「劉邦 上巻」~宮城谷昌光著★出すなら一緒に出してよ!
宮城谷昌光氏の本は、以前何冊か読んだ事があり、三国志も読みましたが、吉
川英治の三国志は、「三国志演義」を基にしたもので、宮城谷氏は精子(失礼
)正史の立場をとって書いてあるので、面白さは吉川英治、手応えは宮城谷か
な、と思っていたのですが・・・
司馬遼太郎にも「項羽と劉邦」があり、これも読んだのですが、何年も前で、ほと
んど忘れていました。劉邦と言えば項羽なのですが、この本の題が「劉邦」という
ところをみると、劉邦にかなりスッポットライトをあてている感じです。
宮城谷氏といえば、やたら難しい漢字を使っていますが、この本、随分と角が取
れて来たみたいで、辞書を引きながらでなく、意外とすんなりと読めました。
物語は、不良少年である劉邦が、運良く泗水亭(しすいてい)の亭長になるあた
りから始まり(ただし、この時30歳過ぎ)ます。
「亭長」とは、「亭は最小の行政区であると同時に最小の警察署である。亭の建
物は二階建てで、二階の座敷は、旅行する官吏の休息所にあてられる。それゆ
え亭長は、行政官であり、駅長でもあった。」と、まあ、いわば当時の下級官吏に
なるのでしょう。「ここの長に任命され14年が経った。」とありますから、もう四十
過ぎで、「万年亭長」という事になります。
が、ある事をきっかけに、劉邦の元に人が集まり、人におされて沛県の「県令」に
までなります。「県令」とは秦・漢の時代、一万個戸以上の県の長のことです。
この時分、秦の始皇帝が亡くなっており、各地乱れていますが、劉邦は他の臣下
の進言により、他県に遠征に行くわけですが、劉邦は「『孫子』という兵法書を読
んでいれば、こいうまずい行軍をしなかっただろう。」というくらい戦術にも通じて
いませんが・・・・というところが、上巻で、まだ、「項羽」は出てきません。
この本の発行が5月20日で、下旬に買い、読み終わって、中巻を買いに行った
のですが、「上巻」は置いてあるものの「中巻」がない。
田舎だから、本屋にまだ届いていないと思って、Amazonをみたら、何と出版が、
6月16日。予約は入れましたが、本屋さんにもないはず。
「中巻」というと「下巻」もあるわけで、「毎日新聞」で連載されたもののようです
が、「下巻」をいつ出版するのか、こういう本は「上・中・下巻」、一緒に出してよ!
とにかく、年寄りは気が短いんだから! ということでした。
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