「説経 小栗判官」~近藤ようこ著
土曜日に、近藤ようこさんの「五色の舟」の事を書きましたが、どうにも、この人
の漫画が気になり、もう一冊注文してみました。
「おくり判官」「をくりの判官」でも呼ばれるそうですが、「判官」はご存じの通り、
「判官贔屓(びいき)」の「判官」です。辞書で引くと、「①ほうがん②裁判官」で、も
ちろん「判官贔屓」のことも載っています。
古語辞典で引くと、「〈名〉はうぐぁん」とあり、「はうぐぁん」で引くと、「①律令制に
よる各官庁の四等官(=長官・次官・判官・主典)のうちの第三等官②多くは、検
非違使(けびいし)・衛門府(えもんふ)・兵衛府(ひょうえふ)の第三等官をいう③
(左衛門・さえもんの尉・じょう)であったことから)源義経の呼び名。」とあります。
なお、長官は「かみ」、次官は「すけ」、判官は「じょう」、主典は「さかん」(石村貞
吉著「有職故実」より)と読むそうです。ですから、偉いわけです。
さて、物語は、漫画で説明しますが、公家殿上人(くげてんじょうびと)三十六人
の中でも、二条の館の大納言は生まれも位も高貴で、ただ、子供がなく、鞍馬寺
の毘沙門天に祈願をし一子を得ますが、長ずるにつれ、私が大嫌いな、眉目秀
麗、頭脳明晰な男に成長するわけですが、「十八歳の如月から、二十一歳の秋
まで」気に入った妻がいないため、別れた妻がなんと七十二名。タイガーウッズ
は○E○依存症でしたが、この人も同じじゃないかな?七十二名ですよ!
某日、深沼ヶ池の大蛇に見初められ、大蛇は女に化け契りを結ぶわけですが、
これが、バレ(ざまみろ!)流罪の刑。
常陸の国に流罪になるわけですが、照手姫の噂を聞き、ちょっかいを出し、妻に
するわけですが、照手姫の父に断りもなかったため、父としては激怒して、つい
には小栗殿を死に至らしめます。
と、ここで終われば、私としては、万歳なのですが、いらないことに閻魔大王が、
小栗を復活させるわけですが、その時は、無残な姿。
ところが、熊野本宮の湯の峰に入れれば、体はもとに戻るとか。熊野に行く時、
家を追い出され、苦労をしている照手姫と会いますが、照手姫にも分からないく
らいな、無残な姿。
で、まあ、元の姿に戻り、父の所に会いに行き、また、希(この漢字の読み方、分
りますね。NHK朝の連続ドラマでやっています。)なことゆえ、帝に会いに行き判
官の地位を得、照手姫の父に復讐に行こうと思ったところを、照手姫に諭され、
これを中止。という物語です。
もちろん、この物語には、神仏が出てくるわけですが、当時の人には、お経など
を読むと分かりますが、理解できるわけではなく、普通に喋るのではなく、浪花節
のような感じで語り、人の心を掴み、仏の心を説経していったのでしょう。
ご存じの「山椒大夫」も、有名な説経節の一つです。あくまで、民衆性の高いもの
ですが、最近は演じる方が少なく、以前にも書いたように、小沢昭一さんなどが
追い求め、少しづつ復活をしているみたいですが・・・
前に書いたように、私も一回聴きに行き、昔はこんな風に、お説教をしながら、仏
の教えを説いていたのかと思ったものでした。
上の写真、右側ですが、昔はこんな風に、壇上に座り、お説教をしていたそう
です。いまは、立ったままで、マイクでやっておりますが・・・・
「説経節」とか「節談説教」と言いますが、違う所があるようで・・・
説経節は→こちらをクリック
節談説教は→こちらをクリック
(写真は小沢昭一「日本の放浪芸」より)
追伸:「説教」「説経」。ネットを見ると、二つあるみたいですが、この場合、お経を
説くと言う意味では「説経」が正解かな?漫画の題も「説経 小栗判官」です。
節談説教は「節談説教」で統一されているみたいですが、もう少し研究を・・・
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