「劉邦 下巻」発売~宮城谷昌光著
「劉邦 中巻」でご紹介した写真と同じようですが、「劉邦 中」が「劉邦 下」にな
っています。
7月20日発売で、Amazonに予約していた本が届いて、昨日やっと読み終わり
ました。
下級官吏だった劉邦の率いる兵も、「五国の兵が落陽をでた。あわせて56万
という兵力である。そのなかで官軍が最も大きいとみれば、劉邦の下に20万を
超える兵がいたと思ってもよいだろう」。長崎県の人口が6月1日現在で、
1,376,194名ですから、約半分。いかに、大部隊か分かります。劉邦もそれ
なりに、人物が出来てきます。もっとも、あの国では「白髪三千丈」と、なんでも大
げさに言いますから・・・・
「劉邦」といえば「項羽」との戦いですが、結果はお分かりの通り、「劉邦」の勝利
になりますが、宮城谷氏は劉邦と項羽について次のように表現しています。
「かれら(劉邦)が項羽の賊将とちがうところは、自分の頭をつかって戦っている
ということである。別のいいかたをすれば、かれらの目は、横にも後にもついてい
る。項羽の属将は、命令を果たせない場合の処罰をつねに恐れ、命令の遂行に
必死で、独自の発想をもたず、まえしか視ていない。項羽の下では良将が育た
ない所以である。」
「史記本紀 項羽本紀第7」の最後では次のようにまとまられています。
「自ら功伐(戦勝の功)をほこり、私智を振るっていにしえを師とせず、その為すと
ころをもって覇王の業と信じ、力征をもって天下を経営しようとすること五年、つ
いにその国を滅ぼし、身を東城に歿しながら、なおおのれの非を悟らず自らを責
めず、『天がわれを滅ぼすのであって、兵を用いるのは罪ではない』としたのは
何とあやまりではなかろうか。」(注:項羽のことです)
読んで見て、勤めている時の上司を思い出しましたが、まさに、陳舜臣氏が書く
ように、「この本に登場する人物は、中国人の典型ではなく、洋の東西を問わ
ず、人間の典型でもあり、人間を知るためにも『史記』(注:劉邦と項羽の話は史
記に載っています)は優れた本である。」
自分の目を養うために、是非、読んで見てください。そういえば、最近は、どこか
の首相と項羽が重なって見えるのですが・・・天がわれを滅ぼさなくても、民(た
み)が滅ぼしますヨ。
(文引用;「劉邦~宮城谷昌光著」「史記本紀Ⅰ~ちくまぶんげい文庫」より)
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