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2016年8月11日 (木)

「たまにはお堅く『文藝春秋』」

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昨日、「週刊ポスト」と「週刊現代」を紹介したばかりですが、本日は「たまにはお堅く『文藝春秋』」。

以前は、良く買っていたのですが、本月号に「芥川賞発表受賞作全文掲載」が載せてあり、これ、どちらかというと、受賞作より、「芥川賞選評」の方が面白く、受賞作「コンビニ人間」には、島田雅彦氏以外は好意的で、山田詠美氏は「十数年選考委員をやって来たが、候補作を読んで笑ったのは初めて」。川上弘美氏も「『コンビニ人間』。こちらは反対に、笑ったのです。はじめての種類の、笑いかたでした。おそろしくて、可笑しくて、可笑しくて、(選評で『可笑しい』」という言葉を初めて使いました。)、大胆で、緻密。圧倒的でした。」というほめ方。ただ、高樹のぶ子氏は「ジニのパズル」のみ、1ページ弱に渡って、評価をしており、他の作品については一言も触れていません。

選考者は、山田詠美氏、奥泉光氏、村上龍氏、島田雅彦氏、堀江敏幸氏、小川洋子氏、高樹のぶ子氏、宮本輝氏、川上弘美氏。で、私が読んだ本が、山田詠美氏、村上龍氏のみで、いつから、「純文学」と言われるものを読まなくなったのか?他の方のを読むには読んだのですが、なんとなく、力が弱くなっているのを感じます。

以前は選評に、「小説以前の問題」とか、「読むに堪えない」とかの批評があったのですが、皆さん、随分、紳士淑女になられたような。

最も、同書に「戦前生まれから日本への遺言」において、蓮實重彦氏(三島賞受賞者・第26代東大総長。受賞記者会見で『馬鹿な質問はやめていただきますか』などの発言で笑わせてくれました)は、「『こゝろ』(注:夏目漱石著)が名作だって?ご冗談でしょ。個人的にいうなら、あの退屈な夏目漱石から遠ざかろうとして、『夏目漱石論』(講談社文芸文庫)という書物を書いてしまった。」と書いているくらい、本の読み方は難しいものです。

「コンビニ人間」については、小さい時から、周囲とは少し変わった女の子が、大学一年の時からコンビニでアルバイトとして働き、19年。主人公は36歳。コンビニで働くことに喜びを持っています。恋愛歴無し、これでも少し変わっているのですが、そこへ、社会的落伍者ともいうべき、白羽なる男子がアルバイトとして現れ、社会批判をするのですが、冷静になって考えると、納得できるところもあり、
と言ったところで、後は、皆さんで読んでみてください。

この、文藝春秋に、天皇生前退位について「私はこう考える」という記事があり、渡辺和子(ノートルダム清心学園理事長)さんが、美智子妃殿下について、「愛読書の『星の王子様』の話になると、『登場人物のなかで、点灯夫が好きです』とおっしゃいます。一分ごとにガス灯をつけては消す仕事を繰り返す人です。美智子さまがお好きな理由は、
『あの人だけが、人のために働いているからです』」、美智子妃殿下は、童話がお好きなことは知ってはいるのですが、読み方が深いですね。

最初にコラム欄があり、「男はつらいよ」に出演した、前田吟さんが渥美清さんの事を書いています。渥美清さんは、プライベートな面はほとんど見せませんでしたが、森繁久彌さんは「孤独な男だよ、彼は。だけど、すごく”粋”だよな」と評していたそうです。

「寅次郎恋歌」で、ロケの初日、袈裟を着てお坊さんに扮した渥美さんは宿の近くの仏具屋を訪れ、自分のお位牌を作ったそうですが、彫った名前は本名の「田所康雄」。以前、紹介しましたが、渥美さんの墓に彫ってある文字も表が、「田所家之墓」、横に戒名もなく、「故田所康雄 平成八年八月四日没 享年68歳」。「車寅次郎」でも、「渥美清」でもありません。渥美清さんの一面を見る思いがします。

なお、「追悼再録」に永六輔さんの「テレビが日本人を恥知らずにした」というエッセイが載せてありますが、当たり前のことを教えてくれる人が少なくなってきている現在、是非お読みください。

暑い日に、鍋焼きうどんを食べるように、暑い日に、堅い本を読むのも、一つの避暑の方法かとも思った一日でした。




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