「劇画漂流」~辰巳ヨシヒロ著
辰巳ヨシヒロさん、懐かしいですね。若い人には馴染みが薄いと思いますが・・・・
「漫画」、「まんが」、「マンガ」、「劇画」、「コミックス」。いろいろないい方がありま
すが、中身は同じようで、違いがあるようでなのですが、この「劇画」という名前
は、辰巳ヨシヒロと、その兄の漫画家桜井昌一氏がつけたものだそうです。
昨日書いたとおり、検査入院した時、本ばかり読むのでは退屈だと思い、iTunes
Storeを見ていると
なる、映画があったのでiPad miniに入れていったら面白く、上の本を購入。
主人公は「勝見よしひろ」となっていますが、これはもちろん「辰巳ヨシヒロ」の事
です。主人公が漫画に目覚め、昭和60年の安保闘争の時まで描いてあり、もち
ろん自叙伝でもありますが、漫画史でもあります。
登場人物も、手塚治虫、佐藤まさあき、松本正彦、石川フミヒロ、山森ススム、ミ
ッキ-・スピレーンに熱中する、さいとう・たかお等、彼らの交友、別れ、漫画の
表現に悩む姿、辰巳ヨシヒロの漫画から劇画への表現の考え等が描いてありま
す。
また、園田光慶、バロン吉本、はらたいら、真崎守等を出した「摩天楼」、「街」、
「影」、「日の丸文庫」の内側も書かれており、単なる自叙伝ではなく、これを読む
と、昭和60年までの「漫画史」ともいえます。
なお、戦後世相、美空ひばり、電気洗濯機、エアガール(昔のスチュワーデス)、
テレビの誕生。、石原裕次郎、映画の話なども描いてあり、昭和の風俗史として
読むこともできます。
1950年~60年代にかけ、月刊誌、週刊誌が発行されるにいたり、貸本屋が減
少し、漫画文化が一転していきますが、できればそのあたりまで描いて貰えれば
とは思ったのですが・・・・
上の「劇画漂流」、上、下巻で合わせて約800ページ、12年間の連載に及びま
すが、前にも述べたように、漫画史、風俗史として優れたものです。残念ながら、
辰巳ヨシヒロ氏は、本年3月、79歳で逝去されました。この本は、2008年に初
版発行されています。
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