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2015年7月27日 (月)

「説経節 さんせう太夫」~聞かせ所 その2

Photo

    (「国会国立図書館デジタルコレクション」より)


「天下一説経佐渡七太夫正本」の「さんせう太夫」です。説経節の本は、いろいろ

と残っていますが、その一つです。


論文を書くわけでもないので、気楽に、あちらに行ったり、こちらに来たりと、書き

ますが・・・


語り物は、語りの聞かせ所があり、有名な落語でいうと「寿限無」


寿限無、寿限無、五劫のすりきれ、海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末、食う

寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシ

ーリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポン

ポコナの長久命の長助。


また、「金明竹」


わて、中橋の加賀屋佐吉方からさんじました。

先ほど、仲買の弥市の取つぎました道具七品のうち、祐乗、光乗、宗乗三作の

三所もの。並びに備前長船の則光。四分一こしらえ横谷宗岷小柄付きの脇差

し、柄前はな、だんなはんが古鉄刀木といやはって、やっぱり、ありゃ埋もれ木じ

ゃそうにな、木が違うておりまっさかいなあ、念のためちょっとお断り申します。

次は、のんこの茶碗、黄檗山金明竹、ずんどうの花生け、古池や蛙飛び込む水

の音ともうします。あれは、風羅坊正筆の掛け物で、沢庵、木庵、隠元禅師はり

まぜの小屏風、あの屏風はなあ、もし、わての旦那の檀那寺が、兵庫におまして

な、この兵庫の坊主の好みまする屏風じゃによって、かようお伝えねがいます。


とまあ、これを一息に言えるかどうか、演者の力量が分かるわけですが・・・

余談ですが「金明竹」は三遊亭円丈さんが、本場、名古屋弁で演じていますの

で、是非お聞きを。


さて、「山椒太夫」、鷗外本では、厨子王が太夫の所を逃げ、「国分寺」に
かくま

われますが、鷗外では「・・・ここで狼藉を働かれると、国守は検校の責めを問わ

れるのじゃ。また総本山東大寺に訴えたら、都からどのような御沙汰があろうか

も知れぬ。・・・・」ということで、あっさり追い返します。


が、「さんせう太夫」では、逆悪非道の三郎が寺に押し入り、「お聖」に、問い詰

め、厨子王がいないなら誓文(神にかけて誓う事)を立てろという事で、誓文を立

てさせます。


矢印の所、皮籠(かわご・竹や籐などで編んだ上に皮を張ったもの)に、厨子王

はかくまわれています。

Photo_4

    (「国立国会図書館デジタルコレクション」より)


下の方に五名「大ろう」「二ろう」「三ろう」「四ろう」「五ろう」と「太夫」の息子が並

んでいます


鷗外の「歴史其儘と歴史離れ」でこう書いています。「・・又山椒大夫には五人の

男子があったと云ってあるのを見た。就中太郎、二郎はあん寿、つし王をいたわ

り、三郎は二人虐げるのである。わたしはいたわる側の人物を二人にする必要

がないので、太郎を失踪させた。」、で、「四ろう」と「五ろう」はどうしたんでしょ

う?


