絵物語「陰陽師」~夢枕獏文・村上豊絵
夢枕獏さん、先日「神々の山嶺」を紹介しましたが、「キマイラ」は出ないし、「餓
狼伝」まだだし、「東天の獅子」はどこへ行ったのか、困ったものです。
「陰陽師」(おんみょうじ)。夢枕獏によれば、「陰陽師は、星の相を観、占いもし、
呪詛(すそ)によって人を呪い殺すこともでき、幻術を使ったりもする。目に見えな
い力ー運命とか、霊魂とか、鬼とか、そういうもののことに深く通じており、そのよ
うなあやかしを支配する技術をもっていた。」ということで、「朝廷に使える役職の
ひとつであり、大内裏の中には陰陽寮まで設けられている。」という事だそうで
す。なお、主人公、安倍清明(あべのせいめい)、從四位下。「今昔物語」出てくる
人物だそうです。もちろん陰陽師です。「陰陽師シリーズ」として、かなりの本が
出版されています。
夢枕獏については、格闘技系統が好きで、この本まだ目を通していなかったの
ですが、本屋さんに「鼻の上人」があったので、買って来ました。「宇治拾遺物語」
の「鼻長キ僧ノ事」に出て来ますが、芥川龍之介はこれを材料に「鼻」を書いて
います。
ただ、この原典には「安倍清明」は出て来ませんが、ここに、どのように安倍清明
を絡ませるか、さすが、夢枕獏先生。読んでください。原作、芥川龍之介、夢枕
獏。読み比べも楽しいですよ。
同じく、「瘤取り清明」は、「宇治拾遺物語」の「鬼二瘤被取事」で、これは皆さん
ご存じの「こぶとり爺さん」の原典。これも、原典では安倍清明は出てきません
が、夢枕獏流の物語。
「鉄輪」は確か、能の演目だったかな?安倍清明も出てたような?「首」は、調べ
ましたが、原典はわかりませんでした。
時代は平安ですから、コンビニなどなく、夜は闇の世界、妖怪が跋扈(ばっこ)し
ていた時代でしょうが、村上豊さんが描く、妖怪はどことなく優しさがあり、夢枕獏
さんの読みやすい文章とマッチして、秋の夜長の読書にピッタリです。
なお、絵物語は上の四冊で、一番新しいのが「鼻の上人」。「陰陽師シリーズ、
100本記念」の出版だそうです。
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