「親鸞」を読む。
親鸞には「三大諍論(じょうろん)」があり、「諍論」とは、「どちらが正しい仏法か」についての争いで、その一つが「体失不体失往生の諍論」。
「不体失」とは、「生きている時」、「体失」とは「死後」の事。で、親鸞は「阿弥陀の本願は、生きているただ今、救ってくださるというお約束」という「不体失」論。親鸞に対する、善慧房は「生きている間は、弥陀に救われることはない。弥陀の本願は、死んだら助ける約束だ」と言う「体失」論。
さて、お仏壇に毎日手を合わせておられる方は、如何でしょうか?多分、死後、極楽に行くことを、望まれているのではないでしょうか。
親鸞と善慧房の諍論を聞いていた法然上人は、次のように語ります。少し難しいので、分かりやすくいえば、「今、溺れて苦しんでいる人に、溺死したら助けるという者はない。今、腹痛で苦しんでいる人に、死んだら治すという医者もいないだろう。ましていわんや大慈悲心の阿弥陀仏が『この世の苦悩はどうにもできぬ、苦しくても我慢しなさい。死んだら助けよう』と誓われる道理がないのだ」と言うことで、親鸞の「不体失」論をとります。
というように、わかりやすく書いてあるのが、「親鸞聖人を学ぶ」。親鸞の生涯、そして教えを理解しやすいように書いてあります。
で、私、五木寛之(五木寛之氏の講演会で、『それでは、五木ひろしさん、お願いいたします』と言った、アナウンサーがいましたが『いつきひろゆき』さんです、お間違えのないように)氏の「親鸞」を読み、感ずるところがあり、倉田百三(くらたひゃくぞう)を続いて読んだら、これまた面白く、ただ、この2冊は小説でもあり、親鸞の教えとは何ぞやと思い、上の三冊を、立て続けに読んだのでありました。考えれば、私も浄土真宗なのですが、この歳まで、親鸞については全く知らず、という人生だったのですが・・・
梅原猛氏の著作は、題名にもあるように「四つの謎」、㈠ 出家の謎 (二) 親鸞が法然門下に入門した謎 (三) 親鸞の結婚の謎 (四) 親鸞の悪の自覚、という四つの謎を解いていくのですが、文献研究のみならず、親鸞ゆかりの地を訪ねながら、謎に挑んでいきます。特に、親鸞の妻といえば、「恵信如」を思いますが、もう一人、九条兼実の娘「玉日(たまひ)」と、親鸞の謎を解き明かす鍵として「正明伝」について読み解いていきますが、さすがと思えるほどの筆圧です。
なお、文献からの引用もありますが、どういう意味なのか、解説がしてありますから、分からないところはありませんが、手ごたえのある本です。四つの謎について、なるほど納得できるものです。どちらかといえば、親鸞の教えの内容より、親鸞の教えがどうしてできたのか、といったバックボーンが主に分かる本です。
五木寛之氏の本は、新潮社の3回に渡った講座で、語り口調で書いてあります。
小説家らしく、「・・・親鸞はどいう思想を持っていたか、誰と話をしていたか、ということよりも、具体的にどんな生活をしていたのか。それが小説家として親鸞を描くときに、非常に興味深いところでした。」ということです。
ただ、「たとえば般若心経の『般若波羅密多(はんにゃはらみった)』という字句は中村元さんの説によると、パーリー語の「パンニャ・ハラミタ」を音訳しただけであって、もともとの意味はパンニャは知恵、ハラミタは完成、すなわち『知恵ができ上ること』に過ぎないそうです。
しかし、般若波羅密多という何やらおどろおどろしい字画が多く難しそうな字句でイメージされるのは、密教的で、人をよせつけない呪文のようです。」というような説明もしてあります。
なお、親鸞について、「・・・すると親鸞も変化し続けているし、十年前にこう言った、十年後はこう言った、とそれらすべてに整合性を求めるのは無意味です。自然は、人間は変化するものです。
親鸞だって心の中で揺れたりぶれたりしたことはあったでしょうし、つまり、人間は動的に捉えるということがすごく大事だと思うのです。」というように、親鸞を柔軟にとらえています。
「要するに親鸞は、わからない人である。だからこそ、これだけの親鸞論が書かれるのだろう。」と、確かに親鸞は分かりにくく、謎多き人物ですが、親鸞の概略は少し見えたので、これからは、歎異抄、教行信証等に取り組んではみようと思うのですが、凡愚な私に理解ができるかどうか、まあ、三日坊主で終わりそうな気がするのですが・・・
「要するに親鸞は、わからない人である。だからこそ、これだけの親鸞論が書かれるのだろう。」と、確かに親鸞は分かりにくく、謎多き人物ですが、親鸞の概略は少し見えたので、これからは、歎異抄、教行信証等に取り組んではみようと思うのですが、凡愚な私に理解ができるかどうか、まあ、三日坊主で終わりそうな気がするのですが・・・
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