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2015年6月10日 (水)

「温泉(うんぜん)」から「雲仙」へ 蛇足(だそく)でおしまい

Photo_2

雲仙のゴルフ場。多分昭和2年くらいだと思います。最も古いパブリックコース

で、1913年(大正2年)。神戸ゴルフ場に次ぐ、2番目の古い歴史があるそう

で、向こうの小屋みたいなのが、レストルームです。


ゴルフ場というより、「グラウンドゴルフ場」みたいですが・・・どちらも、ゴルフが付

きますが。


今日は蛇足です。

【1】

この「雲仙国立公園」は1956年、天草地区を編入し現在、「雲仙天草国立公

園」といいます。


雲仙は昭和9年に、国立公園に指定されますが、それ以前の昭和3年、史跡

名勝天然記念物法に基づき、3月31日付け、内務省告示第77号により、温泉

岳が名勝地に指定されています。雲仙は2つの省庁で「国立公園」と「史跡名勝

記念物」に指定されているわけです。


「史跡名勝記念物」としては、現在、文化庁に管轄になりますが、文化庁の指定

等文化財データーベースでは、指定年月日が昭和3年3月313日、特別指定

年月日が昭和27年3月29日、追加年月日が昭和27年11月22日。

そして、なんと、名称が「温泉岳」、ふりがなが「うんぜんだけ」。


環境省では「雲仙天草国立公園」として、紹介が「1934年(昭和9年)3月16

日、日本で初めての国立公園として雲仙国立公園として誕生しました。・・・・」

省庁で違うんですね。


文化庁国指定等データーベースは→こちらをクリック

環境省公園紹介は→こちらをクリック


【2】

「雲仙お山の情報館」でいただいた資料に「九州郵趣」という、機関誌をいただき

ましたが、その中で、「・・・『肥前国温泉』と云う丸一型印が36年9月11日付け

で褐色菊3銭の切手単片に発見されていたのです。」とあり、雲仙の郵便局の設

置が明治32年ですから、36年というと、明治の事でしょうが(大正は15年まで

です)、「肥前国」と切手に押してあったとは、時代を感じます。


この方、「温泉」を「うんぜん」と読み切れず、「局名の位置づけには全く困りはて

てしまいました。」ということだそうです。


なお、別の機関誌には、「最後に、クイズめいた事になりますが、『温泉』の読み

方です。普通はオンセンと発音するのが当然ですが・・・・・この局の場合はウン

ゼンと呼びます。32年告示二百二号、33年告示二百十六号、同二百九十七号

はっきりと局名の所にウンゼンとふりがなが付けてあります。」ということで、や

り、遠方の方には、「温泉」は「うんぜん」と読めないみたいで・・・・


ただ、今になれば、「温泉温泉」の方が、何となく面白そう
で、利用すれば、地域

の活性化になったかも、ですね。


【3】

kanageohis1963さんから下のようなコメントをいただきました。


「地理院地図」で御指摘の場所を確認してみました。


http://maps.gsi.go.jp/?ll=32.758389,130.289204&z=15&base=std&vs=c1j0l0u0

これですと、「雲仙岳」と大きな字で書いた左側、つまり西側に史跡記号が描か

れ、その上に「温泉岳(特)」と記された上でルビが「うんぜん」と振られています

ね。今でも地名の一部に名残があるということになるのでしょうか。


地図を動かしてみてください、吾妻岳、鳥甲山の間にも「温泉岳」があります。ま

た、髙岳、絹笠山あたりを見てください。こちらにも「温泉岳」があります。こちらの

方は「うんぜん」と仮名が振ってあります。


私も、国土地理院の地図を調べたのですが、「雲仙岳」付近に「温泉岳」は、こち

らには載せてありません。

Img_20150610_0002

平成新山が描かれていますから、古い地図ではありません。もう一ヵ所あったの

ですが、地図によっては「温泉山」との表記もあります。


指摘のあったところは、吹越と言うところから、妙見岳から国見岳の稜線に出る

山道で、ここは、何回も登ったことがあるのですが、あの頃は、文化財に興味が

無かったせいなのか、覚えがありません。


なお、伊能忠敬の日記に、魚洗川(いわれご)から田代原に至るところに、「温泉

堂、行道二望」と書いてあります。ただ、「温泉堂」といっても、千々石の所に「右

ニ薬師堂」と書いてあって、確認に行ってみたら、小さな石祠でした。多分「温泉

堂」も同様だと思われます。「温泉岳(山)」に、何か関係がありそうなのですが。


残念ながら、ここもそうですが、他の「温泉岳」
も登れそうもなく、私も気になって

いたのですが・・・若ければ、無理して登るのですが・・・


指摘のあった地図が一番新しいと思いますが、「温泉(うんぜん)」とあるのは、

文化庁に配慮したのでは?


【4】

今日、何気なく、井上通泰氏の「肥前風土記新考」を読んでいたら、「・・・温泉は

ウンゼンと唱ふ。温の一音ウンなり。温氣・温病・温州蜜柑などのときにもウンと

唱えてオンと唱えず。雲仙とも書くは字を更へたるのみ」と書いてありました。


考えれば「温」は「ウン」とも読めます。「仙」は発音の問題で、「三千円」は「さん

せんえん」では無く「さんぜんえん」。「千」を漢字辞典で引いても、「ゼン」の読み

方は無く、それなら、「温泉」を「ウンゼン」と読んでもいいのではないか?


「温泉」は「おんせん」とばかり思っていたのですが、考えれば、ちゃんと「うんぜ

ん」とも読めるんですね。


と、まあ考えればキリが無く、これにて「ウンゼン」の件は終了。


ながながと、お付き合い、ありがとうございました m(_ _)m



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コメント

ご無沙汰してます。
いわれごの栗原です。
温泉堂の話興味深いです。
どこかで聞いた記憶があります。
祖父なのか?地域の先輩なのか?

久しぶりです。お元気ですか?

温泉山、温泉堂、興味があるのですが、どこにも記録がなく、もし、思い出せるようなら、是非教えて下さい。

なお、温泉堂は、島原城下を出発、途中省略しますが、「字魚洗河(ブアライコ)内 土黒(ヒジクロ)村 字下田代 温泉堂、行道望(ここは2行書き) 字平石峠 字上田代」となっています。 

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