「本能寺の変の変」~黒鉄ヒロシ著
黒鉄ヒロシさんといえば、漫画家なんですが、「本能寺の変」なら、読まなかった
のですが、「本能寺の変の変」と言えば、少し「変」なので、読んでみたら、イヤ、
実によく調べていること。
もっとも、キャバレー太郎と言われた、福富太郎氏は浮世絵に興味を持ち、本を
書いているし、フランキー堺氏も写楽の研究をしているし、黒金氏が「本能寺の
変」に興味を持って、マンガで描いても不思議はなしと。もちろん、中味はマンガ
で描いていますが、真面目な中にも少しユーモアをこめて
さて、話は「藤田家伝来」「大徳寺伝来」「稲葉家伝来」の、わずか三点(MIHO
MUSEUMにも所蔵されているみたいですが、これは異論もあるとか)の「曜変天
目茶碗」がこれ以外に、もう一点あったのではないかとの話から始まります。
あと、「『四国国分』朱印状」「本能寺でおじゃりまする」「凶変目撃三足の蛙」「斎
籐利三切腹命令」「溷濁本能寺」「本城惣左右衛門覚書」「秀光霊面会」「秀光裁
判」「本能寺三途の川」「逆転本能寺の変」と続きますが、資料を吟味しながら、
作者の考えも述べながら話は進みます。
もちろん、昨年だったか発見された、長宗我部元親から、明智光秀の重臣斎籐
利三宛の文書、もう一通が斎籐利三が、兄の義父石橋光政に宛てたたもの。
これについても触れてあります。
ここで、歴史に詳しい方はご存じでしょうが、信長、光秀、利三、元親の関係が描
いてありますが、最後に行く着くところが、何と、徳川家光の乳母、かの有名な春
日局とは。
と、まあ書けばキリが無いのですが、信長の遺体が見つかっていません。火薬
を爆発させ、粉々にという説もあるようですが、この本には、「信長公阿弥陀仏寺
由緒之記録」説を取っており、後はお読みください。
光秀は通説によると、京都郊外の小栗栖村で、土民の竹槍で刺されたとなって
いますが、果たして、竹槍で鎧を突き通せることができるのか?
面白いのが「光秀裁判」の所。光秀が被告人で、光秀について、文書(もんじょ)
等がありますが、これを検証して、裁判するもの。
「総見記」は本能寺から百年後に書かれたもので却下、「川角太閤記」は秀吉の
死後で関ヶ原から20年経ってから書かれたもので証拠としては、弱い。「祖父物
語」は、爺さまから聞いた話を、関ヶ原が終わった数年後に書いたもの。秀光が
家康を信長の命で、饗応し、その料理内容が悪いと叱咤した話は、国書「続群書
類從」には、接待は素晴らしかったとあるそうです。という事で、噂話、作り話、俗
説、風説がかなりあるそうで、ズバリズバリ斬っていきます。なお、この件に関し
ては、異論もかなりありそうですが・・・一応裁判は一審差し戻しになりました。
さて、作者、黒金氏は、信長と石山本願と和議が成立したあと、信長の考えに変
化が生じ、織田一族による、領地の独占。
すなわち、「石山本願寺」との和議が「本能寺の変」を引き起こす原因かと。
三男の信孝には四国を。ただ、ここには光秀と通じている元親がおり、ここで、信
長と元親の板挟み、という事で、光秀の反乱が起こったかと。
ただ、この「本能寺の変」には、風評、伝承、デマ、思い違い等のため、多説有
り、どれが本当なのか、よく読み込まないと分かりません。ご興味のある方は、こ
の本に、参考となる文書が、たくさん載せてありますので、参考にお読みくださ
い。
私ですか?織田信長は常に見知らぬ世界、特に西欧に興味を持っていたみた
いですから、「本能寺の変」をきっかけに、抜けだし、世俗を絶って、何らかの手
段で西欧に渡ったと・・・・・その方が夢があるでしょう。昔、義経がチンギスハー
ンだったという説も昔ありました。
本当は、どうだったんでしょう?私、その頃、まだ生まれてませんでしたから、詳
しい事は分かりません。まして、片田舎に住んでいますから。
なお、原資料については、「国立国会図書館デジタルコレクション」にあるかも、
です。あったら、PCでも読まれます。ただし、現代語訳ではなく、古文書です。
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