「チェイサー」★コージィ城倉著~手塚治虫とは?
「チェイサー」。このマンガ、マンガ好き、特に手塚治虫ファンの人には面白いで
すよ。
主人公は海徳光市。比較的売れている漫画家。表では、手塚治虫の悪口を言
いますが、実は、手塚治虫の隠れファン。「この『電光人間の巻』って回なんだ。
この回は石森のタッチが混じっとる。いいかよく見ろ。このモブ(群集)だ・・・これ
は石森のタッチなんだ」等、プロとはいえ、良く読み込んでいること。で、秘かに手
塚治虫の真似などをしていきます。ですから題が「チェイサー」になるのですが。
この漫画、「ビッグコッミク・スペリオール」に不定期に載っていますが、今回の
「8月28日発行 第17号」、読んでビックリしました。「話の特集」、1966年6月
号、手塚治虫のエッセイ、「一匹狼になりなさい」の一部が載っており
「ぼくはアトムをぼく自身の最大の駄作とみている」、「あれは名声欲と金儲けの
為にかいているのだ。」、「だい一、映画やマンガで、芸術をふりかざす必要があ
るのかね?」
これに対し、同9月号で、草森紳一氏が”手塚評”をおこない、同10月号に、手
塚治虫が、「手塚治虫への弔辞」で、反論みたいなものを書いています。
この3冊、入手したいのですが、田舎の悲しさ、古本屋一軒無いという、文化
後進(失礼)発展途上市。東京なら、神田の古本屋で探すのですが・・・
単行本で、3冊出ていて、今回のを読んで、最初から読み返そうかと、本屋さん
に飛んでいったのですが、田舎の悲しさ・・・・Amazonに発注したら、2日で届きま
した。読み返して見ると、主人公の物語と同時に、手塚治虫の物語にもなってい
ます。
主人公の「海徳光市」先生については、作者は、再三「㊟この人物は実在し
た!」と書いており、随分売れた漫画家みたいに描いていますが・・・・さて・・・
第3巻の「特別解説」は、夏目房之助氏が書いています。「コージィ城倉がやろう
としていることは研究ではない、娯楽である。だから、思いっきり手塚神話を膨ら
ませて、意想外の展開をもって楽しませてほしい」。
とはいっても、資料がしっかりしているので、「手塚神話」について、研究するの
にもってこいの漫画です。
上は3巻の表表紙ですが、帯のそうそうたるメンバーの言葉を読んでください。こ
の漫画が、いかに興味深いものか分かります。
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