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2016年10月24日 (月)

「新・餓狼伝 巻ノ三 武神伝説鯿」~夢枕獏著

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私としたことが、すっかり見落としていました。発行日が今年の4月24日、見落としていたというより、行きつけの本屋さんには並んでいなかったのですが・・・

以前、「巻ノ二」のことを紹介しましたが、これが2011年10月ですから、指折り数えてという状態です。5年もたつと筋がどうだったとか、登場人物についても、誰だっけという感じで、まして、「キマイラ」「東天の獅子」も読んで、これもなかなか出版されず、まさに、チャンポン状態です。

作者は、あとがきで「すでに30年以上─/しかし、物語の中の時間では、まだ2年も過ぎてはいないはずだ。」と書いていて、舞台は30年ほど前の昭和60年(1985)頃になるのですが・・・

小説の中で、「磯村露風の上着のポケットで、携帯電話のなる音がした。」とありますが、あれ?あの頃、ポケットに入るような携帯電話はあったのかな、と思ったのですが、少し夢枕獏さんもぼけたのかな?と思いつつも、「餓狼伝」は格闘技小説なので、あまり小さなことは気にしないで。

本書では、松尾象山と合気道(大東流、ヤマト流、御式内等の表現が出てきますが)の磯村露風の二人の、かけあい漫才が半分を占めます。ただし、その会話の中には、緊張した雰囲気が流れています。

今回は、磯村露風が見い出した京野京介が中心になり、松尾象山も京介の才能に惚れ、ほしがるのですが。

京野恭介は某ボクシングジムに入り、プロテストでオリンピックのヘビー級で優勝した桐山加津夫と戦いますが、不思議なテクニックで勝利をします。露風はインタビューで、「格闘技の世界にある、全てのベルト、全てのチャンピオンシップを、我々で手に入れることですよ・・・・」と明言をしますが、これも露風の計算です。これから、露風につく、レスラー、格闘技の関根音、西村一、ジム・ヘンダーソン。そして、それに絡んでいく、主人公(少し出番が少なくなっていますが)丹波文七、姫川勉、突如現れる姫川の父姫川源三。

さて、夢枕獏氏は「ぼくの命のあるうちに完結を、と考えると、いくらなんでも、そろそろ完結に向けての準備をしなければならぬであろうと思っている。」といっても、これだけ話が広がっていき、新登場人物を増やしてどうするんでしょう。と思いつつ、次回の展開を楽しんではいるのですが。登場人物に対する思い入れがこれだけ強いと、多分完結するのは無理ダナ。

格闘技に興味のない方も、読んでみてください。格闘技に対する見方が変わってきます。




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