「戦後性風俗体系~わが女神たち」★広岡敬一著~今日は十八禁だよ
今日は、少しきわどい所もあるので、18歳禁止です。
さて、歴史の本を読んでいると、すっぽり抜けているところがあります。2冊の本
(まだ、右の本は読みかけ中ですが・・・・)で両氏とも同じような事を書いていま
す。
広岡敬一氏は後書きで、昭和天皇が崩御され、年号が平成に改まった時、「新
聞・出版各社から『昭和』を総括する本が続々と刊行された。それに目を通して、
私は愕然とした。政治、経済、社会の出来事は記されていても、風俗の世界の
歴史がほとんど欠落しているからだ。・・・忘れ去られようとしている歴史的事実と
時代背景を発掘する必要性を、私は痛感するようになった。」
赤松啓介氏の紹介には、「タテマエとキレイゴトの世界のみで、性の問題に触れ
ようともしなかった柳田民俗学に対し、自ら『便所もゴミ箱もある民俗学』と語り、
おおらかだった日本人の性の姿を85歳の今も伝えつづける。」
歴史を見ると、織田信長、上杉謙信、徳川家康等々、本が沢山出ていますが、
「庶民の歴史」、特にこの「性風俗」に関してはほとんど出版がありません。
いつか触れますが「盗み嫁ご」という風習があり、いかにも「いやらしい」と顔をそ
むけがちですが、これも広岡氏が書いているように「時代背景を発掘する」と、赤
松氏の紹介文、「おおらかだった日本人」の姿が見え、合理的な制度だった事が
分かります。
さて、今回の広岡敬一氏、ネオン街で女給の注文でポートレートを取って商売を
している光景を見て、吉原で”流し”の写真屋を開業たのを初めに、性風俗関係
の仕事にかかわりを持つようになり、およそ6万カットのフィフムを所有されてい
るそうです。
この本には、吉原の女、ストリッパー、トルコ(現ソープランド)嬢等の二十七名の
女性の事が、外側からではなく、内側から描いてあります。
私の年代が、伝説として聞いた女性の事も書いてあり、「美人予言者の小夜
姫」、「伝説のジプシーローズ」、「愛のコリーダ安部定」、また、著者ならでは知ら
ないこと、「”椅子洗い”を発明したアズマ嬢」、「”泡踊り”を開発した浜田嬢」、「ア
ラン・ドロンのお相手は・丸千代嬢」、これ、どうしたかも書いています、「どうした
か」は「そうした事」です。雄琴の発展史。どれ読んでも、著者の女性を見つめる
暖かい眼差しが感じられます。
著者は次の様にも書いています。「時代は移り流れる。そのたびに、社会と人と
モラルの変わり目を見てきた。私がこの世界に取りつかれたのは、風俗にこそ、
時代の変化がいち早く現れるからである。・・・顧みて、もう一つ、分かったことが
ある。性風俗社会は、国内経済の動向と深い相関関係にあるということだ。」
考えれば、戦後、食べるための売春から、ひと時代前いわれた、「娘援交、妻不
倫」。もう、当たり前になった感じがします。ネットの時代になって、それ以上にな
って来ている感じですが・・・
さて、この本には少しばかり年表が書いてあり、下の事実、どれくらいの方が知
っているのか・・・
昭和22年
8月15日 終戦
8月18日 警視庁は、進駐軍兵士のための慰安設備について花柳界業代表
と協議。内務省は、各地方行政に進駐軍慰安設備の確保を指令。
8月19日 東久邇内閣の副総理近衛文麿は、警視総監に日本女性の操を進
駐軍の毒牙から守るように依頼
8月26日 花柳界代表が「特殊慰安婦設備協会」(RAA)の設立を決定。資本金
の一億円のうち五千五百万円は国の保障により勧業銀行が支出。
8月27日 RAAは占領軍兵士の性的慰安設備として、東京・大森海岸に料亭
「小町園」を開業。占領軍の進駐に先立つ三日前の事である。
短い期間に、「慰安婦設備」について、協議、建設がなされています。もちろん、
この「慰安婦設備」には食べるために従事した、未亡人、素人の女性も含まれて
います。戦争によって犠牲になるのは、弱者ばかりです。
英雄、有名人の歴史を知ることも必要ですが、「便所もゴミ箱もある民俗学」でな
いと、本当の歴史が分からないと思い、この方面の方も少しばかり、触れていき
たいと思っています。
(時代を知っていただくため、著者の表現をそのまま使っています。ご理解くださ
い。)
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