「ひとつの言葉」覚書④~淀川長治さん・山田洋次監督そして「男はつらいよ」
昨日は中途半端に終わって、ゴメンチャイ。
さて、「淀川長治の遺言~荒井魏(たかし)著」で、淀川長治さんが山田洋次監督
に好きな言葉がある、という所まで書きましたが。
「ある時、僕が『好きな言葉があるんだよ』と言ったら、山田さんが『どんな言葉で
すか』と言うから、『秋田のお坊さんから聞いた言葉なんだよ』と言って話しまし
た。それは『一つの言葉でけんかして、一つの言葉で仲直り。一つの言葉でお
じぎして、一つの言葉で泣かされた』というのね。・・・・そんな話をしてしばらくして
から、寅さんの映画を見て驚いた。あのダンゴ屋さんの突き当たりのところの額
に、『一つの言葉でけんかして・・・・』と、僕の言ったことが書いてあるのね。」
この「秋田のお坊さん」が、昨日の藤田渓山氏のことですが、他に「映画少年・淀
川長治~荒井巍著」にも、同様な事が書いてあり、淀川氏は昭和23年(1948)
に「東京映画友の会」を作り、今でも活躍しているみたいですが、この中に・・・
「『友の会』で、しばしば長治が子どもたちに語って聞かせた言葉があった。秋田
の蒔田渓山という人の詩であった」という事で、「一つの言葉」が書いてあり、「あ
るとき、映画を見て長治は驚いた。そのセットの家の奥の壁に、この詩が書かれ
た額が飾ってあって、それが映し出されたのだ。」
とありますが、昨日書いたとおり、「蒔田渓山」ではなく、「藤田渓山」。多分、同じ
ような字だから、「藤田」を「蒔田」と勘違いしたものでしょう。
なお、「淀川長治自伝」にも、「私は秋田の蒔田渓山というお人の言葉の詩を知
った。」と書いてあります。が、残念ながら、藤田渓山氏の詩でもありません。
さて、この藤田渓山氏と淀川長治さんが、いつ頃出会ったかについては、どこに
も書いてありませんが、同「淀川長治自伝下」に「今から二十年くらい前の事だ
が」と言うことで「一つの言葉」を紹介しています。
この本が出版されたのが、1985年。この言葉通りだと、1985年-20年です
から1965年(昭和40年)頃のことだと思われます。
また、「『友の会』でも、これ(注:一つの言葉)を伝えた。今日まで二十年ちかくこ
の詩を若い人に伝えた。」ともありますから、伝えたはじめも、昭和40年くらいだ
と思われ、この頃、藤田渓山氏と出会ったのでは?
藤田渓山氏は、昨日書いたとおり、映画界にもいた形跡があり、また肩書きを見
ると秋田の名士であり、淀川氏は全国で講演をしていますから、秋田での講演
会のときに出会ったのでは・・・・?
さて、「男はつらいよ」の話です。
映画にこの言葉が出ているというので、「男はつらいよ」を初めから見ていって、
第9作、昭和47年(1972)「男はつらいよ柴又慕情」に初めて出ており、次作「男
はつらいよ寅次郎夢枕」、「男はつらいよわすれな草」には貼ってなく、その後、
「男はつらいよ私の寅さん」、「男はつらいよ寅次郎恋やつれ」には貼ってあり、こ
のあたりまで見ると、もういささかゲンナリして、後は全部貼ってあることにし
て・・・・
上の写真、映画で見ると、字がよく読めなく、「寅さん記念館」にセットがそのまま
あるとかで、東京まで確認に行くわけないでしょう。ネットで調べるとありました。
で、この貼り紙については、淀川氏が、「ビックリして山田監督にそれを聞くと、あ
れはセット係か小道具係がいつのまにか貼っていたのですよ、という事だった
が、しかし山田監督があの詩を好きだったからに違いない。」(淀川長治自伝
下)。というのが真相だったという事です。題が「言葉は心」で異なっていますが。
この、「中國のある僧侶の言葉より」と「東和会」「東和同友会」「東和協賛会」が
気になり、「東和会」なるものに訊けば「一つの言葉」について何か分かるのかと
ネットで調べると、ほとんどが、医療法人。これは関係無いなと。
仕方なく、寅さん記念館へと電話
「あいよ寅さんだよ、私生まれも育ちも葛飾柴又です、帝釈天で産湯をつかい、
姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します。ところで用事はなんだ
い?」という事もなく、ごく普通に、「セットに一つの言葉が貼ってあり、東和会と
書いてあるが、東和会について知りませんか?」と尋ねると、残念ながらでした。
ここで、調べたり、悩んだりで、再度「男はつらいよ」を見ていたら、ありました。
「東京和生菓子商工業協同組合員」。ネットで、東京和菓子協会があるので調べ
ると、「東京和菓子協会(東京和生菓子商工業組合)」とあり、これなら「東和会」
になりますが、この看板、本物かどうか?
下の画面は、寅さんが不動産に部屋を探しに行く部分ですが、「同組会」の文字
はほとんど一緒です。多分、映画の小道具さんが書いたのでしょうが・・・・
という事で本当に、「男はつらいよ」に「一つの言葉」出てくるんですね。
さて、書き忘れがあり、また、くどくど書きすぎて、分かりにくかったかと思います
ので、明日は少しまとめてみたいと思います。
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