「昭和天皇玉音放送」~川上和久(解説・著)
7月に入りましたが、8月6日が広島市、8月9日は長崎の原爆の日。8月15日
が終戦の日(終戦記念日の表記もあり)。
特に、終戦の日に近づくと、「玉音放送」を、皇居前とか、学校の生徒がラジオを
前に聴く場面がありますが、放送では「朕(ちん)深ク世界ノ大勢ト帝国ノ現状
ト・・・・」の最初の場面か、「堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ビ難キヲ忍ビ・・・・」の所だけ放送
があって、考えれば全文読んだことがありませんでした。
(「国立公文書館デジタルライブラリー」より)
上が原文ですが・・・
見ていただきたいのが、真ん中のページ、赤丸の所。最初は、「爆彈ヲ使用シ惨
害ノ・・・」になっていますが、「使用シ」と「惨害」の間に、「テ頻ニ無辜ヲ殺傷シ」
と、挿入されており、当時、天皇陛下の詔書といえば、一字一句間違いがあっ
てはならないものですが、いかに切迫した中で、急いで文章が推敲されたかが、
伺われます。
文章の推敲についての話は、「玉音放送の原稿=『終戦の詔書』は誰がつくった
か」の所に書いてあります。
下が、昭和20年8月14日の「官報」。号外で出ていますが、左が「詔書」、右が
「内閣国喩」。
(「国立国会図書館デジタルコレクション」より)
天皇陛下(昭和天皇です)では、「敵ハ新ニ残虐ナル爆彈ヲ使用・・・・」ですが、
「内閣国喩」では、「遂ニ科學史上未曾有ノ破壊力ヲ有スル新爆彈ノ用ヒラルル
ニ至リ戰爭ノ仕法ヲ一變セシメ・・・・」とあり、これ原爆の事ですが、私の爺様も
原爆で跡形も無くなってしまい、このあたりを読んで行くと、感慨深いものがあり
ます。
さて、実は私、このラジオ放送、「玉音放送」だけかとおもったら、そうではなく、そ
の後も「玉音放送」に関する放送があり、「玉音放送」のみでは、内容が良く分か
らなかった人も、この解説を聞いて、日本が負けたことを分かった人がいたそう
です。
本書によれば、「玉音放送」の前後として、
1、予告放送
1945年8月14日午後9時のニュースと、15日7時21分のニュースで予告。
2、1945年8月15日のニュース放送(全6回)
・午前7時21分(9分間の放送)
・正午(37分半):「終戦を告げる放送」(「玉音放送」「内閣告喩」を含む
・午後3時(40分間):(40分間)「終戦を告げる放送」
・午後5時(20分間)
・午後7時(40分間):「終戦を告げる放送」「大詔を拝して」含む
・午後9時(18分間)
3、「玉音放送」を含む「戦後を告げる放送」の全放送内容(上の正午の放送)
1、正午の時報
2、NHK 和田信賢アナウンサー:「ただいまより重大なる放送があります。
全国の聴取者の皆さま、ご起立をお願いします。」
3、情報局総務・下村宏:「天皇陛下におかせられましては、全国民に対し、
畏くも御自ら大詔(だいしょう)を宣(のたま)わらせ給うことになりました。
これよりつつしみて玉音をお送り申します」
4、「君が代」(レコード放送)
5、「玉音放送」(レコード録音による放送)
6,「君が代」
7、下村宏:「つつしみて天皇陛下の玉音放送をおわります」
(以下、和田アナウンサー)
8、和田アナウンサーが大詔の説明
9,和田アナウンサーによる「詔書」(注:「玉音放送」と同文)の奉読
10,「謹んで詔書の奉読を終わります」
11、「内閣告喩を申し上げます」
12,内閣告喩の奉読
以下、ポツダム宣言、ソ連の参戦、「カイロ宣言」「終戦決定と午前会議の経過」
等の説明があったそうです。
この本には、最初に「玉音放送」のNHKの音源が最初に入っていますが、これは
聞きやすいものでした。
なお、上の、3、に関しては、本書では「発掘新音源を収録しています。」とあり、
3の所の12のまでは、CDに収録されていますが、YouTubeで「終戦放送」で検索
すると聴かれます。たぶん、CDもこれを使ったものだと思われます。
さて、今や戦争を経験した人も少なくなり、(ウチの父はビルマ戦線で捕虜になり
奇跡的に生きて帰ってきましたが、生存している時に、もっと話を聞いておけばと
悔やんでいます)戦争の悲惨さを語る人が、少なくなってきました。
世界も、日本も、きな臭くなってきた時代、もう一度、この「玉音放送」を聴いてい
ただきたいと思います。
注:「玉体」は天皇陛下のお体(古語辞典~小学館刊)のことですから、「玉音」は
天皇陛下のお声の事になります。念のために。
なお、この「玉音放送」のレコードのことは、「日本の一番長い日」に出ていた記
憶があるのですが、NHKでも何十年か前に特集でやっていたような・・・・
(引用・図版:「国立国会デジタルコレクション」「国立公文書館デジタルライブラリ
ー」「昭和天皇玉音放送~川上和久(解説・著)」より)
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