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2016年7月26日 (火)

「忍者」とは?~「忍者の歴史★山田雄司著」&「完本 万川集海★中島篤巳訳注」

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今の男の子、外で遊んでいるのを見ても、チャンバラゴッコをしている子は、見当たらなくなりました。私たちの時代は、チャンバラごっこが多く、棒とか竹一本あれば事足りました。

ゲーム機があるわけでない、あったとしても、皆貧乏な時代でした。考えれば、随分無茶なこともやり、忍者の真似をして、高い崖から飛び降りたりして遊んだものでした。

いまでも、「猿飛佐助」の映画は懐かしく、マンガ、テレビでは「サスケ」、「カムイ伝」、「伊賀の影丸」、「仮面の忍者赤影」、「忍者ハットリくん」、近年では「忍たま乱太郎」。長ずるに、山田風太郎氏の、「くノ一忍法帖」では、あちら方面でお世話になりました。ちなみに「くノ一」とは、組み合わせれば「女」になり、女の忍者のことになります。(男性は、「あちら方面」はお分かりだと思いますが (^-^;))

「忍者の歴史」は、文献等から見た忍者の姿を書いていますが、「戦国時代の忍び」、「兵法から忍者へ」、「忍術書の歴史」、「江戸時代の忍び」、「変容する忍者」から成り立っています。

ちなみに忍者の別表現として、「乱波(らっぱ)」、「草」、「かまり」、「軒猿」、「忍(しのび)」などがありますが、「日葡辞書」(注:日本語、ポルトガル語の辞書・1600年代長崎で作られた辞書、3万2000語を採録。私も買おうかどうか迷っているのですが、古本でも索引付きで3万円前後。)にも載っていて

Xinobi シノビ (忍び)戦争の際に、秩序を探るために、夜、または、こっそり隠れて城内によじ上ったり陣営内に入ったりする間諜。
Suppa スッパ 欺瞞、又は虚言
Suppana mono スッパナモノ 浮浪者、または、人をだますもの
とあるそうですが、1600年と言えば、関ヶ原の戦いがあった時です。

「万川集海(まんせんしゅうかい・ばんせんしゅうかい」は、「伊賀と甲賀四十九流の忍術をまとめた」本で、「内容的には忍者の具体的な方法に加え、忍者の意義、由来、忍者の心得などを繰り返し述べて、忍術の価値を伝えている。」という本で、
現代語訳、読み下し、原本の復刻が付けてあります。下が、原文の復刻です。

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750ページ弱に渡る本なので、全部は紹介できませんが、「忍者を召し仕うべき次第の事」というのがあり、

第一、忠、勇、謀、功、信の五つを備え、かつ心身壮健なる者。
第二、普段から柔和な性格で義理に厚く、欲少なく、物事の道理や学問を好み、
    行い正しく、恩を感じて忘れない者。
第三、弁舌爽やかにして、説得力があり、智謀に長け、普段の会話も当意即妙
    で、人の言う理に押し欺かれる事を大いに嫌う者。

第四、天命を知りて、儒仏の理を兼備し、死生に命(めい)ある事を常々心にか   
    け、人欲の私に離れん事を平生嗜み学び、先哲の古語に心にいるる者。
第五、武士の方を知る事を好み、古の忠勇ありて義に因りて主命に代わり、或る
    は知略を有りて敵を亡したる和漢の名士の風を聞き伝え、軍利戦法に心
    を寄せ、英雄の風格を備わりたる者。
第六、平素は人と争論する事を好まず、柔和だが威厳があり、義深く、
表裏な
    い善人として名前を広く国内外に知られているもの。
第七、妻子或るは親族正しくこれあり、反り忍の害有るまじき者。
第八、諸国を流行して諸所の国風を能く存じたる者。
第九、忍術をよく学び、謀計に敏く、文才有りて書を能くし、最も忍術を手練し、軍
    利に心厚き者。
第十、軍術は言うに及ばず、諸芸に達し、詩文或いは謳(うたい)、舞、小唄、拍  
    子、物真似等の遊芸に至るまで、時の宣しきに随い用いる事を闕(あやま
    た)ず、差し当る間を合するもの。
右十件を兼ね備えたるものは最も稀有るにしてこれなきものなり。是を上忍と云う。・・・・

と、まあ、私凡人ごときは、上忍にはなれませんね。
現在、お城ブームに伴って、忍者ブームがひそかに広がっているようですが、忍者は「しのぶもの」と言うくらいで、映画、TVみたいにくるくる回ったり、飛行の術とか、ガマの術とかとは、ほど遠いものです。

「万川集海」の訳注者の後書きに「私は『自身を極限状態に置いて生きていた』忍者の生活を、『総合生活術』としてとらえ、『忍者の歴史民俗学』を学問的に追求したいと思っています。・・・本書が忍者の歴史学を学問される方々への一助にでもなれば、訳注者にとってはこれ以上の幸甚はありません。」「忍者伝書のキーワードは『極限状態』『総合生活術』『忍者の歴史民俗学』であると思います。格差と混沌の社会で、忍術は『総合生活術』であるとして本書を読破され、自分の脚で立って堂々と生きて行けるヒントの一つとなればと存じます。」

若者も、年寄りも生きにくい時代、訳注者の中島氏が書くように、「堂々と生きていけるヒント」になるかもしれず、皆さまもお読みください。ただ、少しお値段が高いのですが、図書館、
公民館図書室等に購入のご相談を。





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