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2016年3月 8日 (火)

「異類婚姻譚」&「つまをめとらば」~誤読・曲解・感想文

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芥川賞、直木賞の受賞作品は、昔は全部読んでいたのですが、何となく読まなく

なって数年。だいたい、半年に1回の受賞が、「え!また」という感じで、せわしな

く、1年に1回で良いんじゃないですか。もっとも、受賞作品は売れ、出版社の都

合、新人の発掘という事もあるのでしょうが・・・


今回受賞の作品、あと、芥川賞の「死んでいない者:滝口悠生(ゆうしょう)著」も

あるのですが、これは、読んでいないのでパス。


少し、呆けた頭で読んでいるので(なにせ、前のページに書いてある人物の名前

も忘れるくらい)、誤読、曲解がかなりあり、「批評」というまでいかず、小学生の

読書感想文みたいなもんで・・・・


■「異類婚姻譚」~本谷有希子著

「異類婚姻」は人間が、人間以外の者と婚姻をするということで、辞書で、「譚」は

「接尾語『・・・話』の意。」とあります。「異類婚姻譚」については、鶴と夫婦になる

「夕鶴」、馬と一緒になる「おしらさま」とかいろいろあるようですが、伝説とか、説

話になります。


小説では、顔が夫の顔とそっくりになるとか、蛇ボールとかは説話的な感じがし、

主人公の知り合い「キタヱ」さんが、家族同然のネコのサンショを手放し、山に放

し(捨てる)にいくところは、「姨捨山」を思い出したり、最後、主人公の亭主が山

芍薬になるところは「夕鶴」を思い出したり、多分、作者はこの説話あたりを現代

で書きたかったのでしょうが、選評にも「説話の形を借りることで、主人公の自

意識を上手にコントロールされているように思う。」とか、「説話の持つ『異界』へ

の感覚がどこまで描き出せているか、評者としてはどうしても考えてしまうわけ

で・・・」とか、評価が分かれているところです。


この小説読みながら、「異類婚姻」とは、この主人公夫婦のみだけではなく、ひょ

としたら、男と女自体が「異類婚姻」ではないかということを感じたわけで・・・


夫が、ケームに熱中し、揚げ物に凝り、最後に山芍薬になるのは、男が理想を追

うロマンティストであることの象徴であり、よくドラマで、「理想ばかり追って」とか「

アナタの理想の犠牲にはならないわよ!」とか言うのはほとんど女性であり、言

われるのは男性。本質的なところで、異なる生き物ではないかと思ったしだいで、

カミサンと一緒にいると、ふと、これ「異類婚姻」ではないかと感じ、どちらが、「人

間」のかは?でありますが。


ところで、選評を読むと、皆さん紳士淑女になったみたいで、昔の選評を読むと

「僕にはどうしても価値のある作品とは思えないから(略)一票はおろか半票さえ

惜しんだ」「むしろ世評の甘さに驚いた。」「文学的精神は高くないね。高くないと

いうより、僕は低いとおもうナ」「私一個としては、何ンらの感想もない。」「何か面

白い所もあるが、何かよくわからない作者のひとり合点のようなところもあった。」

「新風がない。小説的な野心もない思い出を語りつづけている。」(ブログ「芥川

賞のすべてのようなもの」より)など、作品より選評の方が面白かったのですが。


■「つまをめとらば」~青山文平著

「つまをめとらば」は、もちろん与謝野鉄幹の「人を恋うる歌」の「妻をめとらば才

たけて みめ美わしく情けある・・・・」からとったのでしょうが、ブログを書きなが

ら、チラと台所のカミサンを見ながら、こんな歌のような女性はいるのかな、と思

たのであります・・・もっとも、「友をえらばば書をよみて 六分の任侠四分の

熱」というような男性も、なくなっていることは事実ですが。


全6編の手だれた短編集ですが、女性の心の内は、私、男子なのでよくわからな

い所ですが、ラジオで二人の女性作家が対談をし、ある男性作家の事を次のよ

うに話していました。「女性の見方が甘いのよね、ロマンティストなのよ、あの作

家。」「そうよ、女ってもっもっとドロドロしたものなのよね。」ということで、男性

作家が女性の心のヒダを書くのは、なかなか難しいようで・・・


いずれにせよ、芥川賞、直木賞は作品の良し悪しより、作家の才能の将来性を

評価し、選考するものであり、上のお二人の今後の活躍を期待したいものであり

ます。


私も、芥川賞を最年少記録は無理なので、最年長受賞記録を狙っているのです

が、調べると2012年下半期の受賞者が黒田夏子さんで、75歳9ヶ月。というこ

とで、私の小説を読むのは、あと10年ばかりお待ち下さい。


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コメント

リンクありがとうございました。
私も芥川賞と直木賞は年に1回で十分だと感じてました。その方が賞に重みやありがたみが出るような気がします。最近の芥川、直木賞は出版社の本を買わせるためのイベントのような印象を強く感じます。

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