「踏み絵」之事②~金唐革とは?
今日から、「踏み絵」の歴史について書こうと思ったのですが、明日の病院検査
が、朝早いので簡単に。分からない事が出てきたので、その事などを。
上の「長崎町人誌」は、長崎の昔の事を一般的に分かるように書いてあるのです
が、その中に「絵踏みと金唐革(きんからかわ)」という文が載せてあり、
「絵踏みの行事が宗教的信仰心を確認する手段として強制的に実施されると、
これはそのまま殉教者を選別する方法となったが、もとを質すと、アフリカ北海岸
地方の金唐革の原形がスペイン、ポルトガルから伝わり、いわゆる信者の御絵
として室内装飾用品となるものであった。この金唐革の原形は、踏ませることに
よって、スペインの宗教裁判長トルケマダがユダヤ教徒、イスラム教徒選別に利
用したものに外ならない。日本では、その選別の対象がカトリック信者選別の手
段に逆用されたことになる。・・・・」
なお、金唐皮の説明として、「薄いナメシ革に金泥で種々の模様が描いてある
(革に似せた紙製の金唐紙もあり)。江戸時代の舶来品だが日本製も輸出され
た。」そうです。なお、調べて見ると、「長崎記」の「細物道具ノ覚」の中に、「一
金唐革」とあります。この、金唐革は日本では「金唐革紙」という伝統工芸品で、
高級品だそうです。ネットで「金唐革」と探すと、たくさん出てきますので、ご覧の
ほどを。
他に大辞典を調べると(ブリタニカだったかな?)「金唐革・金泥(金泥)で種々の
模様をおいた薄いなめし革。またはその革に似せてつくった紙の模造品。」
「金唐素革」として、「(『素』は純粋の意)まがい物でない本物の金唐革」となって
おり、参考として「*我が輩は猫である〈夏目漱石〉二『金唐革の煙草入れから煙
草草をつまみだす』」とあります。
なお、佐枝衆一氏の「江戸の商魂」の「金唐革の煙草入れー戯作者商人 山東
京伝」にも、出てきます。
話が横にそれましたが、この、「金唐革」、「トルケマダ」、「異端裁判(宗教裁判)」
を、百科事典、キリスト教事典、ネットで調べましたが、「金唐革」=「トルケマダ」
=「異端裁判」=「絵踏」の関係は、どこにも書いてありませんでした。この「長
崎町人誌」は、内容がしっかりしたものなのですが・・・・「トルケマダ」=「異端裁
判」はありましたが、これと、「踏み絵」の関係は分かりません。
なお、「異端裁判」を調べているとひどいですね。イラストが描いてあって、説明
が、「心臓摘出、教皇絶体主義者がそれを歯で噛む」、「赤熱した鋏で鼻や乳房
を引きちぎる人」、「拷問台の上で腸が出るまで引き伸ばされる人」、「80人が殺
されたその体が30マイルにわたって串刺しに並べられた」、「串刺しにされてとろ
火で焼かれる人」、「野獣の爪で片足を引き裂かれる人」等と書いてあります。
前書きには、「魔女の抑圧はほんの一握りの罪深い人間の考えではない。そ
れはローマカトリックとプロテスタントを問わず、教会の公式見解であった。」
(「悪魔学大全~ロッセル・ホープ・ロビンズ著、松田和也訳」ですが)、魔女裁判
を中心にした、いったて真面目な本です。
日本で、キリシタンというと、「禁止令」、「殉教」、「隠れキリシタン」などのイメー
ジがありますが、これ読むと、日本のキリシタン弾圧もひどかったが、真面目な
信徒、殉教者、魔女にされた犠牲者にとって、キリスト教とは一体何だ、という感
じでした。
さて、「金唐革」と、「踏み絵」が関係あるのか、無いのか、もう少し調べて見る予
定です。ご存じの方がおられたら、コメント欄にてお知らせを m(_ _)m
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コメント
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漢字が多いと読みずらい、なんてね。
ここまで、生きたらもう、残りは、好きな事やれば、
と、言われても、その体力やいかに。
夏目漱石で、思い出したこと。これからは、自由に、個性をいかして、いく時代だ、そんな時代は生きずらく
他人の悪癖だけが、目につく世の中になる。
今は、そんな時代かな。個性とは、孤立することでも、ある。孤立すれば、他人を非難する。
そこに、付け込む力がかならず、生まれる。
投稿: 内田 | 2015年6月19日 (金) 20時05分
>漢字が多いと読みずらい、なんてね。
勉強していない証拠。古文書なんかもっとひどいよ。
個性の時代とは言うが、みんな流行に流されているだけ、無個性の時代ではないかな?
お互いに、ゴールはもう少し、気楽に生きましょう。
投稿: sugikan | 2015年6月20日 (土) 00時30分