「温泉(うんぜん)」から「雲仙」へ 蛇足(だそく)でおしまい
雲仙のゴルフ場。多分昭和2年くらいだと思います。最も古いパブリックコース
で、1913年(大正2年)。神戸ゴルフ場に次ぐ、2番目の古い歴史があるそう
で、向こうの小屋みたいなのが、レストルームです。
ゴルフ場というより、「グラウンドゴルフ場」みたいですが・・・どちらも、ゴルフが付
きますが。
今日は蛇足です。
【1】
この「雲仙国立公園」は1956年、天草地区を編入し現在、「雲仙天草国立公
園」といいます。
雲仙は昭和9年に、国立公園に指定されますが、それ以前の昭和3年、史跡
名勝天然記念物法に基づき、3月31日付け、内務省告示第77号により、温泉
岳が名勝地に指定されています。雲仙は2つの省庁で「国立公園」と「史跡名勝
記念物」に指定されているわけです。
「史跡名勝記念物」としては、現在、文化庁に管轄になりますが、文化庁の指定
等文化財等データーベースでは、指定年月日が昭和3年3月313日、特別指定
年月日が昭和27年3月29日、追加年月日が昭和27年11月22日。
そして、なんと、名称が「温泉岳」、ふりがなが「うんぜんだけ」。
環境省では「雲仙天草国立公園」として、紹介が「1934年(昭和9年)3月16
日、日本で初めての国立公園として雲仙国立公園として誕生しました。・・・・」
省庁で違うんですね。
文化庁国指定等データーベースは→こちらをクリック
環境省公園紹介は→こちらをクリック
【2】
「雲仙お山の情報館」でいただいた資料に「九州郵趣」という、機関誌をいただき
ましたが、その中で、「・・・『肥前国温泉』と云う丸一型印が36年9月11日付け
で褐色菊3銭の切手単片に発見されていたのです。」とあり、雲仙の郵便局の設
置が明治32年ですから、36年というと、明治の事でしょうが(大正は15年まで
です)、「肥前国」と切手に押してあったとは、時代を感じます。
この方、「温泉」を「うんぜん」と読み切れず、「局名の位置づけには全く困りはて
てしまいました。」ということだそうです。
なお、別の機関誌には、「最後に、クイズめいた事になりますが、『温泉』の読み
方です。普通はオンセンと発音するのが当然ですが・・・・・この局の場合はウン
ゼンと呼びます。32年告示二百二号、33年告示二百十六号、同二百九十七号
にはっきりと局名の所にウンゼンとふりがなが付けてあります。」ということで、や
はり、遠方の方には、「温泉」は「うんぜん」と読めないみたいで・・・・
ただ、今になれば、「温泉温泉」の方が、何となく面白そうで、利用すれば、地域
の活性化になったかも、ですね。
【3】
kanageohis1963さんから下のようなコメントをいただきました。
「地理院地図」で御指摘の場所を確認してみました。
http://maps.gsi.go.jp/?ll=32.758389,130.289204&z=15&base=std&vs=c1j0l0u0
これですと、「雲仙岳」と大きな字で書いた左側、つまり西側に史跡記号が描か
れ、その上に「温泉岳(特)」と記された上でルビが「うんぜん」と振られています
ね。今でも地名の一部に名残があるということになるのでしょうか。
地図を動かしてみてください、吾妻岳、鳥甲山の間にも「温泉岳」があります。ま
た、髙岳、絹笠山あたりを見てください。こちらにも「温泉岳」があります。こちらの
方は「うんぜん」と仮名が振ってあります。
私も、国土地理院の地図を調べたのですが、「雲仙岳」付近に「温泉岳」は、こち
らには載せてありません。
平成新山が描かれていますから、古い地図ではありません。もう一ヵ所あったの
ですが、地図によっては「温泉山」との表記もあります。
指摘のあったところは、吹越と言うところから、妙見岳から国見岳の稜線に出る
山道で、ここは、何回も登ったことがあるのですが、あの頃は、文化財に興味が
無かったせいなのか、覚えがありません。
なお、伊能忠敬の日記に、魚洗川(いわれご)から田代原に至るところに、「温泉
堂、行道二望」と書いてあります。ただ、「温泉堂」といっても、千々石の所に「右
ニ薬師堂」と書いてあって、確認に行ってみたら、小さな石祠でした。多分「温泉
堂」も同様だと思われます。「温泉岳(山)」に、何か関係がありそうなのですが。
残念ながら、ここもそうですが、他の「温泉岳」も登れそうもなく、私も気になって
いたのですが・・・若ければ、無理して登るのですが・・・
指摘のあった地図が一番新しいと思いますが、「温泉(うんぜん)」とあるのは、
文化庁に配慮したのでは?
【4】
今日、何気なく、井上通泰氏の「肥前風土記新考」を読んでいたら、「・・・温泉は
ウンゼンと唱ふ。温の一音ウンなり。温氣・温病・温州蜜柑などのときにもウンと
唱えてオンと唱えず。雲仙とも書くは字を更へたるのみ」と書いてありました。
考えれば「温」は「ウン」とも読めます。「仙」は発音の問題で、「三千円」は「さん
せんえん」では無く「さんぜんえん」。「千」を漢字辞典で引いても、「ゼン」の読み
方は無く、それなら、「温泉」を「ウンゼン」と読んでもいいのではないか?
「温泉」は「おんせん」とばかり思っていたのですが、考えれば、ちゃんと「うんぜ
ん」とも読めるんですね。
と、まあ考えればキリが無く、これにて「ウンゼン」の件は終了。
ながながと、お付き合い、ありがとうございました m(_ _)m
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ご無沙汰してます。
いわれごの栗原です。
温泉堂の話興味深いです。
どこかで聞いた記憶があります。
祖父なのか?地域の先輩なのか?
投稿: 国見のくりちゃん | 2015年6月14日 (日) 15時17分
久しぶりです。お元気ですか?
温泉山、温泉堂、興味があるのですが、どこにも記録がなく、もし、思い出せるようなら、是非教えて下さい。
なお、温泉堂は、島原城下を出発、途中省略しますが、「字魚洗河(ブアライコ)内 土黒(ヒジクロ)村 字下田代 温泉堂、行道望(ここは2行書き) 字平石峠 字上田代」となっています。
投稿: suzikan | 2015年6月14日 (日) 22時49分