
でも、だれもこなくてもだいじょうぶです。
ハリネズミは手紙を読んだ動物のことを考えます。”だれも来てほしくないんじゃないか、とみんな思うのではないだろうか?あるいは、ハリネズミの気が変わるまえに行かなくっちゃ、あいつはすぐ気が変わるんだから、と思うかもしれない。”
考えたすえ、”手紙を戸棚の引き出しにしまうと、首をふって思った、送るのはやめておこう・・・・いまはまだ。”
さて、ハリネズミは手紙を出した場合、訪ねてくる動物のことを考えます。どちらかというと、悲観的な事が多いのですが、訳者あとがきから引用すると、「食いしん坊のクマやうれしくもない小型噴水をおみやげにくれるクジラ、勝手に部屋を半分に分けてしまうビーバー、警戒心がつよく少しも訪問を楽しめないミーアキャット」。しかし、みんなどこか憎めないところがある動物ばかりです。どの動物もハリネズミの空想でしかないのですが。
少しばかり、哲学的なところも、「絶望していることが、時にはどれほど居心地のよいことか、キミには想像もつかないよ!」血の出た手をふりまわしてコフキコガネはさけんだ。
これから、本格的な秋、冬を迎え、人生に少し淋しさを感じた方、是非お読みくさい。全部で、59章からなる短い話ですが、最後の2章は少しホロリとしました。大人のための童話です。
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コメント
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I appreciate, cause I found just what I was looking for. You have ended my 4 day long hunt! God Bless you man. Have a great day. Bye ckgfgcddakag
投稿: Johnb153 | 2016年11月22日 (火) 05時44分