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2015年7月 6日 (月)

「子供の名前が危ない」~命名研究家・牧野恭仁雄著

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ニュースを見ていたら、リクルーティングスタジオとやらで、「2015年 赤ちゃん

け上半期トレンドベスト100」を発表したとか、ベスト10だけみると・・・


「心春」、「陽翔」、「心愛凜」、「碧」、「杏柚」、「惺梛」、「蒼音」、「葵」、「大翔」、

「湊斗」。読めますか?


「こころ、こはる、など」、「はると、ひなた、など」、「しえり」、「あおい、しおん、な

 ど」、「あゆ」、「せな」、「あおと、あおね、など」、「あおい、そら、など」、「だいと、

ひろお、など」、「みなと、あると、など」、です。


21位に「結月(ゆるる)」が入っていますか、これ、「ゆるる」とよめるんですか

ね?というと、読んで良いんです。


戸籍法第50条に、「子の名前には、常用平易な文字を用いなければならな
い。

2 常用平易な文字の範囲は、法務省令でこれを定める」とありますが、「名前

正しい読み方にしなさい」という条文はないそうです。


昔、「悪魔」ちゃんという名をつけて、社会問題になったことがありますが、この本

によると、判決(平成6年2月1日・家庭裁判所)を読んでみて実に面白く。


1,悪魔という名は命名権の乱用で違反である

2、こういう名の場合、出生届は受理すべきではなかった

3、市が戸籍の名前を抹消したのは違法である。戸籍法施行規則に従って悪魔  

  の名を戸籍に記載させよ。

意味が分かる人いますかネ。


さて、この本の作者、「命名研究家」となっていますが、姓名判断の占い師ではな

く、名前付けで悩む方の相談にのって、「10万件を超える名づけの相談をお受

けし、100万を超える候補のお名前にコメントをさしあげてきました。」そうです。


話は横に入りますが、姓名判断は当たりません。私、中学校の時から姓名判断

の本を読んで研究しました。この本にも流派がいろいろ書いてありますが、例え

ば、「くさかんむり」、「『艸』は『すべての植物』を表す。冠のときは、「艹」「艹」から

構成される漢字のためにたてる。」(「漢字海」~三省堂)となっていますから、

「花子」の「花」を、7画で読む流派と、8画で読む流派があるわけで、同じ文字で

も、1画違えば、吉画になったり、凶画になったりしますから、あまり、当てにはな

らないという事で、私、姓名判断家になることを止めた事情があります。            


この本の書いてあることは、「ひとつ目の法則は、名前自体で本人の生き方が

まることはないが、親の無意識のなかにある感覚は子供の生き方に大きく影

響していくこと、そして、ふたつめの法則は、名前の流行は世相をあらわすという

ことです。」という観点から書いてあります。


ふたつ目からいうと、「勝利」、「勇」、「武」、「勲」、「進」などは、
アメリカと戦争を

繰り広げていた時代の前後に多く、「茂」、「実」、「稔」、「豊」は食糧難の時代。


「久子」、「千代」は「無病」や「長寿」を願い、医者がいなかった頃、大正から昭和

の前半までが多かったそうです。


明治時代は、強く生きるように、女性にまで「とら」とか「くま」をつけたそうです。

要するに、「名前にあらわれる世相とは『その時代に強く求められながらも、手

に入り難いもの』」・・「この時代の欠乏感が名前を通してみえてきます。」というこ

とです。


さて、平成に入って、名前にある傾向があるそうで、麻、穂、咲、陸、空、花、海、

菜、桜等が多く・・・・これは、動物、植物、季節等の大自然をあらわす言葉で、い

ま私たちが、何に「欠乏感」をもっているかわかりますね。


さて、最初の方ですが、子供の名前を、どうつけようが大人の自由ですが、これ

も、「子供の人格形成で重要なのは、名前そのものではなく、名付けた時の親の

気持ちなのです」ということで、健、康、生、寿、久、などを付ける方は、自身が子

供のとき、大病をした人、家族、親類に若死にされている人がいる、という方がじ

つに多く、「健康を願って」ではなく、「病気を恐れて」の名付けになっている、とい

うことだです。


「その字自体が本当に気に入って使うなら問題ありませんが、不安を打ち消すた

めに、まじない的にその字を使った場合は、不安の方が現実になってしまうこと

が多いのです。それは少々危ない名付けになりますよ」と助言して入るそうで

す。


「父親の字をいれたい」方。「無意識のうちに『親子のきずなが長く続くだろうか』

という不安があった場合、その強い執念が仇となり、きずなが切れてしまうことが

多くみられます。」ということで、奥様のアイディアでしたら構いません、だそうで

す。


なお、珍奇な名前については、「『カッコいい』生き方ができていないという欠乏感

をかかえている人が非常に多いのです。』『自分はこうでありたかった』『自分に

はこれがない』という無力感が働いています。その結果、ことさら名づけの基本を

無視して脱線し、『世の中の常識に左右されない』『自分の個性を発揮して名付

けている』という逸脱した形をとることになるのです。」


ところで、珍奇な名前を付けられると、就職の時でも、採用側は、カナをふらない

と読めないようでは名前では、仕事上支障ができ、「まず、そんな名前の者から

落としていく」という、人事担当者も入るそうです。


私の知った方にも「ちかく」という名前の方がおられ、「千鶴」と書きますが、まあ、

良い読み方ですが、「ちづる」とは読んでも、「ちかく」とは読みませんね。ご自

身、入学する時、その他の時にも、女の子の名簿に入れられて困ったそうです。


作者は名付けの際にたいせつなこととして

1,自分の本音を大切にすること

2、子供と社会の人を大切にし、難点のない名前にすること

をあげています。


私の知っている女の子に、「親が、ありふれた名前を付けた」と不満を持っている

娘がいますが、「鈴木」は日本で一番多い姓、「一郎」なんて、どうでもいいや、

という感じの名、でも、「鈴木一郎」なんて、素晴らしい人がいるじゃない、と言

いるのですが・・・これから、子供の名前を考えられる方、必読の書です。


(「子供の名前が危ない」~牧野恭仁雄著より)


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