「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ(ホセ・ムヒカ元ウルグアイ大統領)」~くさばよしみ編・中川学絵
「しあわせって 何だっけ 何だっけ・・・」と、明石屋さんまさんの歌が、ありました
が、本当に「幸せ」ってナンデショウ。
幸せを求めるために、裕福な生活を求め、社会の発展を望み、投資をし、わけ
も分からず、グローバリゼーションの時代とかいっているのですが・・・
さて、この絵本、子供のためにというより、大人のための絵本。
2012年、リオデジャネイロでの国際会議で、環境について話し合うために開催
された会議で、ウルグアイのムヒカ大統領のスピーチを意訳して、絵本にしたも
のです。
「世界で一番貧しい大統領」とは、普通、大統領、首相といえば豪勢な生活をし
ていますが、ムヒカ大統領。給料のほとんどを、慈善のために寄附し、残った
金額は、ウルグアイの平均給与だそうです。「世界で一番貧しい大統領」です。
農場で奥さんと暮らし、友達から貰った1989年製のフォルクスワーゲン・ビート
ルを自分で運転し、仕事に行っているそうです。
会議の参加者、また、私たちにも耳の痛い話を、本音で言います。
「私たちが、グローバリゼーションをコントロールしていますか?
あるいはグローバリゼーションが、私たちをコントロールしているのではないで
しょうか?・・・・・・・
このような残酷な競争で成り立つ消費社会で、『みんなの世界を良くしていこう』
というような、共存共栄な議論はできるのでしょうか?
どこまでが仲間で、どこまでがライバルなのですか?」
「私たちは、発展するために生まれてきているわけではありません。
幸せになるために、この地球にやってきたのです。」
最後の方に、
「社会が発展することが、幸福を阻害するものでものであってはいけないので
す。発展は人類に幸福をもたらすものでなくてはならないのです。人生は短い
し、すぐ目の前をすぎてしまいます」と言っています。もちろん、政治の責任、役
割にも言及しています。
どこかの国の首相、がなりたてるのが得意な某市長も、これくらいのスピーチが
できれば、心づよいのですがネ。
さて、
「エピクロス、セネカやアイマラ民族は、こんな事を言っています。『貧乏な人と
は、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足
しない人のことだ』」。これは、耳が痛いですね。
なお、実際のスピーチはYouTubeで「ホセ・ムヒカ」で検索すると、見られます。
皆さんにも、是非、聴いていただきたいスピーチです。
理想的すぎる、と言う意見もあるかと思いますが、昔の船乗りと一緒で、北極星
がなければ航海はできません。いまはGPSがありますが、人類のGPSはありま
せん。自分達で理想を見つけ、決めるものです。
残念ながら、ホセ・ムヒカ大統領、今年の3月に大統領を辞められたみたいで
す。
(訳は、YouTubeから引用しました。)
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