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2015年9月 4日 (金)

「ひとつの言葉」覚書④~淀川長治さん・山田洋次監督そして「男はつらいよ」

Photo

昨日は中途半端に終わって、ゴメンチャイ。


さて、「淀川長治の遺言~荒井魏(たかし)著」で、淀川長治さんが山田洋次監督

に好きな言葉がある、という所まで書きましたが。


「ある時、僕が『好きな言葉があるんだよ』と言ったら、山田さんが『どんな言葉で

すか』と言うから、『秋田のお坊さんから聞いた言葉なんだよ』と言って話しまし

た。それは『一つの言葉でけんかして、一つの言葉で仲直り。一つの言葉でお

じぎして、一つの言葉で泣かされた』というのね。・・・・そんな話をしてしばらくし

から、寅さんの映画を見て驚いた。あのダンゴ屋さんの突き当たりのところの額

に、『一つの言葉でけんかして・・・・』と、僕の言ったことが書いてあるのね。」


この「秋田のお坊さん」が、昨日の藤田渓山氏のことですが、他に「映画少年・淀

川長治~荒井巍著」にも、同様な事が書いてあり、淀川氏は昭和23年(1948)

に「東京映画友の会」を作り、今でも活躍しているみたいですが、この中に・・・


「『友
の会』で、しばしば長治が子どもたちに語って聞かせた言葉があった。秋田

の蒔田渓山という人の詩であった」という事で、「一つの言葉」が書いてあり、「あ

るとき、映画を見て長治は驚いた。そのセットの家の奥の壁に、この詩が書かれ

た額が飾ってあって、それが映し出されたのだ。」


とありますが、昨日書いたとおり、「蒔田渓山」ではなく、「藤田渓山」。多分、同じ

ような字だから、「藤田」を「蒔田」と勘違いしたものでしょう。


なお、「淀川長治自
伝」にも、「私は秋田の蒔田渓山というお人の言葉の詩を知

った。」と書いてあります。が、残念ながら、藤田渓山氏の詩でもありません。


さて、この藤田渓山氏と
淀川長治さんが、いつ頃出会ったかについては、どこに

も書いてありませんが、同「淀川長治自伝下」に「今から二十年くらい前の事だ

が」と言うことで「一つの言葉」を紹介しています。


この本が出版されたのが、1985年。この言葉通り
だと、1985年-20年です

から1965年(昭和40年)頃のことだと思われます。


また、「『友の会』でも、これ(注:一つ
言葉)を伝えた。今日まで二十年ちかくこ

の詩を若い人に伝えた。」ともありますから、伝えたはじめも、昭和40年くらいだ

と思われ、この頃、藤田渓山氏と出会ったのでは?


藤田渓山氏は、昨日書いたとおり、映画界にもいた形跡があり、また肩書きを見

ると秋田の名士であり、淀川氏は全国で講演をしていますから、秋田での講演

会のときに出会ったのでは・・・・?


さて、「男はつらいよ」の話です。

映画にこの言葉が出ているというので、「男はつらいよ」を初めから見ていって、

第9作、昭和47年(1972)「男はつらいよ柴又慕情」に初めて出ており、次作「男

はつらいよ寅次郎夢枕」、「男はつらいよわすれな草」には貼ってなく、その後、

「男はつらいよ私の寅さん」、「男はつらいよ寅次郎恋やつれ」には貼ってあり、こ

のあたりまで見ると、もういささかゲンナリして、後は全部貼ってあることにし

て・・・・


上の写真、映画で見ると、字がよく読めなく、「寅さん記念館」にセットがそのまま

あるとかで、東京まで確認に行くわけないでしょう。ネットで調べるとありました。

Img_02681_2

で、この貼り紙については、淀川氏が、「ビックリして山田監督にそれを聞くと、あ

れはセット係か小道具係がいつのまにか貼っていたのですよ、という事だった

が、しかし山田監督があの詩を好きだったからに違いない。」(淀川長治自伝

下)。というのが真相だったという事です。題が「言葉は心」で異なっていますが。


この、「中國のある僧侶の言葉より」と「東和会」「東和同友会」「東和協賛会」が

気になり、「東和会」なるものに訊けば「一つの言葉」について何か分かるのかと

ネットで調べると、ほとんどが、医療法人。これは関係無いなと。


仕方なく、寅さん記念館へと電話

「あいよ寅さんだよ、私生まれも育ちも葛飾柴又です、帝釈天で産湯をつかい、

は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します。ところで用事はなんだ

い?」という事もなく、ごく普通に、「セットに一つの言葉が貼ってあり、東和会と

書いてあるが、東和会について知りませんか?」と尋ねると、残念ながらでした。


ここで、調べたり、悩んだりで、再度「男はつらいよ」を見ていたら、ありました。

Photo_5

「東京和生菓子商工業協同組合員」。ネットで、東京和菓子協会があるので調べ

ると、「東京和菓子協会(東京和生菓子商工業組合)」とあり、これなら「東和会」

になりますが、この看板、本物かどうか?


の画面は、寅さんが不動産に部屋を探しに行く部分ですが、「同組会」の文字

はほとんど一緒です。多分、映画の小道具さんが書いたのでしょうが・・・・


という事で本当に、「男はつらいよ」に「一つの言葉」出てくるんですね。

Photo_7

さて、書き忘れがあり、また、くどくど書きすぎて、分かりにくかったかと思います

で、明日は少しまとめてみたいと思います。

Photo_8


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