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2015年3月27日 (金)

直筆で読む「人間失格~太宰治著」と「坊っちやん~夏目漱石著」 太宰治編

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作家が小説を書く時、何度も推考をし書き直しをし、出版されますが、作家によっ

は、初版、再版、三版と書き直しをする方がおり、若い時に書いた本が、

になった時に、違った部分がある時もあり、ですから、作者が最初どう書いた

分かるのが、初版本といわれ、高価なものがあります。


さて、実は、出版前には、もちろん作家が原稿用紙に書くのですが(今はPC主流

みたいですが)、これは、実際には作家の展示館等でしか、見られるものではあ

りません。


作家の書いた原稿は、出版社から印刷会社に渡され、活字に印刷され、再び

家の手に戻り、作家は、誤字、脱字、表現を変えたりし、(これを初校といい

す)再び、指示されたところを訂正し、作家の手にわたり、再び訂正が入ります

(再校)。大体、再校か多くて第三校で、出版社と印刷会社に、直した所の責任

任せたよ、という事で、最終校になり、印刷、製本をされ、皆さんの手に届くこ

とになります。


余談になりますが、先日、亡くなられた宮尾登美子さん。太宰治賞を受賞した、

出世作の「櫂」は自費出版でしたが、5,6校までいき、その度、大きな変更があ

り、当時は、活字を一字、一字拾っていましたから、現場からは「もう、よしてよ」

との声がありました。表紙も宮尾さんが選んだ、紬だったかで装幀をした凝った

ものでした。なお、「櫂」という字が活字には無く、鉛の活字の代わりに、木で作

字して、使ったもので、見ると若干活字が違って見えたものでした。


さて、現在はPCで書く作家が多く、字の直しなどは、どこを直したかは分かりま

せんが、昔は、手で書いていましたから、どこをどう直したか、分かります。


今、印刷技術が進んだので、自筆原稿を印刷したものが、ボツボツ見られるよう

になりました。作者には、誤字、脱字、また、思考の過程が見られ、覗かれてい

るようで嫌でしょうが、読者にとっては興味を引くものです。

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太宰治の「人間失格」の最初のページです。クリックすると、大きくなります。こう

して見ると、活字の本と違って生々しい感じで、何となく太宰治の人間性が感じら

ます。


太宰治の文字の修正は徹底したもので、黒く潰したところですが、ルーペで読ん

で何となく分かるというものです。なお、原稿の外に「6行 思は」は、6行目の消

した部分の文字です。なお、訂正した部分については、安藤宏氏の解説に、詳し

く書いてありますので、お読みください。


太宰治の直筆は、意外と読みやすい字で、普通の本と読み比べて、印象深い

のでした。なお、本の方は、原稿用の大きさではなく、新書版に縮小されていま

すが、かえって読みやすいものでした。


次回は、夏目漱石編ですが、この直筆は実に・・・・


なお、奥付を見ると、2008年11月19日発行で、少し前の出版でした。私が出

版されたのを、見落としたのかな?発行は「集英社新書ヴィジュアル版」です。





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