「決戦!大阪城」~葉室麟外
悪いことが重なる時は重なるもので、一昨日パソコン、昨日はプリンター、今日
は私の調子が悪くなりました。
原因は、居間のクーラーを切り忘れそのまましていたら、カミサンが「クーラーつ
けっぱなしで、銭んば捨てよるごたんもんやかね(日本語に翻訳すると、お金を
捨てているようなもんではありませんか)」と朝っぱらから怒鳴られ、気の弱い
私、おかげでドット来て、おまけに、お腹が痛くなり、急性便秘。まだウンチが出
ていないので、まだ調子が悪く、誤字、脱字が沢山あると思いますが、前もって
ご容赦を。
さて、今年の春「決戦!関ヶ原」の事を書きましたが、今回の「決戦!大坂城」は
大坂城決戦をめぐっての競作、「大坂城」と書きましたが、これは「大阪城」の誤
字ではありません。ちなみに、いつもの所で調べたら、「大坂城・大阪城・・・・近
世以降、『大坂』を『大阪』と表記するように改まったため、現在は「大阪城」と表
記することが多い。〒540-0002」となっています。
さて、作家についてはご存じの方もおられるかと思いますが、ご紹介と、ざっと内
容を・・・
■葉室麟~淀君を書いて題が「鳳凰記」
ご存じ「蜩ノ記」で直木賞。他に「歴史文学賞」「松本清張賞」など、著著多数。
皆さんも知ってのとおり、豊臣秀頼が方広寺の大仏殿を再建し、大鐘を作らせま
すが、この銘文に「国家安康」「君臣豊楽」という文字が入っており、「国家安康」
は「家康」の「諱(いみな)」を分断したもの。「君臣豊楽」は豊臣家の繁栄を願っ
たものとされたのですが・・・・この文字を意図的に入れたという話。
誰が、何のために入れたのか・・・えっ、という設定ですが、まあ、小説だから。
■木下昌輝~真田幸村を書いて題が「日の本一の兵」
「オール読み物新人賞」「直木賞候補」「第2会高校生直木賞」
真田幸村が主人公みたいですが、本当の主人公は、真田昌幸の子「真田信
繁」。「最後まで、父は己のことを武士として見てくれなかった。・・・」という関係で
すが、後はお楽しみを。
■富樫倫太郎~近江屋伊三郎を書いて題が「十万両を食う」
「歴史群像大賞」
近江屋伊三郎は米商人。1,2年は冬の陣が続くとみて、新米、古米を買い込む
も、わずか二ヶ月で終結。一時儲かるも、余った米がドンドン古くなり、店が潰れ
る寸前。城へ米を売りに行きたいが、徳川軍が厳しく城内には入れず、かといっ
て徳川軍は米を十分に持参、まして古米は売れない状態。
ここで、同業者信左衛門が、徳川軍が戦いのため城へと掘った穴があるから、
そこから持ち込めると、うまい話。話のように城に持ち込め、儲かるものの夏の
陣で、決戦になってヤバイからもう止めようかと、最後の仕事に城内に入るが、
ここらが意外な展開なのですが・・・・最後の近江屋の態度が面白いですね。
途中ですが、小説で場所の名前がよく出て、視覚的に分からない時があるので
すが、今回もちゃんと地図付きです。
■乾緑郎~水野勝成を書いて「五霊戦鬼」
「朝日時代小説大賞」「このミステリーがすごい!大賞」
小西行長から、印籠を下賜(かし)されますが、その中に入っている丸薬は・・・・
バイアグラではありません。凄い丸薬です。32歳の宮本武蔵も現れます。
■天野純希~松平忠直を書いて「忠直の檻」
「小説すばる新人賞」「中山義秀文学賞」
徳川家康の孫。父は家康の次男、結城秀康。「忠直はあの男(注:家康)に親し
みをおぼえたことはない。・・・・」。戦で真田信繁の首を取るも、家康は「・・・拾
い首に相違ない」という関係で・・・・
■沖方丁~豊臣秀頼を書いて「黄金児」
「スニーカー賞」「SF日本大賞」「「吉川英治文学新人賞」「山田風太郎賞」
奥様を殴ったそうですが、出来れば、ワタクシも。「おきかたてい」と読むと思った
ら、事件のおかげで「うぶかたとう」と読むのを知りました。
智力のある、立派な男として描いてありますが、立派な男は女は殴りません。