「おひ志(志の上に濁音の点々)り」様の横にいるのが、「太夫」。ここで、「お聖

り」が下のような、誓文を立てますが、聞かせ所ですね。語り物ですから、皆さん

も、黙読でなく、声をあげて一気に読んでみてください。



上(きんじょう)さんざん、さいへい再拝、上に梵天帝釈、下に四天王、閻魔法

王、五道の冥官(みょうかん)、大明神に泰山府君(たいざんぼく)、下界の地に

は、伊勢は神明天照(しんめいてんしょう)大神、外宮(げくう)が四十末社、内宮

八十末社、両宮合わせて百二十末社の御神、ただ今勧請(かんじょう)申し奉

る。熊野には新宮くわぐう、那智に飛滝(ひろう)権現、神の蔵には十蔵(じゅうぞ

う)権現、滝本に千手観音、長谷は十一面観音、吉野に蔵王権現、子守借手(こ

もりかって)の大明神、大和に鏡作、笛吹の大明神、奈良は大伽藍、春日は四社

の大明神、てんがいに牛頭天王、若宮八幡大菩薩、しもつがはら、たちうち、べ

つつい、石清水、八幡は正八幡、西の岡に日向(むかう)の明神、山崎に宝寺、

宇治に明神、伏見に御香の宮、藤の森の大明神、稲荷は五社の御神、祇園に

八代天王、吉田は四社の大明神、御霊(ごりょう)の八社、今宮三社の御神、北

野殿は南無天満宮、梅の宮の尾七社の大明神、高き御山に地蔵権現、麓に三

国一の釈迦如来、鞍馬の毘沙門天、比叡の山れんげう(伝教)大師、麓に山王

三十一社、打ち下に白髭の大明神、湖(うみ)の上に竹部島(ちくぶしま)の弁財

天、お多賀八幡大菩薩、美濃の国になかへの天王、尾張に津島熱田の明神、

坂東の国に、鹿島香取浮洲の明神、出羽に羽黒の権現、越中に立山、加賀に

白山、敷地の天神、能登の国に石動(ゆするぎ)の大明神、信濃の国に戸隠の

明神、越前に御霊(ごりょう)の御神、若狭に小浜、丹後に切戸の文殊、丹波に

大原八王子、津の国に振神(ふりがみ)の天神、河内の国に恩知枚岡(おんしゅ

ひろおか)、誉田(こんだ)の八幡、天王寺に聖徳太子、住吉四社の大明神、堺

に三の村、大鳥五社の大明神、高野にこほう(こうぼうカ)大師、根来にかくば

(覚鑁)上人、淡路に論鶴羽(いずりは)の権現、備中に、吉備の宮、備前にも、

吉備の宮、備後にも、吉備の宮、三箇国(さんがこく)の守護神を、ただ今ここ

に、勧請(かんじょう)申し、驚かし奉る。さて、筑紫の地にいりては、おさらかに

四こくほてん、鵜殿霧島、伊予の国に一宮、ぼだいさん、多気の宮の大明神。総

じて神の、総数所、出雲の国の大社、神の父は佐太の宮、神の母が田中の御前

山の神十五王、いわんや梵天木霊(こだま)、家(や)の内に地震荒神、三宝荒

神、八天荒神、三十六社のへっつい、七十二社の、宅の御神に至るまで、みなこ

とごとく誓文に立て申す、かたじけなくも、神の数、九万八千七社の御神、仏の

数は、一万余仏なり。この神仏の御罰を蒙るべし。その身こことはおんでもなし(

いうことでもない)。一家一門、六身眷属に、至るまで、堕罪の事に誅せられ、修

羅三悪道へ落とせられ、浮かぶ世にさらにあるまじ。童(わっぱ)においては知ら

んなり。



これやったら、忘年会の時に下手なカラオケより受けますよ。受けなかったら、そ

れはあなたの日頃の人徳がなってないから。


誓文を読んでみると、神も仏も一緒に言ってますね。また、「神の数、九万八千

七社の御神、仏の数は、一万余仏なり。この仏神の神罰を蒙るべし。」と国分寺

の寺にも関わらず、「仏神の御罰」と言っていますが、昔は、寺と神社が一緒の、

神仏習合・神仏混淆の時代があり、明治になって、神仏判然令(神仏分離令)が

あり、寺と神社が別れてしまいますが、これを読むと、寺社が一体の事が分かり

ます。


また、昔の人は今のように、気楽に旅が出来ませんでした。ひょっとしたら、知ら

ない土地の神仏の紹介でもしているのかとも思いますが・・・


(文引用:「説経節」~平凡社・東洋文庫より)







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