「失踪日記」・「アル中病棟 失踪日記2」~吾妻ひでお著
吾妻ひでおさん、マンガを少し知っている方は、ご存じだと思います。一時「やけ
くそ天使」等で売れたことがあります。
「失踪日記」は「夜を歩く」「街を歩く」「アル中病棟」の3部からなりますが、第34
回日本漫画家協会賞、第10回手塚治虫文化賞大賞、なんでか、平成17年度
文化庁芸術祭マンガ部門大賞、第37回日本SF大会星雲賞ノンフィクション部門
まで受賞しています。
吾妻ひでおさん、自殺未遂やアル中になっていますが、「夜を歩く」のころは、あ
まり、アル中の事は出ていませんが、「1989年11月私は某出版社の原稿ほっ
ぽって逃げた」ということで、失踪。ホームレスで、下のような生活をしていたそう
ですが、警察官の職務質問に遭い、帰還となりますが、この間の生活が、おかし
く描いてありますが・・・
飲食店のゴミ捨箱やゴミ捨て場の、ゴミあさりの日々であったそうですが、捨てて
あった天ぷら油まで飲んで、「あ~滋養が身にしみてくる」という状態。
家に帰ってからは、また、マンガを描き、少しは売れたものの、「気がつくと原稿
落としたり うつと不安におそわれたり」で、92年4月再びの失踪。
この時は、運良く、配管の会社に拾われ、配管工として働いたところ、人からもら
った自転車が盗難車で、警察にバレ、再び帰宅。
97年頃から、酒量が増え、98年春、本格的なアル中に。眠っている時以外は、
飲んでいるという状態で、幻想まで見るまでになります。
でまあ、98年12月26日に家族から、病院の精神科(アル中病棟)に強制入
院。これが、「アル中病棟」の部分になりますが、これを、詳しく描いたのが、「ア
ル中病棟 失踪日記2」。
これには、アル中の治療法、病棟での生活、人間関係等が詳しく描いてあります
が、これは、327頁にわたる大作なので、興味のあるかたは、お読みください。
なお、アルコール依存症の人は、80パーセントは肝臓障害があり、脂肪肝→慢
性肝炎→肝硬変、肝硬変から派生する食道静脈瘤破裂による大量吐血。
神経系の病気として、前頭葉の萎縮、痴呆、慢性硬膜下血腫、末梢神経障害。
断酒後6~12時間前後に起きる「離脱症状(禁断症状)」、不安、苛々、錯覚、
不眠、音に敏感になる、動悸、血圧上昇、四肢の振顫。
12~48時間後に起こる症状として、アルコール性てんかん様けいれん発作、ア
ルコール幻覚症。膵液で自分を殺す膵炎、大腿骨骨頭壊死、肝性昏睡、マロリ
ー・ワイス症候群、いずれも死にいたるそうです。
なお、入院してからの依存症からの回復率は20パーセントだそうです。要するに
一度、アル中から脱却するのは難しく、「ぬか漬けのきゅうりが、生のきゅうりに
に戻れないのと、同じです。」という事です。(以上「アル中病棟」より)
なお、「失踪日記」は、2005年3月8日第1刷、私が持っているのが、同年5月9
日第5刷発行。「アル中病棟」が、2013年10月10日第1刷発行、私のが、同年
同月21日第4刷発行と、いかに、吾妻ひでおさんのファンが多いか、分かりま
す。
私の知っている方。定年で辞められた男性ですが、趣味も無く、奥様が踊りのお
師匠さんで、学習塾も経営し、その他役職もあり、忙しく、昼間一人でいるのが寂
しいのか、朝から酒を飲んで、ほぼアル中状態になられた方がいました。
ウチもカミサンが、今日も留守で、いつも忙しく、私が心臓病で、飲酒のドクター
ストップがなかったら、ほぼ同じ状態だったと思います。
なお、吾妻ひでおさんは、「不条理漫画」といわれ、下のようなマンガも出版して
いますので、興味のある方は、お読みください。
「不条理日記」は1979年の日本SF大賞で星雲賞(コミック部門)を受賞していま
す。私の好きな漫画家の一人です。
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