「へろへろ」~鹿子裕文著
この本読んで、「ケ・セラ・セラ」と「虚仮(こけ)の一念岩をも通す」と言う言葉が、
頭に浮かびました。
始まりは、ゴミに埋もれた、ぼけ老人で、何とかできないかと声がかかったのが、
一風変わった介護専門職の下村恵美子さん。
で、このぼけ老人、老人ホームへの入所の話にも耳を貸さず、下村さん、元同僚
とともに行動、結局どこの施設でも断られ・・・
一人の困ったお年寄りから始まる。
一人の困ったお年寄りから始める。
ということで、お寺を借りて、週に一度のデイサービス。ところが、段々にお年寄り
が増え、古い家を借りることに。ところが、ボロボロで改修費が800万円。下村
さん、頭を抱えながらも、「ケ・セラ・セラ~ なるようになるわ~」。
3名で手をつくし、半年で500万を集め、残りの300万は、材木問屋の女性か
ら、親がぼけたときなんもできんで死なしてしもうた。という事で、材木代はタダ。
ここで、巻き込まれていくのが、「売れっ子ではない、ひまっ子とでも言うのだろう
か。売れなさすぎっ子でも言うのだろうか。」という編集業者、この本の著者、鹿
子裕文さん。「宅老(託老ではありません)所よりあい」の雑誌「へろへろ」を編集
することに。
さて、この「宅老所よりあい」に「泊まり」の利用者が増えることで、「特別養護老
人ホーム」を作ることに。ところが土地は見つかったものの、一億二千万円。この
お金を三ヶ月で、101人の支援者から集めたそうで、一億二千万円集めろと言
われれば、ドン引けしますが、はやり、「ケ・セラ・セラ~」の楽観と「虚仮の一
念」の気持ちが無ければ、でしょう。
なお、建物は市役所の補助が七千四百万、これがどういうわけか、上乗せして、
一億一千万。この話は、書かれているより困難だったでしょう。
この間、職員、世話人(ボランティアさん)が、カフェを開いたり、ジャムを作って売
ったり、オリジナルグッズを作ったりで資金集めをしています。あとは、本を読ん
でから楽しんで下さい。
なお、高齢化社会で、いろいろ豪華な施設が紹介されて、皆さんも施設に入る方
がほとんどでしょうが・・・
「のんびりと自然に老いて、ゆっくりあの世へ行く。それを贅沢と呼ぶ時代が来て
しまったのかもしれない。とにかく国は生存権に帰属する介護問題を、サービス
業に位置づけ、民間に託して解決を図る道を選んでしまった。その結果、畑違い
の業者、たとえば不動産会社や建築会社、居酒屋チェーンまでもが介護事業に
乗り出し始めた。その政策はもう後戻りすることはないだろう。すべては追加オプ
ション式の明朗会計。(略)」になって来ていますね。
この、施設ではチャリティイベントもやっており、詩人の谷川俊太郎さんも20年ば
かりの付き合いだそうです。
きっかけは、下村さんが講演会の打ち上げで、谷川さんの詩ではなく、お尻に一
目惚れしたそうで、「きゅっと締まってぷりっと上がったいいオケツ」ということで、
谷川さんのお尻の写真をパシャパシャ撮りまくったそうですが、谷川さんが気付
いて、「さっきからなに撮っているの?」「いろっぽいじいさんの尻・・・」という事
で、谷川さんは、ぼけを抱いた母親と一緒に暮らしたこともあるそうで、これが縁
となったそうです。
雑誌の「よれよれ」。ホームページを見ると面白そうだったので、早速注文しまし
た。⇒「宅老所よりあい」はこちらをクリック。
ともすれば、高齢者を扱った本では、暗いものばかりのなか、涙無くしては笑えな
い一冊でした。皆さんも、是非、御一読を。
「僕たちは〈老人ホームに入らないで済むための老人ホーム〉を作ります。」
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