「キマイラ11 明王変」刊行(朝日ノベルズ)~夢枕獏著
「キマイラ11 明王変」。意外と早く出版されました。
考えれば、最初出版されたのが、「幼獣少年キマイラ」で1982年、今から約30
年前。
近くでいえば、「キマイラ9 玄象変」が、2010年(平成22年)。「キライマ10 鬼
骨変」が2014年(平成26年)と、4年間かかっていますが、今回の出版は、
2015年11月30日、1年です。
やはり、30年近く、しかも、あいだが空いていますから、あれ!前の筋は、どん
なんだっけ?と前のを読み返しながらだったのですが、今回は登場人物方々あ
らすじも紹介してありますから、便利です。
今回は、キマイラの歴史に関する部分が中心で、Amazonのカスタムレビューを
読めば、少し厳しい意見があるようですが、まあ、作者としては「キマイラ」の歴
史について語らなければならない、という必然性を感じていたのしょう。
キライマの歴史に関しては、インドから中国へ、そして日本への伝わりの事が明
らかになりますが、ゴータマ・シッダールタ(仏陀)も絡んできて、面白いですよ。
なお、キマイラの最終巻のタイトルは「曼荼羅変」で、次巻のタイトルが「曼荼羅
変」で終了かと思ったら、これで、終わらなく、「ぼくの内的状況によるというより
は外的な状況によるものだ。」ということで、「ともあれ、今、ようやくキマイラは完
結を意識して、物語が動き始めたところだ。」と、これからが完結編が始まるわけ
で、終了まであと何年かかることやら、「どうか、そこまで、僕のパトスと体力が
続く事を。」と書いていますが、私の方のパトスと体力が、続くのかな?
作者は最後に一句、「ゆく道の途切れて赤い曼珠沙華」。これ読むと、なんとな
く、「キマイラ」が途切れるんじゃないかな、という予感。
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