■伊藤潤~福島正守を書いて「男が立たぬ」
「吉川英治文学新人賞」「歴史時代クラブ作品賞」「山田風太郎賞」「第一回高校
生直木賞」「中山義文文学賞」
福島正守は福島正則の弟。千姫は豊臣秀頼に嫁いでいますが、父は徳川秀
忠、おじいちゃんは家康。徳川と豊臣は戦っていますから、父秀忠は千姫の事を
助けられないか心配してしてます。救出の役が、元豊臣家家臣福島正則にも
ちかけられ、弟の正守がその任につきます。(今は徳川家の家臣です)
燃え落ちる大坂城。さあ、どうする。題は「男が立たぬ」ですが、私、まだ立ち
ます。
さて、同じ大坂の陣を扱って、別々の人物を書いてますが、どうしてもカブル所も
あり、どう描いるか比べるのも面白いでしょう。
« 亭主には2種類しかいない~全亭協会長 天野周一 | トップページ | 「天正遺欧使節千々石ミゲル 鬼の子と呼ばれた男」講演会★大石一久氏 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 島原半島に関する三冊の本(2024.05.05)
- 気まぐれ資料館~次は「草双紙」の世界(2023.01.15)
- ザッとした読書感想文なのですが(^_^)(10月~11月中旬読了)(2022.11.13)
- 落語「紀州」の原典は松浦静山「甲子夜話」?(2023.09.19)
- 「積ん読」の効用(2022.08.19)
コメント
« 亭主には2種類しかいない~全亭協会長 天野周一 | トップページ | 「天正遺欧使節千々石ミゲル 鬼の子と呼ばれた男」講演会★大石一久氏 »
気づいたことです、勇気を出して・・
「大坂→大阪」の漢字の変化は、近代すなわち明治時代以降だと思います。
日本でいう近世とは、江戸時代で、この時には、「大坂」のはずです。
明治になって、坂の字は「土に返る(帰る)」で、「町が滅ぶ、灰塵に帰す」に通じる、縁起が悪いという大阪商人の意見が出て、変えたという説があります。
大阪鉄道省の看板も、「鉄」の字が「金を失う」で縁起が悪いというので「金矢」と書いたという話も・・
出典は中央公論文庫「日本の歴史(明治維新)」(旧版)です。
投稿: リチャード | 2015年9月 7日 (月) 15時47分
コメントありがとうございます。
残念ながら、大阪から離れた所にいるために、資料が無いためハッキリしませんが、「大坂」の地名の最古の資料は、蓮如上人の御文のなかにあるそうで、私も浄土真宗なので、御文を調べて見たらありました。「抑(ソモソモ)當國(タウゴク)攝州(セフシウ)東成郡生玉(イクダマ)の庄内大坂トイウ在所ハ・・・・」
明應七年十一月廿一日・・・・・・・・とあります。
なお、明治28年3月13日発行、大阪府内務部発行、「大阪外国貿易省調 明治26年」には「大阪」。
明治32年7月9日発「府立大阪商品陳列所」には「大阪」。
明治30年「青森水道論」には「大坂市水道公債条例」で「大坂」。
大阪市、大阪府の古い条例があれば分かるのですが、見つかりませんでした。
いずれにしても、「大坂」「大阪」、混在していた時代があったのでしょう。とにかく、明治時代は、町村の区分が揺れていた時代ですから。
長崎も、明治30年の切手の消印を見ると「肥前国 温泉(うんぜん)」となっていましたから ( ^ω^ )
「土に返る」説は、あちらこちら出ていますが、どれも出典がはっきりしてなく、これも調べられたらと思います。
>気づいたことです、勇気を出して・・
私のブログもあちらこちら、間違っているところが有り、勇気を出さずに、気楽にコメントを下さい。
「大阪鉄道省」の話は初めて聞き、勉強になりました。「金を失う」。私もですが・・・
追伸
大阪鉄道の件、調べて見ると面白そうなので、こちらのブログに書いて見たいと思います。御了承のほどを・・・
投稿: sugikan | 2015年9月 8日 (火) 00時28分